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サステイナビジョン下田屋毅氏に質問!――マークス&スペンサーのCSR戦略(2014/1/17)

ロンドンから欧州の最新情報を届けてくださっている、サステイナビジョン代表取締役の下田屋毅氏に、「CSRを取締役に持ち込む方法」で紹介いただいた マークス&スペンサー(M&S)の事例について、その詳細を伺いました。


―M&SのプランAはどの点が先進的なのでしょうか。

M&SのプランAは、CSRを戦略的に実施している先進事例として、こちら欧州において非常に注目されています。プランAは、次の7つの柱、1)顧客をプランAに巻き込む、2)プランAをつくる・どのように私たちはビジネスをしていくのか、3)気候変動、4)廃棄物、5)天然資源、6)フェアパートナー、7)健康と福祉、で成り立っています。

戦略的CSRの遂行には、トップダウン、ボトムアップ双方の働きかけが重要です。M&Sではこの部分の社内推進システムが既にできており、企業トップ・取締役、従業員など全従業員がCSR戦略である「プランA」を理解しています。「プランA」は、取締役会において企業戦略として実施することのコミットメントを得ており、トップダウンで遂行され、日々のビジネスに組み込まれているということです。

M&Sのトップマネジメント130人のリーダー達には、プランAの7つの柱180項目の責任が振り分けられ、個人の業績評価と収入に結び付いています。また、店舗のスタッフに至るまで、プランAの項目で何を実施するのか分担が決められていて、日々のビジネスの中で実施しています。これは徹底した社員研修によるものです。

また、M&Sはステークホルダー・エンゲージメントに優れています。プランAの柱の1つ目である「顧客をプランAに巻き込む」で顧客のエンゲージメントのプロジェクトやイベントを実施し、今までに500万人の顧客がプランAの活動に参加しています。ウェブサイトでは、顧客がサステナビリティを考え推進する上で何をすることができるか、クイズや画面上の仕組みで楽しく学べるようになっています。

NGO・NPOのエンゲージメントとしては、現在12のプロジェクトを協働で実施しており、従業員のエンゲージメントはもちろん、サプライヤーに対してもプランA研修の実施や、年次会議を開催するなど、それぞれのモチベーションを高める仕組みを持っています。

その他、気候変動対策としてのカーボンニュートラルやFSCなどの認証品の使用なども参考となる取り組みを行っています。


―NGO・NPOとの協働に積極的に取り組んでいるようですが、その具体例を教えてください。

M&Sは、NGO・NPOとの協働に非常に優れています。この具体例として、「ショワッピング・キャンペーン」があります。これはM&Sと国際NGOオックスファムとの協働事業で、同社のCSR戦略「プランA」の「1)顧客をプランAに巻き込む」を実現しながら使用済衣服のリサイクルを推進する取り組みです。

「ショワッピング」はショッピング(買い物)とスワッピング(交換)を掛け合わせた造語で、顧客がM&Sで買い物をする際に、使用済衣服を持参しようというキャンペーンです。ここで集まった衣服は全てオックスファムに提供され、オックスファムの英国内の各地のリサイクルショップで再販売、または発展途上国へ寄付しています。オックスファムはこの販売で得たお金を人道支援や世界の貧困撲滅へと活用しており、英国の使用済衣服の埋立処理量年間50万トンを削減する目標も掲げています。

また、WWF(世界自然保護基金)との協働により、店舗で販売される魚介類を自社ブランドの「フォーエバーフィッシュ」として、持続可能な漁獲100%(MSC認証水産物を含む)としています。WWFとはカーボンフットプリントの削減、水リスク管理についても一緒に取り組んでいます。

レジ袋への課金(1枚5ペンス=約8円)による収益金520万ポンド(約8億8,400万円)は環境NPOグラウンドワークに寄付し、英国内の地域コミュニティに対するプロジェクトとして、公園や遊び場、花壇を設置しています。

一月にはNGOウッドランド・トラストとの協働で、クリスマスカード・リサイクリング・スキームとして、クリスマスカードをM&Sの店舗で回収しリサイクルし、森林保護とともに、植林するプロジェクトもあります。

この他にも、がん・乳がん早期発見などのサポートをしているNGOとの協働、ホームレスに対する一時収容施設のサポートもコーズマーケティングを活用して実施するなど、NGO・NPOとの協働を幅広く実施しています。



―CSR戦略を日常の業務に落とし込んでいるこの事例は、まさに「統合思考」と言えるのではないでしょうか。また、幅広い取り組みを可能にしているのは、さまざまな分野の専門家であるNGO・NPOと協働しているからなのですね。


【関連記事】CSRを取締役に持ち込む方法――下田屋毅の欧州CSR最前線(34)

    下田屋 毅氏

    イメージ

    Sustainavision Ltd. (サステイナビジョン)代表取締役。英国ロンドンに拠点を置き、CSRコンサルティング、CSR研修、CSR関連リサーチを実施するとともに、日本と欧州とのCSRの懸け橋となるべく活動を展開している。
    ビジネス・ブレークスルー大学非常勤教員(担当:CSR)国際交流基金ロンドンCSRセミナーシリーズ(2011/2012)プロジェクトアドバイザー。

    サステイナビジョンのホームページはこちら

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