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【アメリカ】ブルッキングス研究所、過去10年の米国雇用環境を分析。回復には人種・性別・学歴による差

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米ブルッキングス研究所のハミルトン・プロジェクトは8月4日、2007年後半に始まった世界金融危機から現在まで約10年間の米国の雇用状況とその要因を分析した報告書「就労ギャップの終結:10年間の不況と回復(The Closing of the Jobs Gap: A Decade of Recession and Recovery)」を発表した。雇用が世界金融危機以前の状況に回復したグループがある一方で、未だ回復していないグループもあり、その格差に焦点を当てている。

米国では、就業中や求職中の人々が生産年齢人口に占める割合である労働参加率が1999年以降、一貫して低下している。2016年には、全米人口の18.7%が、基幹就労年齢層(25歳から54歳までの働き盛り世代)でも37.2%が、就労していない。この労働参加率の低下は、米国の経済学者の間でも謎とされている。同プロジェクトでも、原因について、ベビーブーマー世代の退職、介護理由とした女性の離職、大学入学率増加による就労開始年齢の遅れなどを考慮しても、十分には説明できないとし、体系的な調査を開始した。

今回の調査では、2016年に就労していない基幹就労年齢層の男女2,400万人を対象とし、「就業または求職しない理由」「同居の相手」「生計維持の方法」等の質問を投げかけた。分析に当たっては、人口増加を含む人口統計上の変化や高齢化による労働市場からの離脱についても調整したという。調査結果からは、米国労働環境についての新たな実態が浮かび上がってきた。

  • 2007年の世界金融危機始まった雇用減少は、ようやく2017年7月に世界金融危機前の状況に戻った。世界金融危機による雇用減少は850万人で、同数の雇用数回復は2014年に達していた。しかし、人口増加の影響により以前の状態に戻るには全体で1,000万人以上の雇用増が必要となったため、回復は2017年7月となった。一方、就労構造は変化しており、世界金融危機前と比べ、基幹就労年齢層の雇用が減少し、55歳以上の雇用が増加。パートタイム労働者の増加や給料の停滞も見られる。
  • 米国では、1981年、1990年、2001年にも大規模な不況を経験しているが、2001年の不況は、その前の2回と比べて雇用減少幅が大きく、回復に時間を要している中に2007年の世界経済金融危機が発生し、就労ギャップを大きく拡大させる要因となった。
  • 地域別では、北東部と中西部の回復が早く、マサチューセッツ州では世界金融危機前より1.1%も雇用が伸長している。回復が遅いのが西部で、ワイオミング州では4.3%減少。この差には、移民数なども影響している考えられる。
  • 男女別では、女性の方が雇用の減少幅が小さく、男性就労者の多い製造業や建設業が大規模な雇用減少を経験した。しかし、男性の就業率が下がったとは言え、全体の就業率実数値では男性が65.7%、女性が54.8%と、男性の方が遥かに高い。
  • 人種別では、白人は世界金融危機による就業ギャップがマイナス3.4%と比較的影響少なかったが、回復も遅く、現在もマイナス0.6%の状態で不況前の就業率に戻っていない。一方、黒人は2011年にマイナス6.0%、2017年がプラス0.4%、ヒスパニック系は2011年にマイナス5.4%、2017年がマイナス0.2%と、世界金融危機では大きな雇用減少を経験したが、すでに以前の状態にまで戻ってきている。
  • 学歴別では、世界金融危機の影響が最も大きかったのは高卒以下の人々で、最悪期の2011年にはマイナス5.3%だった。短大卒は多少緩和されてはいたが、類似の状況だった。それに対して大卒、大学院卒は影響が少なく、中でも大学院卒は2011年でもマイナス1.1%だった。高卒以下と短大卒の人々は現在もマイナス2%程度。これを男女の格差と組み合わせた場合、労働市場から疎外されている最大のグループは、高卒以下の女性ということが明らかとなった。

その他、労働参加率が下がっている背景について、1)非就労者の30%は病気または障害をもっていること、2)非就労女性の多くは生計手段として配偶者やパートナーと同居し、男性の多くは親と同居していること、3)非就労者の130万人以上が収入が全くないこと、4)非就労者の11%がセーフティネットから援助を得ていること、5)基幹労働年齢層の男性非就労者の45%(330万人)と、同年齢層の女性非就労者の28%(460万人)の家計は、収入の最下層(5分にの最下部)にあることも明らかになった

【参照ページ】Who is out of the labor force?
【報告書】The Closing of the Jobs Gap: A Decade of Recession and Recovery

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所 [原文はこちら]

2017/09/17
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