Global CSR Topics

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気候変動とアジアの都市:企業が果たすべき役割とは

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現時点では、将来的な気温の上昇を摂氏2度以下に抑えることは不可能であり、むしろ3度を超えてしまうというシナリオが優勢となっている。米国の非営利組織(NPO)クライメート・セントラルの科学者らは、この3度の気温上昇によって世界で2億7,500万人が水没により家を失うと推計している。この中には上海の1,750万人や大阪の520万人などが含まれ、実に8割がアジアに居住しているのだ。

浸水については、上海が世界で最も脆弱な都市の1つであり、繁華街の大部分を含む都市部のほとんどが水没すると予測されている。政府は新たな排水システムと護岸堤防など、水害対策やダムの建設に資金を投入している。

大阪の大部分も水没を免れず、オランダのGDPに匹敵する経済規模を誇る商業地域が冠水すると見られる。地域経済を脅かし、大都市圏に暮らす1,900万人の住民にダメージを与えることになる。 海面上昇および気象災害から都市を守るコストは甚大となるが、これに拍車をかけるのが、増え続ける暴風雨による補修費である。気候変動によりアジアでは多くの地域が水没すると見られる中、今から対策を講じる必要性がますます高まっている。

気候変動で高まる都市部のリスク

浸水に加え、熱中症や干ばつ、水不足が都市部のリスクを高める。とりわけ基本的なインフラが未整備な状態や、風雨にさらされた地域に居住する者のリスクは大幅に高くなる。さらに気候変動は経済成長を鈍らせ、食糧不足を深刻化し、貧困の罠を拡大させ、飢餓の多発地帯を生み出すことになる。

高リスクな地域性と都市部の脆弱性を併せ持つアジアの都市部は、地球温暖化が進むにつれて紛争と困窮の火種を抱えることになる。すでに東南アジア全域の都市は、干ばつが引き起こした森林火災による煙霧に苛まれている。これから先、土地はますます干上がり、草木が枯れることで森林火災が多発し、問題はさらに深刻化するだろう。気候変動に関連する土地の喪失や食糧不足、水不足、生態系の劣化により、環境難民が増え続けると予想される。

今世紀を通し、気候変動は多くの地域で健康障害を増加させるだろう。具体的には過酷な熱波や火災による犠牲者の増加や貧困地域での食糧生産の減少による栄養不良、さらに食物や飲料水媒介の疾病によるリスクの増大などである。貧困層がもっとも早く、そしてもっとも深刻な状況に追い込まれる。

企業が講じる気候変動対策とは

現在行われているさまざまな科学的アセスメントの結果から、気候変動による影響が世界中で高まり、温室効果ガスの増加が壊滅的な結果を招くリスクが日々増大していることは明らかだ。この10年の間に出された予測の大多数は、撤回できないのだ。われわれは最悪の事態に備える必要がある。この中で、民間セクターは気候変動に起因する災害に備えると共に、強靭性を高め、災害リスクを軽減する取組みに貢献していくことができる。

企業は以下の4つの分野で対策を講じ、気候変動がもたらす影響の軽減を図るべきである。

  • 温室効果ガスの排出を監視、報告さらに検証する。企業は手始めに温室効果ガスに関するインベントリ(目録)を作成することで、直接および間接的な排出量を把握し、新たな気候変動政策に先手を打つことができる。排出量の報告を義務づけていない国においても、あらゆる事業活動からの排出量を測定して報告することが有効である。
  • ビジネス戦略に気候変動を盛り込む。企業全体を通して専門性を活かすべく、包括的な気候変動の戦略を策定するには、経営者レベルが率先しなければならない。数十年先を見通して、主要なビジネスリスクを特定することに主眼に置きつつ、緩和策と適応策を打ち出す必要がある。将来的なコストを回避するために、直ちに行動を取ることが要なのだ。
  • リスクとチャンスを探る。急変貌を遂げる世界で企業が生き残るには、リスクを軽減し、将来に備える長期的投資を目指すことが有効である。政策立案のプロセスに関わることで、企業は不確定要素を減らし、ビジネスチャンスを特定できるのだ。
  • 早急に知識と専門性を構築する。過去の教訓から学び、将来の予測を立てる。必要となる人材育成に今から取りかかるのだ。二酸化炭素排出に関する今後の政策について知識を深め、多様なステークホルダーが今後この問題にますます注目していくことに先手を打っていく。

執筆:リチャード・ウェルフォード
CSRアジア週刊ニュース日本語翻訳版

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