Global CSR Topics

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2018年 世界が直面する食料安全保障、栄養不良、食品廃棄物の問題

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国連食糧農業機関(FAO)の最新レポート「2017年版 ヨーロッパ・中央アジアにおける食料安全保障と栄養の現状」によると、 アジアでは依然として1,430万人が食糧不足の状態にあり、栄養不良の問題が深刻化している。この中で、持続可能な開発目標(SDGs)の2(飢餓撲滅、食料安全保障および栄養改善の実現、持続可能な農業の促進)を2030年までに達成することを目指し、食料安全保障と栄養状態に関するさまざまな指標を分析した上で進捗状況を測っている。

本レポートは食事エネルギー供給量、栄養指標、貧血と肥満、さらに食生活の変化がさまざまな人種に与える影響を検証している。アジア地域ではここ数年、かなりの前進が見られたが、ここにきて陰りが見られる。食料安全保障の唯一の最大障壁としては、依然として貧困が挙げられる。

栄養不良の三重負荷とは

しかしながら、すべての人が栄養不足な状態にあるわけではない点を本レポートは指摘する。アジア地域のすべての国において、三大栄養障害に該当する低栄養と栄養過多、微量栄養素欠乏の1つあるいは複数が見られる。この3つが同時に起こる栄養不良の「三重負荷」と呼ばれる状況にある場合も多い。FAOによると、子どもの低栄養と肥満が高い割合で同時に起きている国も多い。アジア地域では、食料安全保障および栄養に関する二大懸念事項として、微量栄養素欠乏と年齢・性別を問わず栄養過多が挙げられる。
本レポートによると、成人人口における栄養過多も深刻な問題であり、2000年~2014年にかけて肥満成人の数が30%増加したと指摘している。

アジア地域における肥満率の上昇は、高カロリーの食品の消費につながる1人当たりの所得の増大と共に、座っている時間が長い生活様式と密接に関連している。しかしながら肥満は低所得層にも見られる。これは総脂質や糖分、その他の精製炭水化物が多い安価な食品の消費に偏る傾向があるためだ。健康的な食事についての意識の低さからも、アジア地域のさまざまな所得層にわたり、過体重と肥満の増加を招いている。

本レポートによると、アジア地域では男女共にさまざまな形の栄養不良に見舞われている。出産可能年齢の女性は貧血のリスクが高く、公衆衛生上の問題となっている。消費する食物の栽培や購入、加工、調理の大部分は女性が担っているが、栄養改善を着実に進めるには、女性のみならず男性も取組みの対象とすべきだ。

気候変動も深刻な課題のひとつ

2017年度版のレポートは、「気候変動が天然資源の脆弱性と枯渇を招く中で、食料安全保障を確保するための管理方法の改善」というテーマに焦点を当てている。アジア地域では食料需要が拡大し、消費パターンも変化し、さらに都市化が急速に進んでいる。
同時に、多くの生産システムはすでに持続不可能であり、気候変動や異常気象がもたらすダメージに対しても脆弱であるため、将来的な生産性が危惧される。食料安全保障を確保するには、農業生産を増大させ、強靭性を高め、さらに天然資源の有効利用を促進する必要があるのだ。

アジアでは多くの国が気候変動および変動性に対して最も脆弱な状態にある。FAOによると、すでに農業生態系への悪影響に晒されている国も少なくない。農作物や家畜、林業、水産業への打撃や損失が報じられているのだ。

真のウェルビーイング実現に向けて

2018年に取り組むべき喫緊の課題として、食品廃棄物の削減が挙げられる。世界全体における食料生産量の30%以上がロス・廃棄されているため、対策が急がれるのだ。食品の無駄を省き、バリューチェーンに沿って食品ロスを削減することで、生態系の脆弱性を軽減し、温室効果ガスの排出を削減、農業食品システムの生産性を高め、食料安全保障および栄養を促進することができる。

食料安全保障および栄養問題の解決には、政府と民間セクターの協働が重要である。食料安全保障の四本柱である「入手可能性、アクセス、活用、安定性」を網羅する政策的枠組みを構築した国はごく限られているのが現状だ。食料安全保障を達成し、国民(企業にとっては従業員と顧客)のウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること)の改善には栄養問題の解決が鍵となることを、政府も企業も理解する必要がある。

協働態勢のもと、栄養に関する政策とプログラムを策定し、社会的保護や農村開発、食品廃棄物の削減、栄養に関する啓発活動などを加えた複合的な取組みを進めると共に、栄養不良の形態別に根本原因を究明しなければならない。

執筆:リチャード・ウェルフォード
CSRアジア週刊ニュース日本語翻訳版

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