3万人の大量脱退 このままでいい?企業と労働者の関係性
3ヵ月で3万人以上の組合員が脱退-約4万6千人いた組合の規模が3割以下に。
今年の春に起きたJR東日本最大の労組、東日本旅客鉄道労働組合での出来事です。
経緯は東洋経済オンラインの記事に詳しく書かれています。
JR東労組「3万人脱退」で問われる労組の意義JR労組の脱退問題続報、「無所属」が大量発生
この異常事態の直接のきっかけとされるのが、今年の春闘で会社側に提起したストライキ権の行使。
基本的には、本来の業務以外に参加しない「非業務ストライキ」ということでしたが、要求が認められない場合は指名された組合員が 業務を拒否する「指名ストライキ」も計画していました。
日本のストライキは「絶滅危機」に?
ストライキは欧州では労働者の当然の権利として認められており、日常的に行われ、市民の理解もあります。
一方の日本では、ストライキはほぼ絶滅したといっても過言ではありません。
今回の大量脱退の背景には、
「お客様に迷惑がかかる」「高給をもらっているのに理解が得られない」
といったストライキに対する批判だけでなく、これまでの組合運営のあり方に対する不満、さらには事実として、あるいは意図的に作り上げられてきた
労組に対する負のイメージがあります。
特にJRにおいては、国鉄の民営化に伴う複雑な歴史があります。
年々存在感が低下する労働組合
ストライキだけでなく、労働組合自体も、存在感は年々低下しています。
最新の調査では、推定組織率はわずか17.1%しかありません。
企業別に労使が協調する労働組合の形は、日本独特のものです。 正社員を中心に組織され、非正規雇用の拡大など労働環境の劣化に十分な対応ができてこなかったことは事実です。
またその前提となる労使の「信頼関係」は、非常に曖昧な言葉で、ともすると日本においては大きくマイナスに働くこともあります。
こうした労働組合を巡る状況に対し、もっと危機感を持つべきではないでしょうか。
企業のCSRレポートを見ても、労働組合を組織する権利は認めていても、実態としては組織されてない、あるいはどれだけ活動しているかわからないというケースがほとんどです。
大切なのは労使間の健全な対話
大切なことは、従業員の権利が守られ大切にされていること。
そしてステークホルダーとしての従業員の声が経営に届く仕組みがあり、ちゃんとその声が反映されていること。
従来の労働組合の形にこだわる必要はありません。
・個人で加入できるユニオンを認め会社側も参加を後押しする
・従業員代表が経営やCSRの委員会に参加する
・従業員が株式を保有するコ‐オウンドの形態をとる
・通報制度が積極的に活用される状況を作る
など、その会社独自の形を模索してもよいと思います。
健全な対話ができていないことに、もっと労働者側も、そして経営側も、危機感を持つべきではないでしょうか。
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