Global CSR Topics

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【日本】日立製作所、外国人技能実習生に解雇通知。日本にも広がる人権マネジメントの重要性

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法務省は10月12日、安倍晋三首相が3月に経済財政諮問会議で下した指示に基づき、外国人の単純労働者受け入れを認める新たな在留資格案を発表した。今年の臨時国会に入管難民法改正案を提出する。背景には深刻な人手不足がある。その一方、朝日新聞は10月5日、日立製作所がフィリピン人技能実習生20人に実習期間途中での解雇を通告したと報じた。外国人の単純労働では、強制労働等の人権リスクが潜んでおり、今後日本企業でも国内での人権リスクマネジメントが必要となってくる。

日本では現在、外国人の単純労働は原則禁止されている。例外的に存在しているのは、まず、大学、専門学校、日本語学校等の留学生。留学ビザ保有者は就労禁止が原則だが、資格外活動許可を受けた場合は一定の範囲内で就労が認められるため、日本でも留学生が就労ケースが一般化している。もう一方は、外国人技能実習。技能実習ビザ保有者は、政府の認定・管理の下、特定の技能の習得が得られる業務のみが認められるが、日本企業では「人手不足」理由で技能実習制度に着目するケースが増えており、技能習得が叶わない「単純労働」に違法に従事させる事態や、募集時点の通知業務と実際の業務が異なるケースが横行している。

【参考】
【国際】米国務省、2017年版人身取引報告書発表。日本は最高位の評価取れず(2017年7月13日)

日立製作所のケースでは、鉄道車両製造拠点の山口県下松市の笠戸事業所で働くフィリピン人技能実習生20人が、国の監督機関「外国人技能実習機構」から実習計画の認定が得られず在留資格が更新されなかったことで、実習途中の解雇を通告した。朝日新聞の取材では、技能実習生は「(実習目的とは)全く違う仕事だった。日立は一流企業だと思っていたが、何もしてくれない」と語っており、募集時点の通知業務と実際の業務が異なったことが露呈した。法務省や監督機関「外国人技能実習機構」も、実習生に目的の技能が学べない作業をさせている疑いがあり、7月に技能実習適正化法違反の疑いで実地検査していた。

技能実習生は、2017年7月に3年間の実習のため入国。今年9月20日付で在留資格が技能実習から30日間の短期滞在に変更され、即日解雇を通告された。日立製作所は、「解雇予告手当」として月給相当の十数万円を技能実習生に支払ったが、技能実習生側は「雇用契約は3年間で不当解雇だと主張し、残り期間の賃金が補償されなければ日立を相手取り損害賠償を求めて訴訟を起こす方針」(朝日新聞)だという。さらに2017年8月に入国した他の20人のフィリピン人外国人技能実習生にも同様の措置をとる模様で、合計40人となった。

経団連会長を務める中西宏明・日立製作所会長は、10月24日の定例記者会見で「不適正なものはないという認識でやっていたところが、不適正だと言われて困ったなと。雇用には責任が伴うから、解雇通告を出したが、このくらい(の補償)は、と決めたのだと思う」(朝日新聞)と表明。トップが問題を強く認識していなかったことを堂々と示してしまった。一方、解雇通告を受けた技能実習生らは広島市の個人加盟労組「スクラムユニオン・ひろしま」に加入し救済を求めている。朝日新聞は、技能実習生によると年末までに在留資格の更新が来る合計99人に解雇の恐れがあるといい、うち65人が同労組に入ったと報じた。

法務省が10月12日に臨時国会に提出する入管難民法改正案では、一定の知識・経験を要する業務に就く「特定技能1号」と、熟練した技能が必要な業務に就く「特定技能2号」の2つの在留資格を新設し、外国人労働者の拡大に道を開く。受け入れ分野は「人材を確保することが困難な状況にあるため,外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野」とし、これまで原則禁止だった単純労働分野となる可能性が高い。

日本の人口減少の中で、外国人労働の受け入れを拡大する必要性は増加していく。日本企業はこれまで「国内には人権問題はない」として、人権問題を軽視してきた。一方、外国人労働者が国内でのサプライチェーンにも浸透してくる中、企業には、サプライチェーン上全体で適切に外国人労働者を扱う人権マネジメントが求められていく。

【参考】
【国際】アパレル業界123社、サプライチェーン上で強制労働撲滅にコミット。AAFAとFLA策定(2018年10月28日)
【法務省資料】新たな外国人材の受入れに関する 在留資格「特定技能」の創設について

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所 [原文はこちら]

2018/10/29
Sustainable Japan

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