Global CSR Topics

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脱ショートターミズムへ CEOと投資家グループが描く長期戦略のあるべき姿

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資本市場に長期志向を根付かせようと、CEOと投資家によるイニシアチブが立ち上がっています。それが、大企業を中心とした200社以上のCEOが参加するChief Executives for Corporate Purpose(CECP)から生まれた、Strategic Investor Initiativeです。ブラックロックやゴールドマンサックスといったアセットオーナーや年金基金などの機関投資家と、ジョンソン&ジョンソンやIBM、ネスレといった22の企業のCEOが参加しています。

ここでの長期は、3~7年です。企業を四半期や売上目標で見るのではなく、持続的な価値創造に重要となる、メガトレンドに対応した成長、戦略、リスクを通して企業を理解するために必要な企業と投資家とのコミュニケーションとは何かをテーマに、トップが自社の長期戦略を長期投資家に伝えるための指針作りを目指しています。

これまでに3つの報告書が発表されています。

The Economic Significance of Long-Term Plans

この報告書で興味深いのは、長期戦略の発表が、株式市場でどう反応したかを実際に分析したことです。参加企業トップが機関投資家に実際に長期戦略のプレゼンテーションを行い、市場の反応を分析しました。参加投資家の運用資産総額は25兆ドルを越えます。

結果、プレゼンテーションの3~5日に、株価と取引量の双方で通常とは異なる反応が見られました。これは発表の内容を投資家が価値あるものと判断した結果と解釈ができます。特に企業パーパスや競争的ポジショニングに関する内容が、より大きな市場の反応につながっています。一方でアナリストによる業績予想の評価見直しは見られませんでした。

また、良い長期戦略を構成する9つのテーマと22の項目を挙げています。例えば企業パーパスについては、それ自体が良いかどうかではなく、長期戦略や目標と合致したものになっており、従業員が自身の仕事をパーパスに沿ったものであるかどうかを実感できているかということが重要といった指摘がされています。

The Economic Significance of Long-Term Plans P11

The Economic Significance of Long-Term Plans P11


Method of Production of Long-Term Plans

具体的にどのように長期戦略を構築したかを、IRとCSRの担当役員へのインタビューを通じて分析しています。長期戦略の構築に必要な組織内のプロセスとして、部門を越えた協働やマテリアリティに対する共通理解の醸成、ESGの脱・縦割りといった要素を挙げています。

またIR資料やプレゼンテーションにも工夫が必要とし、プレゼンテーションは中核的な部分にとどめてコンパクトにし、周辺課題については投資家とのQAを通じて対話し理解を深めることなどを挙げています。

Communicating Long-Term Plans

どのように長期戦略をコミュニケ―ションに落とし込むかを、発表事例を踏まえ、良い長期戦略を構成する9つのテーマごとに重要なポイントを整理しています。

また開示における基本原則として、既存の開示情報を基盤に新たに付加されていること、コンテキストがしっかりしていること、マテリアルな項目に絞られていること、ESG・サステナビリティ要素が統合されていること、未来志向であること、パフォーマンスと紐づいていることを挙げています。

このようにグローバル先進企業においても、良い長期戦略の構築と開示とは何かについて、様々な実践と模索が行われています。各社が取り組む上でも、模範事例の後追いにとどまることなく、それぞれが試行錯誤しながら、自社にとってのあるべき形を追求していくことが期待されていますし、私たち自身もそれを支援していきたいと思います。

EcoNetworks
Sustainability Frontline [原文はこちら]


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