グットプラクティス

第11回 東京コカ・コーラボトリング

「自由が丘森林化計画」への参加が示す街と企業の“いい関係”

ルーフ緑化自動販売機除幕式の模様(左:自由が丘商店街振興組合 岡田理事長、右:東京コカ・コーラボトリング カヨン社長)

ルーフ緑化自動販売機除幕式の模様(左:自由が丘商店街振興組合 岡田理事長、右:東京コカ・コーラボトリング カヨン社長)

地球温暖化やヒートアイランド現象への対策として、最近はビルなどの屋上緑化が急速に広がりつつある。そうした中、2010年9月に東京都目黒区の自由が丘商店街に、ルーフ部分を緑化した自動販売機が登場した。これは、東京コカ・コーラボトリングが自由が丘商店街振興組合の協力を得て設置したもので、環境への貢献はもちろん、同社が地域に根ざしたCSR活動に本格的に取り組み始めたことを示すものでもある。この取り組みの経緯と今後について、東京コカ・コーラボトリングCSR推進部の今井由美子氏にお聞きした。

地域に根ざす企業として「身の丈に合った」CSR活動を

ザ コカ・コーラ カンパニーが示す事業指針と、4つの事業領域、7つの優先事項(東京コカ・コーラボトリング株式会社CSRレポートより抜粋)

ザ コカ・コーラ カンパニーが示す事業指針と、4つの事業領域、7つの優先事項(東京コカ・コーラボトリング株式会社CSRレポートより抜粋)

世界屈指のブランド・国際企業グループのコカ・コーラは米国アトランタに本社を置くザ コカ・コーラ カンパニーを中心に、世界各地域で生産・販売組織を築いている。日本では原液の供給、製品の企画開発、広告展開などを行う日本コカ・コーラと、製品の製造・販売を担う12社のボトラー社および、その他の関連会社で生産・販売体制を構築。そのボトラー社のうち東京都を営業エリアとしているのが、今回ご紹介する「東京コカ・コーラボトリング」で、同社は2009年8月、それまで社内の各部で個別に実行されていたCSR活動をとりまとめる部署としてCSR推進部を発足させた。
「ザ コカ・コーラ カンパニーが示した、 “Live Positively―世界をプラスにまわそう―” という事業指針と、それが規定する “市場” “環境” “地域社会” “職場” という4つの事業領域に合わせて活動できるよう当社も体制整備を進め、その一環としてCSR推進部が設立されました。そして部の発足後、自分たちの “身の丈に合った” CSR活動とは何かを考える中で浮き彫りになったのが、当社の販売エリアである東京という地域に直接プラスになる貢献活動でした」
世界規模のCSR活動ならアトランタのザ コカ・コーラ カンパニーが主導するものがあり、国内全体を対象にする活動であれば日本コカ・コーラが対応している。東京コカ・コーラボトリングが独自に行う活動であれば、東京という地域のための、地域と一体になった活動こそが「身の丈に合った」ものになる。そうして具体的な活動内容を検討していたとき、営業担当者から1つの相談がCSR推進部に持ちかけられた。これがのちにルーフ緑化自動販売機の設置を含む、自由が丘地域との「身の丈に合った」CSR活動へつながることになる。

事業とリンクすることで、持続的で発展的な活動に

CSR推進部 今井由美子氏

CSR推進部
今井由美子氏

自由が丘は、各種の「住みたい街調査」で首都圏ベスト3の常連になっている人気の住宅地であるとともに、駅周辺に1,500店を超える商店が集まる一大商業地でもある。それらの店舗のうち1,285店が加盟する『自由が丘商店街振興組合』は日本最大規模の商店街組合で、街のオフィシャルガイドウェブを運営するなど地元の活性化に積極的に取り組んできた。その商店街組合が2009年、自由が丘にエコタウンという新たな特色を加え、街に緑を増やそうと『自由が丘森林化計画』をスタートさせた。
この計画の核となるのは、街のエコ活動への参加や、PASMO・Suicaを使っての買い物で貯まるポイント制度を設け、それを街の緑化基金に寄付できるという仕組み。PASMO・Suicaの決済金額の一部は、商店街組合の負担で基金に寄付される。また関連事業として、緑化の象徴ともなる養蜂事業や、廃油を燃料としたバスの運行、古本回収、エコイベントなどが行われている。そして商店街組合は、この森林化計画をより大きなものとするため、オフィシャルパートナーを求めていたのである。営業担当者が情報を得てCSR推進部に打診してきたのは、この森林化計画への参画だった。
「CSR活動の中でもコンプライアンスなどは別途担当部門があり、私たちCSR推進部は事業と結びついた活動に主に取り組んでいくという方針を固めていました。持続性や発展性を考えても、やはり事業とのリンクが必要です。その点で、営業部門から上がってきた自由が丘森林化計画のオフィシャルパートナーという話は、環境や地域の活性化に貢献できると同時に商店街との関係強化も図ることができる、まさに私たちが目指すものでした」
一方、この話が持ち上がった同じ頃、日本コカ・コーラで開発が進んでいたのが「ルーフ緑化自動販売機」だった。自由が丘の森林化計画にはまさしくうってつけで、東京コカ・コーラボトリングはこの自動販売機の導入を検討。そして9月15日、自由が丘駅の南口近くと「自由が丘スイーツフォレスト」の2ヵ所に緑化自動販売機を設置し、そのお披露目とともに自由が丘森林化計画のオフィシャルパートナー第1号になったことを発表した。

成功実例を示してボトムアップ型のCSR環境をつくる

2台の緑化自動販売機には、森林化計画への参画を示す特別なラッピングが施されており、この自販機の売上げの一部は緑化基金に寄付される。またオフィシャルパートナーとしての活動では、10月10、11日に開催された「自由が丘 女神まつり」のエコイベントにブースを出し、トークショーに中野泰三郎副社長が参加し、以降年末にかけてコラボレーションイベントが目白押しだ。
「緑化自動販売機の除幕式には30社近くのマスコミの方にお集まりいただいて、森林化計画の注目度アップにもつながり順調な滑り出しになったと思います。その後、女神まつりへの参加などで、自由が丘という街は商店も住民の方も地元への愛着が非常に強く、またこの街にキャンパスを持つ産業能率大学も地域に密着した活動を幅広く行っていることを知りました。今後、商店街に加えて大学との連携も考慮に入れながら森林化計画のサポートを行っていく計画です」
森林化計画に関する商店街組合との会合は随時開かれているが、年度の途中から参画したため新たな企画を盛り込むには限度がある。来年以降、年間の計画を立てる段階から参加して、オフィシャルパートナーとしての活動もいよいよ本格化する。今回の取り組みはCSR推進部が発足して初めての大規模なもので、すべてがまだスタート直後の段階にあるようだ。
「CSR活動についての社内啓発も進めていく必要があり、そのためには先行事例をつくることが重要です。自由が丘商店街との取り組みが先例になり、成功体験として社内に広がっていけばと考えています」

東京コカ・コーラボトリングのような販売を主体とする会社では、社員の多くを占める営業担当者にCSRに対する理解を深めてもらい、取り組みに前向きになってもらうことが重要になる。事業とリンクした持続可能なCSRとはどのようなものか。その具体例を示して社内の意識を活性化し、それぞれに地域のことをよく知る営業担当者たちから自発的に活動の提案が出てくるボトムアップ型のCSR環境づくりのきっかけになることも、今回の自由が丘森林化計画への参画は担っている。

ルーフ緑化自動販売機

自由が丘の街にはルーフ緑化自販機が2台設置されている

自由が丘の街にはルーフ緑化自販機が2台設置されている

自由が丘駅南口の近くに設置された『ルーフ緑化自動販売機』。苔の一種である「スナゴケ」と人工芝を組み合わせた緑化シートでルーフ部を覆うことにより、表面部の温度上昇を抑え、冷却効率の向上に伴う消費電力の削減が期待できる(現在、第三者機関による評価中)。この自販機で緑化に用いているスナゴケは耐性に優れ、水やりや刈り取りなどメンテナンスの手間もかからない。

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