グットプラクティス

第17回 イオン、キリンビール、DOWA、日本製紙、日本テクノ、丸井の環境展示会出展

国内最大級の環境展示会は生活者とのコミュニケーションの場へと進化

日本最大級の環境展示会『エコプロダクツ2011』が2011年12月15~17日の3日間、東京ビッグサイトで開催されました。752の企業・団体が1,700以上のブースを出展、会場はビジネスパーソンから子どもまで多くの人で賑わい、来場者は3日間で18万人を越えました。第13回目となる今回は「Green For All, All For Green 日本発!エコの力で明日を変える」をテーマとして、東日本大震災からの復興に活用される環境技術を世界へ発信する思いがこめられました。
すべてのブースを詳細に見ることはできませんでしたが、わかりやすさやインパクト、来場者とのコミュニケーションが印象に残った企業などに、ブースのコンセプトやこだわりのポイントを伺ってきました。

イオン

お客様の思いを表現したメッセージで共感を呼ぶ

お客様と家族の思いを表現したパネル

イオンのブースは、電子マネーを使って買い物を疑似体験するゲームをはじめとして、ステージやエコツアー、ワークショップなど、来場者を呼び込むしかけが盛り沢山。実際、家族連れを中心に多くの人が集まってくる。メインとなる展示は、省エネができる商品、生き物を守れる商品、だれかに貢献できる商品、という分類で3つのコーナーを設けている。商品とともにショーケースに並んでいるのは、「お客様の思い」だ。

イオン株式会社
グループ環境・社会貢献部
部長 泊 健守氏

「今回のテーマは、『私にも明日からできることがある』。電気や資源を大事に使う、何か自分が行動を起こせばだれかの役に立てる、そういう意識が震災を機に高まってきているという前提でブースを作りました。PB商品を知ってくださいというアプローチではなく、お客様の意識に訴えて『そうか、こういう商品でこういうことができるんだ』と思い起こしていただけるように、メッセージにこだわって全体を考えています。例えば、『地球に無理をさせない商品』というメッセージ。農薬や化学肥料などの使用を抑えた商品は、環境にとっても家族にとっても安心だ、というお客様の思いを表現しています。

印字された指令(左)の順に商品を探し、商品そばの端末でWAONに記録を残す(右)

商品を並べただけではやはり詳しく読んでいただけないので、楽しくブースを回れるしかけも作りました。『お買い物ミッション』は電子マネーWAONを使いながら指令にあった商品を探すゲームで、去年の反省を活かしてお客様の動線を改善しました。ふろしき教室は中高年の女性に好評で、初日から多くの方に参加していただきました。私たちは展示会専門ではなく通常のCSR部門ですので、1つでも多くの記憶を持って帰っていただけるように実は泥臭く試行錯誤してやっています。」

キリンビール

お客様に「なるほどね」と感じていただく環境活動の伝え方

社会課題と事業の関連を見せる展示

黄色いビールケースを積み上げた外観は、遠くからでも「キリンビールのブースがある」ということが一目でわかった。クイズラリー形式で1~4番の展示を回るブースには、子どもも大人も多くの人が足を踏み入れていた。その展示を見ると、取り組みの成果よりもその根拠となる社会課題を前面に出している点が興味深い。

「さまざまな環境問題に取り組んできた結果、あれもこれも、という状態で、結局何を大事と考えているのか、伝わりにくくなっていることに悩んでいました。そこで今回は、社会の問題と自分たちの事業との結びつきを整理して、私たちがなぜその問題に取り組まなければならないのか、という視点で4つのパートにくくりました。例えば気候変動が起こると原料の出来や産地が変わってしまうので、そうならないようにCO2排出削減をする、というようにです。
コミュニケーションの方法も、技術的な面は後で必要な方に説明すればよいと思い、その手前でまず興味をもっていただき、納得していただけるよう、『何をめざしてなぜ取り組むのか』がわかることを念頭に置いています。『ここのブースが一番わかりやすい』と言ってくださったお客様も何人かいらっしゃいました。

キリンビール株式会社
CSR推進部 品質・環境室
主査 山村 宜之氏

そもそも展示の中身は、以前から工場で展開しようと思って制作を始め、既に掲示しているものです。各地の工場には年間約60万人を超える方々に見学に来ていただいていまして、今ブースで説明をしているのも、現場で説明にあたっているスタッフです。何に関心をいただいて、どう感じていただいたか、アンケートと実際に説明にあたったスタッフからヒアリングし、エコプロでうまくいったことを持ち帰ってそれを活かせるようにしようと思っています。」

DOWAエコシステム

社会課題に正面からぶつかる姿勢を相撲に重ねて

相撲をモチーフにした独特のデザインは会場内でひときわ目を引く

毎年、型にはまらない奇抜なデザインのブースで来場者を驚かせるDOWAエコシステム。今年は相撲をモチーフとして、土俵に見立てたステージの周囲に、「廃家電再生」「微量PCB処理」などグループの事業名を描いたのぼりや番付表、懸賞幕を想起させるパネルが並んでいる。相撲部屋の力士や女将が軽快な掛け合いで事業を紹介するステージと、その合間に催すブースツアーは行列ができるほどの人気だ。

ステージにはプロの役者に混じって社員も登場する

「なぜ相撲なのかというと、力士が修行でコツコツと培った技量を繰り出し、相手と『がっぷり四つ』に組んで正面からぶつかっていく、そういう姿勢を当社の企業姿勢に重ねて表現しています。今まで何年も出展してきた中で、金属リサイクルや廃棄物処理などの環境ビジネスは一般の方になかなか馴染みのない事業ですので、ブースをご覧になっても結局何をしている会社なのかわからないで帰ってしまうお客様がいらっしゃることがわかりました。

DOWAエコシステム株式会社
企画室
大原 千佳氏

そこで私たちがどういう社会的な課題に取り組んでいる会社なのか、企業姿勢を全面的に出したブースにしたいと考えました。BtoBの会社として、最大の環境展示会であるエコプロは、普段直接お話できない方々と触れ合える機会ということで大事にしています。DOWA自体をまったく御存じのないお客様、そしてDOWAという名前は知っているけれども何をやっているかよくわからないというお客様に、今環境の分野でこうした姿勢でこうした取り組みを行っていますよ、ということをアピールしたいと思っています。」

日本製紙グループ本社

内容をかみ砕き、ソフトもハードもシンプルに

木組みのブースは中の様子をうかがうことができて入りやすい

日本製紙のブースは「木の学校」と題して、大きな木組みの小屋に、「未来の循環型社会」を伝えるステージ、それを立体化したジオラマ、4つのパートにわけてシンプルに説明したパネル、そして中央のグループ製品の展示で構成されている。ノベルティの配布や体験コーナーのような派手な集客は行わず、来場者にわかりやすく伝えることに注力。展示内容だけでなくブースの構造にまで伝えたい内容を落とし込んでいた。工夫した点について、CSR本部広報室の亀井智子氏にお話をお聞きした。

「以前は商品中心の展示でしたが、最近は日本製紙グループの取り組みを広く紹介することにして、パネルを使った展示が多くなっています。メインのパネルはイラストと簡単な文章でできるだけシンプルに、子ども向けに作ることで、大人の方にも容易にご理解いただけるようにしています。展示の内容をきちんと見てもらえるように、ステージ上の『循環型社会』を表すパネルを4つのパートにわけて説明したり、興味を引きやすいジオラマを制作したりという工夫をしました。

パネル展示と連携した循環型社会への貢献を伝えるジオラマ

『木質資源を総合利用する日本製紙グループ』として、木から作られた各種製品を取りそろえて、木を余すことなく使っていることを表現したいと思っています。ブースの部材もほぼすべてがグループの製品で、天井や床材はすべてリユースでき、今年のブースも一昨年、去年のエコプロで使った部材に少し買い増して作っています。保管しておけば来年もリユースできます。」

日本テクノ

巨大な時計が出迎える、BtoCへの展開をめざした展示ブース

巨大な時計が出迎えるエントランスに思わず足が止まる

東2ホールの入り口を入るとすぐ右手に巨大な時計が設置されたブースがあった。出展者の「日本テクノ」は、一般にはあまり聞き慣れない社名である。入り口を入ってすぐの好立地にこのような目立つブースを展示する「日本テクノ」とはいったいどのような企業なのか、また、ブースのコンセプトは何なのか、広報室 室長の中山 大志郎氏にお話をお聞きした。

「SMART CLOCK」と「SMARTMETER ERIA」で電力の使用状況を一目で把握することができる

「エコプロに出展するのは今回が初めてです。当社はこれまで企業向けに『電気の見える化』を通じた省エネの提案など行ってきました。その中で、電気使用状況がより簡単にわかるように、“色”と“表情”で使用状況がわかる『ERIAモニター』などを開発してきました。ただ、いくら電気使用状況をわかりやすく伝える工夫をしても、それを見てもらえないと意味がありません。どうしたら見てもらえるかを考える中で、『SMART CLOCK』を開発しました。『SMART CLOCK』は、わかりやすく言うと電力の使用状況が一目で把握できる表示が付いた壁掛け時計です。企業に勤める方であれば、必ず1日に何度か時計を見る機会があると思います。普段見ている時計をこの『SMART CLOCK』に変えていただくことで節電や省エネ意識を高めていくことができます。

日本テクノ株式会社
広報室
室長 中山 大志郎氏

企業向けに開発したものなので、デザインなどは再考する必要はありますが、この『SMART CLOCK』は一般の家庭でも受け入れられるのではないかと考えています。今回エコプロに出展したのは、一般の方々に当社の製品を知っていただき、また、一般の家庭で利用していただくには当社が何をしなければならないかを知る機会にしたいという思いがあります。ブースに巨大な時計を設置したのも、一般の方に向け当社の製品をわかりやすく伝えたいという考えがありました。」

丸井グループ

リアルな店舗をイメージし、ブースにて衣料品下取りチャリティーも実施

実際の店舗をイメージし、衣料品をディスプレイしている

ブースに訪れた来場者にエコバッグなどのノベルティを手渡すブースは多いが、来場者に何か持ってきてもらうというブースはほとんどなかったのではないだろうか。丸井グループは、エコプロ開催期間中にブースにおいて「被災地支援 秋冬物衣料品下取りチャリティー」を開催し、秋冬物衣料品をブースに持ってきてもらえるよう呼びかけを行った。エコプロにおいて、こういった取り組みを行った背景について、CSR推進部 環境・CSR担当 課長の大森 和幸氏にお話をお聞きした。

「当社のブースは実際のマルイの店舗をイメージしています。衣料品下取りキャンペーンをブースで実施したことについては、この取り組みを広く発信したいという意味合いもありますが、実際の店舗で行っている環境活動などの取り組みをリアルに再現しようとすると、衣料品下取りチャリティーの紹介も当然含まれるという考えの方が近いです。

衣料品下取りチャリティーをブースでも開催

今回ブースで実施している『被災地支援 秋冬物衣料品下取りチャリティー』は、当社がこれまで進めてきた『循環型ファッション』の取り組みの1つとして実施しています。『循環型ファッション』の取り組みとは、着用しなくなった衣料品を寄贈やチャリティー販売、リサイクル等により有効活用する取り組みです。この取り組みは、『着なくなった衣料品をどうにか有効活用したい』というお客様の声と、多くの衣料品がリサイクルされずに捨てられてしまっているという社会の課題に対して丸井グループとして何とか貢献したいという想いから開始しました。被災地支援のための下取りチャリティーも、お客様の『何とか被災地のお役に立ちたい』という想いと一緒に衣料品をお届けする『橋渡し』をさせていただいていると思っています。CSRレポートやWEBサイトでこういった取り組みの情報は発信していますが、エコプロのように多くの方が集まる場で当社の取り組みを知っていただくとともに、『お客様と一緒に取り組んでいきたい』という当社の考えを少しでも知っていただく機会になればと考えています。」

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