グットプラクティス

第19回 スーパーホテル

エコ活動でファン獲得
スーパーホテルの環境活動と地方創生

シンプルでLohasを追求したLohasホテルの客室内部

他業界と比べてCSR活動がやや遅れがちなホテル業界のなかで、スーパーホテルは2001年から環境活動に取り組んでいる。同社は全国115店舗に展開するビジネスホテルチェーン企業として、宿泊者をも巻き込んだエコ活動が特徴であり、「エコひいき活動」などユニークな事業を経営に根付かせ、「エコでLohasなホテル」というブランドイメージにもつなげた。2011年にはエコ・ファースト企業として認定も受けており、2020年までにCO2総排出量を46.7%削減(2009年比)する計画だ。これらの活動を開始した経緯や今後について、スーパーホテル経営品質部の星山英子氏にお話をうかがった。

環境活動を通して人々を元気に

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スーパーホテル 経営品質部
星山英子氏

同社が環境活動を始めたのは2001年。同年は熊本県水俣市が「環境モデル都市づくり宣言」を全国に先駆けて行った年で、水俣市は「公害の町から環境の町へ」とイメージ転換を図っていた。元は環境活動に熱心な市長からの要請という受動的なきっかけだったが、山本梁介会長が水俣市を何度も訪れるうちに取り組みは加速していった。環境活動が水俣市に根付き、市民が日ごとに生き生きと変わっていく姿を山本会長が目の当たりにして、環境に取り組むことの成果を実感。「環境活動を通して人々を元気にする」という思いが芽生え、同社の本格的な取り組みが始まった。

ホテル施設や運営自体の環境配慮のほか、宿泊者を巻き込んだ「エコひいき活動」を2008年から実施している。これは、連泊時の清掃を断ったり、マイ箸やマイ歯ブラシを持参するなどした宿泊者に対して、ミネラルウォーターやお菓子などをプレゼントする企画だ。このほか、浴槽に目盛をつけて節水を促したり、客室に分別ごみ箱を設置したりと、宿泊者にも環境活動に参加してもらうための工夫や仕掛けが施されている。従業員が接客時にエコ活動を勧めることもあるそうだ。

「今でこそ環境活動は当たり前になりましたが、導入当時のホテル業界はまだラグジュアリーが売りの時代でした。エコ活動を推進することでケチと思われないか懸念していたのは事実です。しかし、結果は好意的に受け取ってもらえるお客様が多数でした」と星山氏は話す。さらにエコを追及した「21世紀型Lohasホテル」を2009年に初めて奈良に開業した。加えて、公式ホームページからのご予約で宿泊に伴うCO2をカーボンオフセットする「エコ泊」も開始。理念に共感した女性や家族連れが集まり、新規顧客の開拓に成功、業績を伸ばしていった。

環境への意識が根付いた社風

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太陽光発電所(三重県伊賀市)

トップダウンで始まった環境活動だったが、従業員全体の環境意識も向上した。187人いる社員のうち67%(126人)が環境社会検定試験(通称エコ検定)に合格している。2015年からは合格者の受験費用を会社が負担するなどバックアップ体制も整った。
「エコ検定は、実はアルバイトアテンダントがきっかけで全社に波及したものです。スーパーホテル北海道釧路店で勤務していた従業員アテンダントが、『ロハスなサービス提供のために』と自発的に受験し、他の社員スタッフも受けるようになりました。検定ということで、環境問題が起きる背景や企業人としてあるべき姿勢などを体系的に学べるため、基礎知識の底上げにもなり、従業員のレベルアップにもつながっています」(星山氏)

「エコ検定は、実はアルバイトアテンダントがきっかけで全社に波及したものです。スーパーホテル北海道釧路店で勤務していたアテンダントが、『ロハスなサービス提供のために』と自発的に受験し、他のスタッフも受けるようになりました。検定ということで、環境問題が起きる背景や企業人としてあるべき姿勢などを体系的に学べるため、基礎知識の底上げにもなり、従業員のレベルアップにもつながっています」(星山氏)

環境活動でファンを獲得、ホテル業の展開につなげ地方を元気に

スーパーホテル江津駅前店

2015年12月に開業したスーパーホテル江津駅前店は、地域との協働によって開業した背景を持つ。同店舗がある島根県江津市では、過疎と高齢化の問題が深刻だ。江津市は、世界遺産である石見銀山のある大田市の隣に位置するが、これまで駅前にホテルもなく電車も1時間に1本程度しか走らない地域だった。江津市を元気にするためには、まず宿泊施設が必要だと考え、人を呼び込むためのホテルとして江津市長よりスーパーホテルに相談があったという。
スーパーホテルは事業展開に際して、建物一括賃貸方式のオーナー制のほかにフランチャイズ制も実施している。江津市と市内有志企業が株式会社江津未来開発を設立し、地元および他府県で活躍する江津出身者などを中心に出資が集まり、約200人の経営者や個人がオーナーという珍しい形の店舗がこうして生まれた。

スーパーホテルが開業したことで、地元の雇用創出にもつながった。ホテルのアテンダントや清掃スタッフは地元から採用している。また、同社は地産地消にもこだわっており、提供する朝食は江津市産の食材を使うことで、地域の農業にも貢献している。
現在、江津駅前店には多くのビジネス客や観光客、帰省客が訪れる。78室ある客室がオープン日は満室、その後も稼働率約90%を維持している。星山氏は「愛着を持って利用していただいています。オーナーとなった経営者地元の方々がスーパーホテルを宣伝してくださり、親戚の帰省にも必ず勧めているなんておっしゃってくださったりと地元が強力な応援団です」と話す。同社は地方都市への貢献とともに、ビジネスチャンスをつかんだのだ。

さらに、星山氏は続けた。「今後は全店舗でお客様への環境啓発を進め、お帰りになった後にも活動を取り入れていただけるような接客を目指したいと思っています。Lohasを行き渡らせることにより、どこにもないホテルになると思います。もっとお客様にLohasの価値を理解していただき、関わるステークホルダー総員で活動に取り組んでいきたいと考えています」

スーパーホテルのLohas

Lohasとは「Lifestyles Of Health And Sustainability」の略。健康的で持続可能性のあるライフスタイルのことをさす。今回記事では詳しく紹介していないが、スーパーホテルのLohasの取り組みは、エコ活動だけでなく、「朝食を食べる」「快適に睡眠する」「美味しい水を飲む」「天然温泉で癒される」など、多岐に渡って展開されている。

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