レポート事例集

「SDGs持続可能な生産消費の具体化~五輪の調達を好機に!~」参加報告

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2017年2月23日、企業のためのシンポジウム「SDGs持続可能な生産消費の具体化~五輪の調達を好機に!~」が開催されました。

2020年の東京オリンピックをきかっけとして、SDGsの中でも特に目標12「つくる責任つかう責任」の達成に向けた取り組みの加速を目指し、開催されました。

ここでは、シンポジウムで行われた講演内容など、簡単にご紹介します。


SDGsとサスティナブルな調達について 
慶應義塾大学大学院教授 蟹江憲史 

  • SDGsを活用することで、メガスポーツイベントであるオリンピックのサステナビリティ分野の取組のスケールアップを図ることができる。
  • SDGs 策定前の2013年には、オリンピックに際して環境や持続可能性に配慮することを定めた「ソチ宣言」が公表されている。
  • 東京大会の組織委員会は2017年1月に「持続可能性に配慮した運営計画」を策定・開示しており、持続可能性の概念を踏まえた運営がなされることが期待されている。
  • 運営計画では、「気候変動」「資源管理」「大気・水・緑・生物多様性等」「人権・労働・公正な事業慣行等への配慮」「参加・協働、情報発信」についての取り組みが計画されている。

東京都の持続可能な調達政策 
東京都知事 小池百合子

  • 東京オリンピックをきかっけに、東京をサステナブルシティにしていくことを計画している。
  • 特に「環境」「女性」「金融」に注力しており、くるみんマークなどの持続可能性に関する認証取得を推進。認証取得済の事業者から優先的に調達する取り組みも進めている。
  • 大会後もレガシーとして持続可能な農林水産業を継続していきたい。
  • そのために、都市鉱山からのメダル作成、LEDの普及推進・食品ロス対策、グリーンボンドの発行などに取り組んでいる

リレートーク「五輪の調達をいかにサスティナブルにするか」


持続可能なオリンピックへの道~東京2020の課題
自然エネルギー財団 常務理事 元東京都環境局長 大野輝之
  • オリンピックによる環境破壊への批判は、特に地球サミットも開催された1992年のアルベールビル大会で強まった。これを受けて、IOCのトップダウンではなく、開催都市主導のボトムアップで取組が始まり、1994年のリレハンメル大会は世界初のグリーンオリンピックと言われている。今ではIOCも持続可能性を重要視している。
  • ロンドン大会では、「持続可能なオリンピック」への取組として調達コードやビジョンなどが公表されており、「持続可能なロンドン2012委員会」による監視体制も敷かれていた。
  • 東京大会については、いまだに運営計画が策定されていない状況。まずは東京都の権限でできる範囲から、持続可能性に配慮した取組を進め、組織委員会に影響を及ぼすことが期待される。

五輪における持続可能な調達
ISO20400「持続可能な調達」日本代表エキスパート 冨田秀美
  • ISO20400(持続可能な調達コード)では商品及びサービスだけでなく、サプライヤーの持続可能性も考慮することになっており、東京大会の「持続可能な調達コード」も同様の考え方。
  • 東京大会をきかっけに持続可能な調達コードの実践が広まり、継続して調達されるようになると、生産者側としても提供し続けやすくなる。

東京大会準備状況「持続可能性ディスカッショングループ」における進捗と予定
東京都市大学環境学部教授 枝廣淳子
  • 持続可能性ディスカッショングループでは、具体的なアクションやプロジェクト、計画等について議論する場。ディスカッショングループとワーキンググループでは、持続可能性をテーマに議論がなされている状況。
持続可能性関連の各種グループの位置づけ

持続可能性関連の各種グループの位置づけ

出典:東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能性に配慮した運営計画フレームワーク

どのような環境対策をどうやって発注するかが心配。ここにも、企業は声をあげてほしい。
慶應義塾大学政策・メディア研究科 特任教授 元環境事務次官 小林光
  • 調達基準を高くすると供給量が足りなくなるという課題があるが、支払いの用意があれば解決できるはず。環境配慮にはコストがかかることを認識する必要がある。
  • 大会に関する課題を挙げるだけではなく、せっかくスポンサーになった企業がいるのだから、対話の場を設けるなどして解決の道を探るべき。

東京2020大会の懸念と期待(労働・人権分野を中心に)
一般財団法人CSOネットワーク事務局長(SUSPON) 黒田かをり
  • SDGsは途上国だけでなく先進国も対象としている。メガスポーツイベントは、特に労働人権問題が注目される。NGOなどから名指しされた企業は、行動規範の策定など、対策や取組を進めている。
  • ロンドン大会でも活用されたISO20121(持続可能なイベント運営のためのマネジメントシステム規格)の認証取得は既にコミットしていることなので、早期に進めるべき。
  • 東京大会は2020年が一つの区切りとなってしまうため、それ以降も取組が継続するような仕組みも必要。

リオ大会で講じられた具体的な環境対策とサステナブル調達の仕組み
ValueFrontier(株)取締役 梅原由美子
  • リオ大会の持続可能性に関するチームは、財務局計画部という予算を策定する部内に設置されていた。
  • 調達についてはSEDEXが活用されており、カーボンフットプリントで「見える化」して対策を講じていた。例えば牛肉と白身魚では白身魚の方が環境効率性に優れていることから、メニューを白身魚中心にするといった取組もなされていた。
  • まずは環境負荷を「見える化」し、最大限のCO2排出削減をしていく必要がある。

まとめ

  • オリンピックそのものに持続可能性への配慮が求められている。そのためには調達段階での配慮が欠かせないため、東京大会の調達基準を早期に設定することが求められている。
  • 調達基準の設定には供給量や現在の制度的な課題もあることから、スポンサー企業を中心として対話の機会を増やしながら、より持続可能な大会になるよう協力していくことが必要。
  • 東京大会の開催は2020年であるが、SDGsは2030まで継続する。そのため、大会開催後も取り組みを継続できような仕組みも求められる。

【参照サイト】
シンポジウム配布資料(自然エネルギー財団)
東京大会における持続可能性に配慮した運営計画
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会持続可能性に配慮した運営計画フレームワーク

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