レポート事例集

環境情報開示基盤整備事業ポータルサイトの可能性

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2017年3月3日、環境省による「ESG対話シンポジウム」が開催されました。

これは「環境情報開示基盤整備事業ポータルサイト」の活用方法に関するもので、当サイトのコミュニケーション機能や分析機能の可能性について議論されました。

全体進行
環境監査研究会代表幹事:本事業ワーキンググループ座長
後藤 敏彦氏
株式会社NTTデータ経営研究所 シニアマネージャー 大塚 俊和氏

ポータルサイトの状況

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  • 参加者数は着実に増えており、2016年度は企業255、投資家等160となった。
  • データベース、ライブラリ、対話、分析の機能を備えており、コンテンツも充実してきているが、まだ参加企業数が足りない状況。
  • 環境情報はCDPの回答結果を自動的に取り込むような仕組みとなっており、ライブラリ機能では各社のIR情報にもリンクしている。
  • ESG情報ライブラリ機能の活用が進んでおり、企業の82%、投資家の63%が役に立つと回答。
  • 本事業のゴールとしては「2020年に、本プラットフォームに情報登録しなければ、ESG投資銘柄として選定されない」くらいのメインストリーム化を目指している。

ポータルサイト内にある「コミュニケーション機能」とは

  • コミュニケーション機能は、企業と投資家等の双方向コミュニケーションがとれるものでチャットのような即時性も備えている。
  • 匿名での投稿も可能だが、投資家の記名率は17%から82%に向上している。
  • 特に株主総会前後での活用が目立っている。

ポータルサイト内にある「分析機能」について

  • 経営情報と合わせて分析できるように、有価証券報告書のデータを取り込んでいる。
  • CO2排出量と売上高を組み合わせたグラフ表示などができることから、企業の70%、投資家の78%が役に立つと回答している。
  • ただし利用したのは企業の28%、投資家の29%にとどまった。

ポータルサイトには以上のような状況と、機能が備わっていました。では企業側ではどのように活用できるのでしょうか。2社の事例が紹介されました。

企業サイドの活用事例

大和ハウス工業株式会社
総務部 経営管理グループ 東 健司氏
  • 株主総会前後で、プラットフォームを活用した対話を実施。
  • 総会前は、議案作成の考え方について、自社の視点に投資家の視点を考慮するために活用。
  • 総会後は、議決権行使の結果について、より深くリサーチするために活用。議決権行使ではYes/Noしかわからないが、対話を通じてその判断に至った投資家の考え方を知ることができた。
  • 対話の結果は、ガバナンス委員会や独立役員の委員会でも共有している。
株式会社 丸井グループ
ESG推進部 ESG推進担当課長 塩田 裕子氏
  • 丸井グループでは、2016年10月に「ESG推進部」を設置し投資家との対話を進めている。
  • これまでもお客様との対話は進めていたが、なかなか投資家との接点が無かった。このプラットフォームに参加したことで、投資家との対話の機会が得られるようになった。
  • 投資家向けのESG説明会なども実施しており、他の事業会社の方が参考にしたいと参加することもある。

一方、投資家側としてはどのように活用できるのでしょうか。

投資家サイドの活用事例


三井住友アセットマネジメント株式会社
  企業調査グループ シニアアナリスト齊藤 太氏
  • グラフ化といった分析機能の充実や保管データの拡大など、登録企業数が限定的ではあるものの、効率的にデータ分析できるようになった。
  • 運用責任を踏まえ、長期的に価値を創造できる投資先かどうかを判断するためには、ESG情報の適切な評価が欠かせない。
  • プラットフォームに参加したことで、IR以外の経営企画や環境部門と対話しやすくなった。

最後に…世界のESG投資の潮流と、この事業への期待

株式会社QUICK  常務取締役 ESG研究所長 広瀬 悦哉氏

  • QUICKの顧客は、巨額の運用資産を保有し、個別企業の業績や株価だけでなく、経済の成長性、市場の健全性への寄与なども考慮するユニバーサルオーナーが中心。
  • ユニザーサルオーナーの視点は、PRI原則がベースとなっている。署名した機関の運用資産残高は金融市場全体の50%を超えており、世界的にはESG投資(責任投資)が主流になってきたと言える。
  • ユニバーサルオーナーの投資判断は対話を重視しており、ESG要因を対話の結果に組み込んでいる。
  • ・資産残高世界第2位のノルウェー年金基金は「子供の権利、水、気候変動」というテーマに投資しており、毎年レポートを発行している。ESG評価が高い銘柄には、低い銘柄の2倍近くの金額が投資されるようになっており、企業側としてもESGに取り組むことが効率的な資金調達に結び付いている。
  • 欧米では株主総会での株主議案として環境に関する議題があがるほど、ESGが重視されてきている。
  • 本プラットフォームには、グローバルには無い基準で日本の企業力を発信できる可能性がある。まずは投資家と企業の対話の促進を目指してほしい。

【参考】
環境情報開示基盤整備事業ポータルサイト
※トップページの「イベントのお知らせ」から、当日の資料を入手できます。
ESG検討会報告書(平成29年1月)

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