レポート事例集

投資家は何を求めているのか? 環境省「ESG情報プラットフォーム」の活用

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2018年2月27日、環境省による「ESG対話プラットフォームシンポジウム」が開催されました。
そこでは「環境情報開示基盤整備事業ポータルサイト」の現在の活用状況などが報告されました。

当サイトでは、この「ESG情報プラットフォーム」の動向を経年で確認し続けていますが、

【関連記事】2017年3月「環境情報開示基盤整備事業ポータルサイトの可能性 」

一方的な環境情報開示にとどまらない、「ESG情報プラットフォーム」に発展しているようです。 今回はシンポジウムで紹介さえた内容を踏まえつつ、プラットフォームについて改めてご紹介します。

ESG対話プラットフォームとは

環境省が「環境情報開示基盤整備事業」として進めているもので、企業がCO2排出量やESG情報を登録することで、投資家等との直接対話ができるプラットフォームです。

ESG情報プラットフォーム:https://www.env-report.env.go.jp/


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出典:ESG対話プラットフォームウェブサイト


2018年2月時点の参加者数は、情報を登録する側の企業等が453社(企業ごとに登録)、情報を閲覧する側の投資家等が297名(担当者ごとに登録)と増加し続けています。

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出典:ESG対話プラットフォームシンポジウム配布資料


参加側のメリット

事業の目的が「投資家との対話」であることから、企業としては「投資家等との対話の機会が増える」というメリットがあります。実際に、事業に登録することで、下記のような相互コミュニケーションが生まれています。

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出典:活用事例集(平成28年度事例)


投資家のESG評価のポイント

シンポジウムでは、企業と投資家とのパネルディスカッションが行われました。プラットフォーム経由で対話実績がある企業と投資家、各3名が登壇し、企業側からの質問それぞれに、3名の投資家等が回答していました。

■企業側
・株式会社ダイフク 人事総務本部 環境品質グループ
・リコーリース株式会社 経営管理本部 経営企画部 CSR推進室
・大日本住友製薬株式会社 コーポレートガバナンス部 コーポレート・コミュニケーショングループ

■投資家側
・大和証券株式会社 シニアアナリスト
・野村アセットマネジメント株式会社 責任投資調査部
・株式会社りそな銀行 信託財産運用部

Q1、どのようにESG情報を評価し、投資先を決めるのでしょうか?

投資家等3名とも、もっとも重視するのは「自社による調査結果」との回答でした。自社の調査結果について、直接ヒアリングすることもありますが、基本は「開示情報をベース」としているそう。自社が何を開示するかが評価されるポイントになります。 また、外部調査機関の情報も参考にする場合もありますが、除外された企業があった場合にその企業を調査する程度だそうです。


Q2、大手企業による「CO2ゼロ宣言」は、その大手企業のサプライヤーへの投資判断に影響しますか?

この質問への回答結果は割れました。顧客の要求に対応できない見込みであれば「リスクになる」との回答があった一方、そういう大手企業のサプライチェーンに入っていることはリスクであるよりもむしろ「機会である」との回答もありました。 「そういうリスクがあると開示している企業への信頼感は増す」といった意見もあり、顧客の方向性といった外部環境を認識し、それを開示する姿勢が大切だといえそうです。


Q3、企業から投資家等にアプローチする場合、どのような方法が有効でしょうか?

Q1の回答でも記載しましたが、投資家等は企業が開示する情報をよく調査しているので、「情報を開示することが有効」という回答にまとまりました。 投資家等が重視するのは、「CO2排出量」などの個別指標よりも「企業の価値創造プロセスに、ESGをどう組み込んでいるか。そしてそれをトップマネジメントが説明しているか(裏付けがあるか)」だという意見もあり、企業全体での意識統一が重要とのことでした。 また、ESGを中心としたIRミーティングを開催する際は、「その主旨を明確にすること」が成功のポイントになるそうです。


最後に

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このようなパネルディスカッションの場がなくとも、対話プラットフォームを用いれば、企業は投資家に直接ESGの情報開示について相談することが出来ます。また、パネルディスカッションの中で投資家からは、「ESG情報をプラットフォームに登録している企業は目にとまりやすくなる」といった言葉も出ていました。
一方、投資家からすると、これまでIR担当としか接点がなかった中で、このプラットフォームによって環境部やCSR部といった新しい対話窓口が出来ることも、魅力だそうです。

そもそも、ESG投資家と対話をしてない、という企業もあるかと思います。まずは、このESGプラットフォームに情報を登録し、対話をはじめてはいかがでしょうか。


【参考】
■環境省 環境情報開示基盤整備事業「ESG対話プラットフォーム」
■シンポジウム当日の資料
■シンポジウム当日の様子(動画)

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