レポート事例集

進む、日本の環境対応。「企業版2℃目標フォーラム(第1回)」視聴報告

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環境省は、2018年6月、脱炭素経営に意欲を持つ企業や金融機関、再省蓄エネルギーサービス企業が、一堂に会して取り組みを共有する「企業版2℃目標フォーラム(第1回)」を開催しました。

YouTube環境省動画チャンネルでのライブ配信もあり、今回はその内容を抜粋してご紹介します。

中川環境大臣のスピーチ

  • 環境省では脱炭素経営の後押しのため、環境省自体もRE100に登録するなど取り組みを進めている。
  • 中小企業に対しては、エコアクション21を活用した支援を実施している。
  • さらに再生・省・蓄エネルギーサービス提供企業のネットワークも立ち上げ、アドバイザーを募集し、ニーズがある企業に紹介することも検討中。
  • 国には、脱炭素に向かう経済社会構造を作る責任があると認識し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)対応の手引き・炭素価格の設定によるコストの内部化・ESG対話プラットフォーム参加企業の支援も実施する予定

PRI(責任投資原則) 議長 Martin Skancke氏のスピーチ

  • PRIでは毎年「投資家がもっとも重視することは何か」を調査しており、最近では「気候変動」という回答が多い。投資家は「気候変動は、機会でもある」と認識しており、企業は低炭素経済社会への構造変化に対応していく必要がある。
  • 対応の必要性は、エネルギー関連企業だけでなく自動車会社やそのほかの企業にも共通。将来的には、変化できる企業とできない企業が混じった状態になると考えられるが、どうなるか決めるのは企業自身。長期的なビジネスの中で、収益をあげることと低炭素のビジネスモデルを作り出さなければならない
  • 投資家が正しい投資するようになれば、社会は良くなる。気候変動についても対話を行い、企業の取り組みが伝われば長期間での投資が可能。一方で変化できない企業からは投資撤退(ダイベストメント)する。よき投資が行われれば、低炭素社会への移行は不可能ではない。

CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)森沢氏

  • CDPは、投資家が環境情報の開示を企業に求める団体。金融機関が前向きな国では、取り組みや開示が優れた企業が評価される。取り組みや開示を意欲的にやっている企業はCDPを通じて情報を開示することで、様々な評価機関にも対応している。
  • CDPは、SBT、RE100などのイニシアティブに参加。We Mean businessがそのような取り組みを後押し。脱炭素は世界中で生じている競争と言える

脱炭素経営企業

企業側からは、SBTやRE100、EP100認定企業など7社が登壇。各社のスピーチでは、下記の項目が共通していました。

【7社の共通項目】

  • 気候変動対策はリスクではなく機会であり、事業継続のために必要なものと認識
  • 長期目標を策定するために、バリューチェーンや製品・サービスのライフサイクル全体で排出量を把握できるようになった。
  • 経営層をはじめとする社内の意識向上のため、社内セミナーなども実施。

その中でも特徴的だったのは、日本郵船による「グリーンボンド」の紹介でした。環境負荷の低い船舶や設備を購入するための資金調達を「グリーンボンド」で行ったのは、ESG投資家をはじめとする「資金調達リソースの拡大」、メディアなどが取り上げることで「将来的な企業価値の向上」を期待したためだったようです。実際にブルームバーグなどのメディアや投資家が自社サイトなどで紹介しており、効果があったそうです。また、グリーンボンドとして発行するために、外部機関による客観的な評価を取得したことも、信頼性向上につながるのではないかとのことでした。

再・省・蓄エネルギーサービス提供企業

このパートでは、再生可能エネルギー関連のサービスを提供する3社が登壇しました。 3社とも日本での再生可能エネルギーが進まない要因として、「価格」と「安定性」をあげ、「価格」は発電設備の建設コスト削減努力によって、「安定性」は発電施設の多様化によって、解決できるというお話でした。
政府の支援制度(FIT)に頼らなくても提供できる仕組みを構築しなければ、2050年の目標は達成できないという認識も共通していました。
主なコストは建設関連だけなので、これが回収できれば再生可能エネルギーはどの電源よりもコスト面で優れたエネルギー源になる」というお話は印象的でした。

投資家

最後のパートでは、気候変動対策を後押しする投資家が4社登壇しました。各社の取り組みは

  • グリーンボンドやESG債の発行支援や投融資
  • インテグレーションとして、通常の投資判断でもESGファクターを考慮
  • 環境、SDG、ESGなどをテーマとした企業との対話
  • 再生可能エネルギー活用推進を目的として、発電システムを提供する子会社を設立して事業化

など多岐にわたっています。
脱炭素に向けて、環境省の支援制度を活用するのもよいが、ぜひグリーンボンドを発行して支援させてほしい」というお話もあり、金融機関も脱炭素に向けて取り組んでいることが伝わりました。

2018年6月27日に「脱炭素経営による企業価値向上促進プログラム」の内容が公表されました。 目標策定や削減に向けた取り組みなど各種支援制度が用意されていますので、活用できるかどうか検討してみてはいかがでしょうか。
⇒脱炭素経営による企業価値向上促進プログラム


【参考】
企業版2℃目標フォーラム(第1回)の開催について

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