レポート事例集

第13回CSRランキング、TOP3企業の情報開示とは…?

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CSR企業ランキングとは、2006年から毎年東洋経済が発表している、企業のCSRと財務の両面から信頼度をはかるランキングです。

調査方法は、上場企業1456社・未上場45社の東洋経済「CSR調査」データと東洋経済が保有する上場企業財務データから、総合ポイント600点満点でランキングを作成しています。

今回は、2019年版として東洋経済が発表した「CSR企業ランキング」の上位3社の情報開示の状況などを紹介していきます。

CSR企業ランキング詳細


1位:NTTドコモ(総合得点574.1点)

事業概要:主要事業は電話サービスなどの通信事業で、その他にも配信やショッピングサービスなどのスマートライフ事業。

NTTドコモ HP

順位:2018年1位→2019年1

部門別点数:企業統治+社会性100.0点(1位)
環境97.3点(15位)
人材活用94.8点(21位)

NTTドコモ2018

サステナビリティレポート2018(178ページ)
ICTによって社会・環境へ貢献するとし、P27では「教育・学習」「健康・医療」「モビリティ」「生産性向上」「働き方改革」「気候変動」「その他」といった様々なテーマとICTを掛け合わせた取り組みの事例を紹介している。

サステナビリティレポート2018

環境面では、「Green Action Plan 2030」を掲げ、大きく「Innovative docomo」と「Responsible docomo」の2つのカテゴリーに分類される4つの目標に挑戦するとしている。 「Innovative docomo」では、自社ではなくターゲットを「社会」とし、「社会のCO₂排出削減貢献量4,000万トン以上」を目指す。
一方「Responsible docomo」では、通信事業における電力効率10倍以上(2013年度比)と力強い数値設定を行っている。

ドコモ統合

統合報告書(100ページ)
統合報告書は、基盤価値・事業価値・財務価値・経営価値・持続可能性価値の5つの価値で構成。
8つのCSR重点課題を設定し、その中に「コーポレート・ガバナンスの強化」を挙げているが、「 2名以上の独立社外取締役の確保」と言ったガバナンス組織に関する数値KPIを設定している。


2位:KDDI(570.0点)

事業概要:主要事業は携帯電話などの通信事業。その他にも映像や音楽、書籍のコンテンツ配信事業サービス、法人向けにIoTビジネスのサポートも展開。

KDDI HP

順位:2018年2位→2019年2

部門別点数:企業統治+社会性6位(98.3点)
人材活用14位(95.9点)
環境37位(95.9点)

KDDIサステナビリティ

サステナビリティレポート2018(109ページ)
マテリアリティを「安全かつ強靭な情報社会の構築」「セキュリティとプライバシー」「多様な人材」「エネルギー活用」「ICT活用」「人権尊重」の6つに特定し、それぞれに、課題認識や解決の目標・KPIを記載し、「マテリアリティハイライト」で方針、体制、活動などをより詳細に紹介している。
環境面ではNTTドコモと同様、2030年をターゲットイヤーとして目標を掲げている。

サステナビリティレポート2018 P91

KDDI統合

統合レポート2018(62ページ)
統合報告においてもサステナビリティ重要課題の見直しについて2ページ割き、大きくとりあげている。また、その非財務の6つの重要課題が、どのように財務価値につながっているかを想定算出し、財務と非財務のコネクタビリティを確保している。

その上で、統合レポートにおいても各重点課題に1ページずつ割き、説明を行っている。

統合レポート2018 P22

重点課題には「人権尊重と公正な事業活動の推進」「多様な人財の育成と働きがいのある労働環境の実現」と「人」に関する課題を2つ掲げており、人に重点を置いた取り組みを行っている。

例えば、多様な人材活用では、KPIに「女性ライン長200名登用施策の推進」「有給休暇取得率70%」「新卒女性採用比率30%」に取り組み、結果として「なでしこ銘柄」に6年連続で選出されている。


3位:花王(569.7点)

事業概要:一般消費者向けに、化粧品・スキンケア・ヘアケア・ヒューマンヘルスケア・ファブリック&ホームケア事業、産業界向けにケミカル事業を展開。

花王 HP

順位:2018年5位→2019年3

部門別点数:人材活用1位(100.0点)
企業統治+社会性53位(94.9点)
環境66位(94.6点)

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サステナビリティデータブック2018(239ページ)
花王は人材活用で1位となっており、バウンダリーは「花王(株)」ではあるが。就業制度とともに利用状況も詳細に記載。実績として「プラチナくるみん」認定も取得するなど働きやすい環境にあることが伺える。

サステナビリティデータブック2018 P153

また、「社員との対話」で3ページ、「健康」(従業員の健康)で7ページを割き、取り組みを紹介。例えば、社員の声・意識調査を計画的に実施しており、従業員の声を重視する企業姿勢が見える。

サステナビリティデータブック2018 P156


サステナビリティデータブック2018 P157

同様に、従業員の健康づくりについても、体制を明確に記載し、活動結果を数値開示。
このように、健康経営について「KAO健康2020」という目標を策定しており、「GENKI社員」の育成に力を注いでいる。

サステナビリティデータブック2018 P160

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統合レポート(86ページ)
特集では「変化をつくり出すことへの挑戦」として、社会課題解決起点で商品を紹介。またサステナビリティ活動が特集の続きとして「花王がめざすもの」の配下にあり、花王がサステナビリティを重視する姿勢が読み取れる。

花王の強みである「人材活用」の側面は、統合報告の中ではわずかな取り組み報告とKPI数値を開示するにとどめているなど、媒体としてのすみわけがされている。


このように、各社情報開示の充実もさることながら、取り組みそのものが進んでいるかが問われてきています。自社の評価で弱いと思われるESG側面は、優良とされる企業の取り組みを参考に、活動を検討されてはいかがでしょうか。

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