CSRレポート調査データ

本業と関わりのある社会貢献活動

次に、社会貢献活動の内容が企業の本業と関わりがあるか、という視点で振り分けた結果、グラフ4のようになった。

2-1.本業と関わりのある社会貢献活動

グラフ4 本業と関わりのある社会貢献活動

社会貢献活動は本業と関わりが見られないものが多い

1,189件の活動のうち本業と関わりのある活動は34.1%であり、特に関わりの見られない活動の65.9%を下回った。自社特有の事業そのものを活用する事は、社会貢献活動のさらなる充実や独自の社会貢献活動の展開に有効であると考えられるが、企業の社会貢献活動は現状では本業とは別のものとして扱われている事が多いようである。

また、活動の影響が及ぶ範囲と本業との関わりについては特に傾向は見られなかったが、NPO・NGO等と協働している活動よりも、協働していない活動の方が本業と関わりがある割合が高かった。

2-2.分野ごとの本業との関わり

グラフ5 分野ごとの本業との関わり

本業のリソースを教育分野にそのまま活用

グラフ1で分類した17の分野ごとに、本業と関わりのある活動の割合を示したのがグラフ5である。
本業と関わりのある活動の割合が50%以上を占めるのは「施設提供」、「出前授業・教育講座」、「学術振興・研究・産学連携」の3つの分野であった。
「施設提供」が63.5%と割合が大きいのは、事業所や工場での活動は本業をそのまま活かしやすいためと考えられる。特に国内施設で行っている教育分野や地域での活動事例が多く掲載されていた。
「出前授業・教育講座」や「学術振興・研究・産学連携」」「次世代(子ども)育成・支援」の割合が大きい背景としては、本業で培った技術や情報が教育界から求められている事が考えられる。

次いで割合が大きい「製品・物品提供」については、企業が自社で製造・販売している物品を提供する活動が多かった。国内外問わず事業所周辺地域や子どもへの寄贈、災害被災地支援としての提供といった事例が見られた。
なお、「技術提供・社員奉仕」が33.1%にとどまったのは、本業とは関わりを持ちにくい社員ボランティア活動をここに含めたためと考えられるが、社員が次世代や途上国などに技術やノウハウを提供する活動はもちろん本業を活かした活動だといえる。

本業でなくとも社会に求められる活動分野もある

「文化・芸術」「福祉(社会的弱者支援)」「スポーツ」の分野で本業と関わりのある活動の割合が小さかった背景として、今回の調査対象100社のうちこれらの分野を本業としている企業が少なかった事、またこれらの分野は本業を反映させにくい事が考えられる。
「環境」については、本業と関わりのある社会貢献活動として自社の事業における環境への取り組みを環境教育に活用するといった事例は見られたが、植林や清掃活動など本業の技術を活用しにくい活動の方が多かった。また、本業を通じて環境負荷低減に取り組む企業は多いが、その場合は社会貢献活動ではなく本業そのものとして報告されているため、今回の調査結果には反映されていない。

以上のように、本業と関わりのある社会貢献活動は、自社のノウハウや製品をそのまま提供できる分野・活動形態である事が多く、業種ごとに本業の特色を活かした社会貢献活動が紹介されている。

参考.教育関係の社会貢献活動と本業との関わり

企業による教育支援活動は、ここ数年の間に非常に多くなっており、特に、本業とのつながりのある教育活動が注目されるようになってきた。その背景にはいくつか理由があると思われるが、大きくは2つ、社会からの要請と企業側の動機であろう。

まず、社会からの要請という事では、経済産業省や文部科学省がキャリア教育の推進として企業に積極的に働きかけており、企業の持っている技術や知識、設備や製品を教育の現場に活用する事が望まれている。2005年~2007年の「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト」や2007年からの「キャリア教育等推進プラン」などが政策として進められており、2010年8月には「キャリア教育アワード」が創設され、企業による優れた教育貢献の取り組みを表彰する仕組みが設けられた。

一方、企業側の動機としては、2006年にマイケル・ポーターが戦略的CSR論(※)についての論文を発表して以来の流れの中で、単に慈善事業としての社会貢献活動ではなく、企業としてより意味のある社会貢献活動を行う事が企業の中でも重要になってきている。例えば、自社製品や社員を活用した出前事業が増えているのは、将来顧客となる可能性のある子どもたちに対するブランディング活動としてや、社員にとっての成長の機会としても捉えているからであろう。また、メーカーを中心に理科教育に積極的になっているのは、キャリア教育という視点と同時に、将来の社員、または業界としての人材を育てておかないと、企業の持続可能性に大きな影響があると考えての事だと思われる。

今回の調査結果において、教育関係の活動分野で本業との関わりのある比率が特に高くなっている傾向は、以上のような背景があるのではないだろうか。

※ CSRをコストとしてだけではなく、「戦略的投資」としてとらえる必要があるという考え方の事。

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