CSRレポート調査データ

社会貢献活動 【事例集】

調査対象の社会貢献活動の中から、本業により関連づけて実行しているか、社会からの要請に応えているか、継続して問題解決に取り組んでいるか、といった視点でベストプラクティスといえる6件の事例を選出し評価ポイントをまとめた。より効果的な社会貢献活動にはどのような要素が詰まっているのか、参考としていただきたい。

※ 企業名50音順

小松製作所 「カンボジア 安全な村づくりプロジェクト」

NPOと協働して、自社技術を活かした活動を長期的に実践

道路計測作業中に現地の子どもと交流

長期にわたり自社技術を提供

10年以上前から地雷除去への貢献活動を行ってきたコマツは、2008年1月からNPO「日本地雷処理を支援する会(JMAS)」が実施する地雷処理作業、復興までのコミュニティ開発事業プロジェクトを支援。
カンボジア地雷除去センターとも連携して、コマツが開発した対人地雷除去機や油圧ショベル、ブルドーザーなどを無償貸与し、活動費を寄付するだけでなく、機械のメンテナンスや操縦方法のトレーニングも実施してきた。

一歩踏み込んだ活動

対人地雷除去機と建設機械による土木工事という危険な作業を、1件の事故もなく終了。また、地雷除去と除去後のインフラ整備を安全かつ効率的に実施するための工程管理手法や、地形や気象の特性に応じた対人地雷除去機の操作と整備要領などを織り込み、別の地域で活用可能なマニュアルを確立した。
一方コミュニティでは住民たちの自主性が芽生え、村の活性化につながったと報告されている。

Point

  • NPOとの協働・・・実績を持つNPOと連携して社会問題の解決に取り組む。
  • 地域活性化まで支援・・・地雷除去にとどまらず、地域住民とコミュニケーションをとりながら地域活性化に向けたインフラ整備まで一貫して支援。
  • 長期的な活動・・・マニュアルを確立した事で他地域での今後の広がりの可能性(2010年度報告書ではアンゴラでの地雷処理・地域復興の活動が掲載されている)。

このページの先頭へ

ダイキン工業 「Re:エアコンプロジェクト」

製品を通じたユーザー協働型の森林再生プロジェクト

「Re:エアコンプロジェクト」サイト トップ画面

エコアクションと森林再生をつなぐ

省エネルームエアコンの「快適エコ」運転を使用するごとにポイントがたまり、リモコン画面で木が育つ、ゲーム感覚の機能を開発。木が成長したことをダイキンに連絡するとインドネシアで実際活動中の「森林再生プロジェクト」で植林を支援していくユーザー参加型の取り組み。
このプロジェクトはインドネシア森林省、国際NGOコンサベーション・インターナショナルと協働し、同時に国立公園内の土地を畑として利用してきた周辺住民と話し合いながら進めている。

単なる「植林」にとどまらない活動

2011年までに約200haの森林を再生する計画のもと、特に生物多様性が高く、周辺地域への水の供給源として重要とされている地域において、2010年3月までに約150haを再生。
地元住民に対して苗床の維持管理、公園内のガイド養成教育などの生計支援や環境教育も実施する他、この取り組みを題材に、環境問題と自分たちとの「かかわり」を学ぶ環境教育プログラムを開発。小学校高学年を対象に教材を提供している。

Point

  • お客様と取り組む活動・・・快適性と省エネ性を両立できる製品を通じたユーザー参加型のプロジェクト。
  • 生物多様性への貢献・・・単なる植林活動ではなく、現地調査を踏まえた生物多様性が高い地域を活動場所に、彼らの住みかである森林を再生する取り組み。
  • 地域活性化まで支援・・・コミュニティとの協働を重視し、教育、経済面も含めて包括的に支援。

このページの先頭へ

武田薬品工業 「タケダ – Plan 保健医療アクセス・プログラム」

NGOと連携し国連ミレニアム開発目標に貢献

インドネシアの「屋外排泄ゼロ宣言」の式典の様子(写真提供:プラン・ジャパン)

事業に即した活動

タケダはグローバルに事業を展開する製薬企業として、世界の人々の生命と健康に貢献する事を目指し、途上国における保健医療分野での支援を通じて三大感染症の蔓延防止など「国連ミレニアム開発目標(MDGs)(※)」が掲げる主要な課題に積極的に取り組んでいる。
その中で国際NGOプラン・ジャパンとパートナーシップを結び、2009年8月に「タケダ- Plan保健医療アクセス・プログラム」を立ち上げた。

国際的に求められている貢献

中国、インドネシア、フィリピン、タイのアジア4カ国において、子どもたちの保健医療サービスへのアクセスを改善するきめ細かい取り組みを推進。公衆衛生、栄養改善、医療支援、予防啓発など、それぞれの地域のニーズに合わせた対応を実施している。
各プロジェクトの年間のインパクトとして、例えばインドネシアでは約3,000~5,000人が意識啓発活動に参加する事でより良い衛生習慣を習得し、中国では4,000人の栄養状態が改善される事を目指している。

Point

  • NGOとの協働・・・人々の生命や健康を見つめ社会に貢献するという理念を共有できるNGOとのパートナーシップ。
  • 国際的な開発目標への貢献・・・「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」に対応したプログラム。
  • 本業との関わり・・・医薬事業を通じて結びつきを深めているアジアの国々で実施。

※ 2000年に採択された国連ミレニアム宣言と1990年代に採択された国際開発目標を取りまとめた、2015年までに達成すべき8つの目標。

このページの先頭へ

東北電力 「地域づくり支援制度 まちづくり元気塾」

地域の自主性を尊重して再生と自立を支援

角館まちづくり研究所の活動で現地視察を実施

地域に根ざした活動

東北電力の供給区域である東北6県および新潟県の各地域を対象として、地域が直面する課題解決に取り組むNPOやまちづくりグループ活動へ、それぞれの課題に応じた専門家「まちづくりパートナー」を派遣。個性あふれるまちづくり活動を手伝う活動。
2009年度は秋田県仙北市の角館まちづくり研究所、山形県南陽市の赤湯温泉ゆかいプロジェクト、福島県金山町の横田地域を考える会、新潟県糸魚川市糸魚川駅北口まちづくり実行委員会を支援。

地域の自主性を尊重

団体からの申請書をアドバイザリーボードが審査し、支援団体を選定する仕組み。支援の対象となる団体には、課題に応じた地域づくりの専門家や実践者が1カ所あたり年3回派遣され、地域の歴史や文化を再確認したり、住民の意見をまとめたりというワークショップを開催している。活動終了後の報告だけでなく、事例集を発行しその後の活動がどうなったのか報告を行っている。

Point

  • 自社らしい社会貢献・・・「東北の繁栄なくして当社の発展なし」という総業以来の考え方と一致した地域に根ざした活動。
  • これからのまちづくり・・・地域住民の自らの決意と覚悟で、自主的に取り組む新しいまちづくりを支援。
  • 報告のおもしろさ・・・過去の支援先がその後どうなったのか、CSR報告書だけでなく活動事例集などで報告を行っている。

このページの先頭へ

富士フイルムグループ 「正倉院聖語蔵経巻アーカイブ」

写真技術を活かした社会・文化への長期的な貢献

正倉院の担当者が撮影台に資料を載せる
(「富士フイルムホールディングス サステナビリティレポート2009」より抜粋)

長期にわたり自社技術を提供

1999年から宮内庁、丸善と共同で正倉院事務所に所蔵・保管されている「聖語蔵経巻」全4,960巻をカラーマイクロフィルムにより複写・保存するとともに、デジタルデータ化しカラーDVD-Rとして刊行するプロジェクトを開始。約2,100巻を撮影、完了までさらに10年を要する。
また、国立公文書館でも重要な公文書のアーカイブズ化事業に協力。デジタル化された貴重なオリジナル資料はインターネット上にある「デジタルアーカイブ」で継続的に公開、データ提供されている。

自社にしかできない貢献

このプロジェクトでは、経典の本文に添えられた白点、白書や消し跡まで複写できる精細性や色の再現性、長期の保存性などの観点から富士フイルムのカラーマイクロフィルムが選ばれた。
わずかな研究者だけに閲覧が許されるのがようやくの状態であった貴重な文化財を撮影、DVD-Rで刊行する事で、研究者たちに自在に分析できる環境を提供。仏教や国語研究の発展に寄与している。

Point

  • 長期的な活動・・・史料保護の観点から10年間にわたる長期のプロジェクトとして実施。
  • 本業の技術を活かして・・・写真・フィルム技術によって貴重な文化財の記録・公開を支援。
  • 社会・文化への貢献・・・このプロジェクトによって培った経験を基に、文化支援への応用が期待できる。

このページの先頭へ

三井化学 「『化学』の可能性を次世代につなぐ化学世界への招待活動」

「化学世界への招待活動」を社員が自ら運営

触媒科学国際シンポジウムのようす

幅広い次世代への取り組み

小・中学生を対象とする「ふしぎ探検隊」は、2006年から全9事業所で活動を始めた。講師役の社員は自主参加。地元の小学校や自治体で出前教室を開いたり、研究所を公開し化学実験を行ったりしている。
また2003年から2年に1度、社員自らが運営のほとんどを担って「触媒科学国際シンポジウム(MICS)」を開催。高校生などを招待し最先端の科学者による講演や対話など交流の機会をつくっている。他にも国内外インターンシップ生を積極的に受け入れている。

継続的な活動の成果

「ふしぎ探検隊」は2008年には関係会社の事業所にも広がり、参加した子どもは2,000名を越えた。一方、「触媒科学国際シンポジウム(MICS)2009」には国内外からの研究者など約1,600名が参加し、うち300名が学生であった。
「ふしぎ探検隊」に自分の子どもが参加した社員は「親の仕事を知ってもらうよい機会になった」と振り返り、また「触媒科学国際シンポジウム(MICS)2009」の運営を担った社員は「大勢の参加者にお越しいただけることは、三井化学社員として誇りに思います」とコメント。

Point

  • 次世代の育成・・・科学のおもしろさ、楽しさを知ってもらうと同時に最先端技術の未来を切りひらく。
  • 社員の自主的な参加・・・講師役やシンポジウムの運営を通して誇りを感じる事ができる活動。
  • 行動指針との一貫性・・・「夢のあるものづくり」を目指す行動指針を実現し、子どもから最先端の科学者まで、幅広い世代の「化学の夢」をつなぐ。

このページの先頭へ