CSRレポート調査データ

社会貢献活動の概況

今回調査対象とした100社のCSR報告書には合計1,189件の社会貢献活動の記事が掲載されていた。それらの要素を17の分野に振り分けた(※)ところ、グラフ1のようになった。

※ 1件の活動が複数分野に該当する場合もあり。

1-1.活動の分野

グラフ1 社会貢献活動の分野

最も多かった活動は「次世代(子ども)育成・支援」で415件(34.9%が該当)

「次世代(子ども)育成・支援」の活動は、子ども向けの科学や工作の講座の他、環境教育、子どものスポーツ振興を目的とした活動が中心である。「出前授業・教育講座」のような教育プログラムに限らず、「寄付・金銭提供」や「事業への協賛等」といった外部組織への支援も見られた。一方で「学術振興・研究・産学連携」の活動は記事が少ない事から、高等教育以前の子どもを対象とした活動の方がより多く報告されているといえる。

次点の「技術提供・社員奉仕」に該当する活動は「地域(地域との共生)」や「出前授業・教育講座」「福祉(社会的弱者支援)」などの分野にも該当する事が多く、企業が持つ技術や人材が活用されていると考えられる。
「環境」の分野は社会的な関心の高さが掲載件数の多さにつながっていると思われる(「環境」分野の内訳については、後述「環境分野の社会貢献活動の内訳」を参照)。
「地域(地域との共生)」には、地域行事への参加や清掃ボランティア、工場見学など企業の拠点周辺における活動が多く見られた。

最も少なかった活動は「災害被災地支援」で5.6%

「災害被災地支援」は、2008年5月の「中国・四川大地震」や同年6月の「岩手・宮城内陸地震」などに対するもので、「寄付・金銭提供」や「製品・物品提供」にも該当する事が多い。報告が少ない背景としておそらく寄付や物品提供を中心とした活動はCSR報告書では記事として表現しにくいことが考えられる。
2.5%の「その他」には、財団法人設立や国際交流、安全講習などが含まれる。

その他全体の傾向としては「次世代(子ども)育成・支援」や「技術提供・社員奉仕」のように1社につき複数事例を掲載している分野がある一方で、「災害被災地支援」や「スポーツ」のように1社につき1事例のみの掲載となっている分野が見られた。

1-2.活動の範囲(国内と海外)

グラフ2 活動の範囲

6割以上が国内での活動

活動の範囲について、国内のみでの活動か海外における活動かという視点で振り分けたところ、グラフ2のように国内の活動が64.5%と、海外の活動の35.5%を上回った。

分野ごとに見ると、国内のみでの活動の割合が大きかったのは「施設提供」、「地域(地域との共生)」、「出前授業・教育講座」、「文化・芸術」であった。
一方、海外まで広がる活動の中で割合が大きかったのは「災害被災地支援」や「人権・貧困・生活保護」、「寄付・金銭提供」であった。日本企業が海外への貢献活動を行う場合、災害被災地や海外で活動する団体への寄付などが中心となっている事が考えられる。

日本企業の海外進出は進んだとはいえ、社会貢献活動については国内における活動の報告が中心となっているようだ。なお、今回調査対象としたCSR報告書は日本語版であるため、読者を想定して国内の活動が多く掲載された可能性も考えられる。

1-3.NPO・NGO等と協働している社会貢献活動

グラフ3 NPO・NGO等と協働している社会貢献活動

NPO・NGO等の団体と協働している活動は15.2%

NPO・NGO等の団体と協働(※)しているか、という視点ではグラフ3のように協働している活動が15.2%に留まり、協働していない活動の84.8%を大幅に下回った。

国内と海外とで見てみると、海外まで広がる活動の方が協働して行っている割合が比較的高かった。企業が海外において社会貢献活動を行うには、現地特有の事情を理解したり専門的な技術を確保したりする必要があり、そのためにNPO・NGO等と協働するケースが多くなっていると考えられる。
また協働していない活動が多い背景として、グラフ1で該当が多かった「次世代(子ども)育成・支援」や「技術提供・社員奉仕」といった分野の活動は外部組織の協力を得なくても企業が保持するリソースだけで実行できる活動であることが考えられる。

2割以下という数字からいえば、今後NPO・NGO等と協働して社会貢献活動に取り組んで行く事は、他社との差別化要因になることが期待される。

※ ここでは、単純な金銭や物品の寄付提供ではなく、企業と団体がそれぞれの専門を活かした独自のリソースを提供しあって活動していることを指す。

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