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セミナー「2014年度版 日本における統合報告(2014/10/31)」開催報告

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2014年10月31日、統合報告をテーマにしたセミナーを開催いたしました(開催概要 )。前半は、統合報告に造詣の深い公認会計士 森氏から、「2014年の統合報告の全体像と特徴」と題したご講演をいただき、続いて弊社が独自に調査した「2014年度版統合報告の事例分析」を報告させていただきました。後半は「日本における統合報告の課題と今後の可能性」をテーマとして、森氏を中心にディスカッションを行いました。
本報告では、後半のディスカッションについて概要をお伝えします。


対象読者の設定について

ディスカッションでは、まず対象読者をどのように設定するかが話題になりました。 IIRCでは機関投資家を対象読者としていますが、投資家にも色々な立場があります。 主に国内の年金・保険のアセットオーナーなどの投資家は、これまで投資判断に関わることは少なかったけれど、日本版スチュワードシップ・コードによって、今後は議決権行使やエンゲージメントのために企業情報を積極的に見るようになるとのこと。 一方海外の年金基金などは、すでにスチュワードシップ・コードや責任投資原則に沿って企業を調査するだけでなく、運用方針作成・インデックスファンドなどを活用した分散投資・企業との直接対話などを行っており、投資対象の企業が社会のトレンドを踏まえて戦略を立案し、マネジメントしているかということを、直接会って確認することも少なくないようです。
統合報告は、全ての投資家の情報ニーズに応えるものというよりは、経営者のメッセージを強く出し、それに賛同してもらえる投資家を募る企業報告ツールになるのかもしれません。


メガトレンドを踏まえた報告について

では報告書で何を報告するか?という点については、「メガトレンド」がキーワードとなりました。 例えば「気候変動に関する規制がグローバルに厳しくなる」というメガトレンドに対して、「予め準備していることを示す」のはポジティブな情報です。メガトレンドはポジティブにもネガティブにも影響するものですが、コミュニケーション上ではポジティブな側面に注目しすぎる傾向にあるのでは、という問題提起がありました。
メガトレンドを踏まえる際に、リスクや守りとされている部分を「ソーシャルイシュー」として捉え、例えば事業活動が人権や環境などに及ぼす影響の緩和・予防を、どう捉えているかを報告することも統合報告のプロセスでは重要となるようです。また、リスクを機会に変えるようなビジネスモデルの転換や、世界全体のソーシャルイシューへの対応をどう開示していくかは、今後の課題とのことでした。


開示情報と秘密情報のバランス

次に話題になったのが、秘密情報の取り扱いについてです。重要な戦略を開示することは、他社に手の内を明かすことになってしまいますが、出さなければ投資家やパートナーの理解を得られません。これまでも取り組んできたことで、どこまで出すかは、やはり企業の判断になるようです。 例として紹介されたLIXILの報告書では、M&Aの実施は伏せておき、その背景にある戦略の概要が開示されていました。M&Aの公表後には、そのタイミングで詳細な戦略が開示されているとのことで、ツールを使い分けて適時適切な情報開示につなげていく必要を感じました。


競合他社との関係について

最後の質疑応答の時間でまず出たのは「競合他社の名称を記載するのは効果的なのでしょうか?」という質問。
競合他社名をあげることで外部環境を踏まえたことが伝わり、業界内での自社のポジションがクリアになるという効果があるようです。特に日本のことを知らない投資家にとっては有用な情報といえそうです。海外でも自社の取り組みを紹介するだけでなく、それが「客観的に合理的かどうか」を判断するための材料として競合について記載することもあるようです。


報告書全体のバランス

続いて「ビジョンはどこまで報告するべきか」という質問。未来のことは誰にもわかりませんが、3年は無理でも10年後には浸透していくかもしれないという可能性や事業変化を踏まえていることを示すことがポイントになるようです。 伝えたい・評価してもらいたい情報を全て掲載しようとすると、報告書は100ページ以上必要になってきてしまいますが、簡潔な報告書でなければ投資家は読まないという話もあります。統合報告フレームワークでは、統合報告書は一冊の冊子にまとめる必要があるとはしていないので、読み手に 必要な情報がどこにあるかわかるようになっていれば足りるようです。


まとめ

株式会社YUIDEA(旧:株式会社シータス&ゼネラルプレス)では昨年5月に2013年版の統合報告をテーマにセミナーを開催しました。その際、トップメッセージを事業戦略の開示などに活用できるのではないかという案がありましたが、そのような工夫によって、簡潔で読みやすい報告書にできるのではないでしょうか。そこにメガトレンドや秘密情報、非財務情報をどう絡めていくかが、今後の課題と言えそうです。

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「CSR革新室」とは、CSRコミュニケートを運営する株式会社YUIDEA(ユイディア)内にある1つの部署です。よりよい社会づくりに貢献すべく、企業のCSR活動、CSRコミュニケーションの革新を支援しています。

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