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現地化へ加速する日本企業のCSR報告

東洋経済新報社が、2014年CSR企業ランキングを発表しています。上位50社のCSR報告書を調べた結果、ランキング上位50社中、中国に進出していない14社を除く36社のうち、22社が中国語版CSR報告書を発表しているということです。その22社のうち13社が現地化したリージョン版CSR報告書を発表しており、日本語版CSR報告書を中国語に翻訳して発表したのは9社でした。

中国社会科学院CSR研究センターが発表した「中国企業の社会責任研究報告2014」(通称ブルーブック)に、外資系企業上位100社中、19社の日本企業がランクインしました。この19社のうち10社がローカル化したリージョン版を発表しています。

東洋経済のランキングから中国社会科学院CSR研究センターのランキングまで、日本企業が現地化したCSR報告書を発表した比率はどちらも50%に近い結果となりました。2011年にブルーブックにランクインした日本企業16社のうち、5社がローカル化CSR報告書を発表したことに比較し、中国で日本企業のCSR報告書の現地化が進み、主流になりつつあることがわかります。(データ出所:AIC日本企業の中国語CSR報告書調査2015)


国際化と多言語化

中国は対内、対外開放(「引進来(国外から資本や技術の導入)」と「走出去(中国企業の海外進出)」)戦略を推進しなければならないことを明らかにしています。最近、中国を理解するためかかせないキーワードである「一帯一路」※1「AIIB」は、中国の国家戦略として掲げられ、中国企業の「走出去」を加速させています。

2014年、中国の企業社会責任報告書には著しい国際化の傾向が見られました。今後はさらに国際化が加速すると予想されます。中国企業が発表したCSR報告書を見れば、多言語バージョンの報告書を発表する企業は年々増加しており、中国企業の実力500強のうち、80社余りが多言語報告書を発表しています。

さらに、海外で活発な投資を行っている石油、通信、採鉱分野の企業は、リージョン版海外社会責任報告書または海外特別テーマ報告書を発表しています。報告書の参考ガイドラインも、より一層国際基準(GRIなど)が重視されています。以上のことから、CSR報告書の国際化、多言語化は中国外資系企業の努力の方向性だけでなく、中国企業にとっても「走出去」に欠かせないCSR戦略の必要条件であることが見えてきます。

東洋経済の調査によるCSR企業ランキング上位50社を見ると、中国で業務を展開する36社すべてが多言語の報告書を発表しているなか、中国語版のCSR報告書を発表していない企業は14社となっています。多言語CSR報告書を発表することは、責任の現地化の最も基本的な要件であり、特に中国を市場として展開する日本企業には、中国語版CSR報告書の発表は重要です。


CSRコミュニケーションツールの多様化

近年、中国のCSRブームにどう対処するか、戸惑う日本企業は少なくありません。「中国語のCSR報告書が完成したが、さあ、どこで誰に見せる? 次はどうすればいい?」。これは日本企業がよく直面する課題です。

中国では今、大変なSNSブームにあり、ソーシャルメディアは中国のステークホルダーに向けて企業のCSR情報を提供したり、CSRコミュニケーションを行う際の重要ツールになっています。これも中国のインターネット検閲規制と関係があります。これまで中国のステークホルダーは、テレビニュースやCM、雑誌、親友の評価などを中心に企業の社会環境情報を入手していました。

しかし近年、ソーシャルメディアの割合が急上昇し、微博(Weibo)や微信(WeChat)からCSR情報を確認する割合は42%に達しました(社会科学院CSRセンター調べ)。

このようなソーシャルメディアは企業情報の透明度を高め、CSRコミュー二ケーションの力強いお助けツールになっています。従来の地方政府、業界協会、伝統メディアなどでも社会責任報告を発表やコミュニケーションを行うプラットフォームが次第に増加しており、同時にソーシャルメディアは外資系企業に重視されています。

いま、日本のBtoC型企業は積極的にソーシャルメディアを利用し、マーケティングを行うと同時にCSR情報を発信し、CSRコミュー二ケーションを行っています。例えば、イオンチャイナのイオンモールは、微博(Weibo)、微信(WeChat)の公式IDにCSR情報を発信してコミュー二ケーションを行っており、ユーザーのクリック率はホームページの公式サイトの訪問率をはるかに上回りました。ソニー(中国)有限公司、松下電器(中国)有限公司、キヤノン(中国)有限会社などの日本企業も積極的にソーシャルメディアによるCSRコミュー二ケーションを行っており、微博(Weibo)を開設しています。中国におけるCSRコミュー二ケーションの「社交化」と「移動化」の動きは、日本企業のCSRの発信とコミュー二ケーションに有効なチャレンジをもたらしています。


※1 「一帯一路(英語:One Belt, One Road、略称:OBOR)」とは、(1)中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる「シルクロード経済ベルト」(一帯)と、(2)中国沿岸部から東南アジア、インド、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸を結ぶ「21世紀海上シルクロード」(一路)の二つの地域で、交通インフラ整備、貿易促進、資金の往来を促進していく構想である。



本稿は、最新の中国CSRの動向について、中国語版CSRレポートのコンサルティングも行っている一般社団法人アジアコミュニケーション研究所に寄稿していただきました。


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『中国企業社会責任研究報告2012 日本語特別版』

国有企業100社、民営企業100社、そして外資企業100社のランキングと社会責任発展指数を掲載しているのが、『中国企業社会責任研究報告』通称「ブルーブック」。

本書は、2012年版のブルーブックの日本語版で、中国独自のCSRガイドラインの概要と2012年までのランキング3年分を日本語で掲載している唯一の書籍です。※2013年以降については、公式の日本語版は発行しておりません。

ご購入は問い合わせフォームにて「その他全般のお問い合わせ・ご意見」を選択いただき、内容欄に「中国企業社会責任研究報告 ●冊購入希望」と入力し送信してください。

価格:5,510円
(送料込、2冊までの場合。3冊以上のご注文は追加の送料をいただく場合があります)

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YUIDEA
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