プラスチック資源循環に挑む、日本企業の事例
2019年5月末、日本政府が「プラスチック資源循環戦略」*を策定しました。 それに先駆け、経団連は4月に「20の業種がプラスチックにかかわる目標を策定した」と公表するなど、プラスチックを使用する企業は様々な取り組みを進めています。
2019年2月に発行された経団連の「SDGsに資するプラスチック関連取組事例集」でも、3R、とりわけリサイクル・リデュースへの取り組みが多いという結果が報告されていました。
-プラスチックを巡る未来に「プラス」なTORIKUMI-<第三版>
廃プラスチックの削減には、新規生産量を削減することが重要です。そこで今回は、プラスチック生産量削減につながる3つの分野の事例をご紹介します。
【1】包装資材の代替品開発
新しく生産されるプラスチック製品のなかで、食品包装などのワンウェイ容器包装(1回の使用で廃棄されてしまう容器包装)が課題となっています。日本の一人当たり廃棄量は世界で2番目に多いと指摘されており、プラスチック資源循環戦略では「2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制」という目標を掲げています。
これに関連する取り組みとして、三菱製紙がプラスチックフィルムを使わない食品包装紙を開発・販売。また、カネカが「分解されにくい海洋中でも半年で分解される」という第三者認証を受けた「カネカ生分解性ポリマーPHBH」の活用を、セブン&アイや資生堂と協力して推進するといったものがあります。
参考:
・三菱製紙「食品包装に求められるバリア性とヒートシール適性等を有したコート紙「barricote(バリコート)」の販売開始」
・カネカ「(株)カネカ、(株)資生堂と生分解性ポリマーPHBHを用いた化粧品容器共同開発を開始」
【2】ペットボトルの回収とリサイクル
ペットボトルはワンウェイ容器の一つであるとともに、その生産量の多さから削減が求められています。
以前から店舗での回収を進めているセブン&アイホールディングスでは、日本コカ・コーラがセブン&アイのプライベートブランドとして生産する飲料容器の原料に、回収したペットボトルを活用することを検討しています。
またサントリーも「2030年までにグローバルで使用するすべてのペットボトルに、リサイクル素材あるいは植物由来素材のみを使用し、化石由来原料の新規使用をゼロにすることを目指す」としており、リサイクルと同時に再生可能原料の活用に取り組んでいます。

【3】包装材以外の資源循環
容器包装だけでなく、メーカー各社が独自にプラスチック生産量の削減に取り組んでいる事例もあります。
キヤノンでは、「製品to製品」の資源循環を追求し、使用済の複合機を洗浄・清掃・必要部品の交換によって、新品同様の品質に高めて出荷する「リマニュファクチュアリング」や、トナーカートリッジのリサイクルなどを推進しています。
また、ソニーでは廃プラスチックを原料とした独自の再生プラスチックを開発しており、自社製品に活用しています。
【2】でご紹介したセブン&アイやサントリー、【3】のキヤノンやソニーのような取り組みは、サーキュラーエコノミーへの移行につながる取り組みと言えます。
欧州では国をあげてサーキュラーエコノミーへの移行を図っており、原材料使用量や廃棄物の削減につながる取り組みは、今後ますます注目されるのではないでしょうか。
【参考リンク】
・環境省「プラスチック資源循環戦略」の策定について
・経団連循環型社会形成自主行動計画
・経団連「SDGsに資するプラスチック関連取組事例集-プラスチックを巡る未来に「プラス」なTORIKUMI-」
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