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国際統合報告フレームワークの改定ポイント

csr-45657

2021年1月、国際統合報告フレームワーク<IR>の改定版が公表されました。2013年の公表以来はじめての改定となります。

構成に大きな変更はありませんでしたが、統合報告書作成にあたって考慮すべき改定点を3つご紹介します。


■国際統合報告フレームワーク概要

パート1 イントロダクション

1.フレームワークの利用
A統合報告書の定義/Bフレームワークの目的/C統合報告書の目的と利用者/D原則主義アプローチ/E報告書の形式及び他の情報との関係性/Fフレームワークの適用/G統合報告書に対する責任

2.基礎概念
Aイントロダクション/B組織に対する価値創造と他者に対する価値創造/C資本/D価値創造プロセス

パート2 統合報告書

3.指導原則
A戦略的商店と将来志向/B情報の結合性/Cステークホルダーとの関係性/D重要性/E 簡潔性/F信頼性と完全性/G首尾一貫性と比較可能性

4.内容要素
A組織概要と外部環境/Bガバナンス/Cビジネスモデル/Dリスクと機会/E戦略と資源配分/F実績/G見通し/H作成と表示の基礎/I一般報告ガイダンス

※今回紹介するポイントのみ青文字にしていますが、改定は随所に行われています。

1、統合報告に対する責任の開示

これまでのフレームワークでも、統合報告書には「ガバナンス責任者からの表明を含む」とされていました。
ガバナンス責任者とは「組織の戦略方向性、組織の説明責任及びスチュワードシップの遵守状況を監督する責任を有する個人又は組織」のことで、取締役会などが該当すると考えられます。

今回の改定では、以下の様な内容が追加され、実情に沿った開示が求められるようになりました。

  • 1.20を適用する際に、組織は、その管轄、文化的および法的文脈、規模、所有権の特性である、独自のガバナンス構造を考慮に入れます。組織の戦略的方向性を監督する責任を負う機関のコミットメントを通じて、統合報告書の完全性を促進する1.20の意図を考慮することが重要です。(1.22より)
  • 法的または規制上の要件により、ガバナンス担当者からの責任の表明が妨げられている場合、統合レポートの整合性を確保するために講じた措置を説明することで、透明性を確保できます。講じた措置としては、「主要な責任と活動を含む、関連するシステム、手順、および管理」「関連する委員会を含む、ガバナンスを担当する人々の役割」などの開示が奨励されます。(1.23より)

■パート1 イントロダクションでの変更点

2、価値の「創造」だけでなく、保全・毀損も報告対象に

これまでのフレームワークでも、「2.基礎概念」の中で「1.6 フレームワークにおける価値創造は、価値が保全される又は毀損された場合を含む」と説明されていました。
これは、例えば従業員研修などが挙げられます。従業員研修によって、人的資本は改善しますが、研修費用としての財務資本は減少します。

今回の改定では「2B組織に対する価値創造と他者に対する価値創造」が
「2B組織に対する価値の創造・保全・毀損と他者に対する価値の創造・保全・毀損
になるなど、随所で「保全・毀損」が記載されるようになりました。


■パート1イントロダクション 2.基礎概念 B組織に対する価値創造と他者に対する価値創造での変更点

3、アウトプットを通さないアウトカム

IIRCではアウトカムを、「組織の事業活動とアウトプットの結果としてもたらされる資本の内部的及び外部的影響(正と負の両面)」と説明しています。

これまでのフレームワークでは、アウトカムはアウトプットを通して示されていましたが、今回の改定では事業活動からアウトカムへの矢印が追加され、例として自動車(内燃エンジン)メーカーのアウトカムを紹介しています。

自動車メーカーのアウトカム

正のアウトカム

  • 金融資本の増加(会社とサプライチェーンパートナーへの利益、株主配当と地方税の拠出による)
  • 社会資本と関係資本の強化(満足した顧客と品質と革新への取り組みに支えられたブランドと評判の向上による)

負のアウトカム

  • 自然資本への悪影響(製品関連の化石燃料の枯渇と大気質の低下による)
  • 社会資本と関係資本の減少(製品関連の健康と環境への懸念が社会的運営許可に与える影響による) (4.19より)

■パート1イントロダクション 2.基礎概念 D価値創造プロセス

今後のIIRCの動き

IIRCでは2021年中にSASB(セクター別のスタンダードを作成している組織。SASBのスタンダードについては こちら)との統合を予定しています。企業がステークホルダーのニーズに対応しやすくすることを目的に、GRIなどのESG情報の開示基準を提供する組織間での連携が進んでいます。

フレームワークの改定内容だけでなく、このような組織間の動きにも配慮しながら、ステークホルダーのニーズに対応した情報開示を進めることが重要です。


【参考リンク】
IIRC
大和総研「国際統合報告フレームワークの概要・改訂案

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国際統合報告フレームワーク
統合報告とは


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