IFRSとEU、2つの国際的サステナビリティ情報開示基準案
国際的なサステナビリティ情報開示基準の草案が2022年3月と4月に相次いで公開されました。具体的には下記の2つです。
IFRSの「IFRSサステナビリティ開示基準」
EUの「欧州サステナビリティ報告基準」
早ければ2023年の情報開示から、日本企業も対応を迫られる可能性があるため、今回はこれらの草案概要をご紹介します。
(本記事は2022年5月末時点での情報に基づいて作成しています。今後随時情報が更新されると考えられます。)
2つの基準の概要整理
作成機関 |
ISSB 国際サステナビリティ基準審議会 (IFRS:国際財務報告基準内に設置) |
EFRAG 欧州財務報告諮問グループ |
基準の名称 |
IFRS Sustainability Disclosure Standard IFRSサステナビリティ開示基準 |
European Sustainability Reporting Standards 欧州サステナビリティ報告基準 |
影響の可能性がある主な企業 | IFRS基準適用企業 |
・大企業(従業員が250名以上、売上高4000万ユーロ以上、総資産2000万ユーロ以上のうち2つ以上に該当する企業。) ・EU上場企業(中小企業を含み、零細企業を除く) |
適用時期 | 2023年 | 新CSRDが2023年1月以降の事業年度を想定しているが、1年から2年の延期も提案されている |
気候関連基準における開示要求事項 |
・ガバナンス ・戦略 ・リスク管理 ・指標及び目標 |
・General, strategy, governance and materiality assessment (一般的事項、戦略、ガバナンス及び重要性評価) ・Policies, targets, action plans and resources (方針、目標、行動計画及びリソース) ・Performance measurement (実績測定指標) |
IFRS「IFRSサステナビリティ開示基準」
・2022年5月末時点で下記2種類の草案が公開されています。
S1「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」
S2「気候関連開示」
・テーマ別の基準は現在「気候関連開示」のみですが、「全般的要求事項」では、「情報利用者の意思決定に重要なサステナビリティ情報」の開示が求められており、気候関連以外の情報も開示が必要です。
・重要と判断されたサステナビリティテーマについては、TCFDでも示されている「ガバナンス」「戦略」「リスクマネジメント」「目標と指標」の4つの柱に沿った開示が提案されています。
・今後、マテリアリティ等の概念に関するガイドライン、デジタル化戦略に関するガイドラインなども公表予定となっています。
EU「欧州サステナビリティ報告基準」(ESRS)
・2022年5月末時点で、下記13の草案が公開されています。
・社会面の項目が
「S1 Own workforce」(自社の従業員)
「S2 Workers in the value chain」(バリューチェーンにおける従業員)
「S3 Affected communities」(影響を受けるコミュニティ)
「S4 Consumers and end-users」(消費者及び最終顧客)
と、テーマ別ではなく人別になっているのが特徴的です。
・「Double materiality」(ダブルマテリアリティ)をサステナビリティ情報開示の基礎と位置付けており、企業は「企業が外部環境へ及ぼす影響」と「外部環境から企業に及ぼされる影響」の両方を特定して開示しなければなりません。
・今後セクター別の基準や中小企業向けの基準も公表予定となっています。
IFRSサステナビリティ開示基準は2022年7月28日まで、ESRSは8月8日まで、それぞれコメントを募集しています。確定版の公開はまだ先になりますが、国内でも経済産業省、金融庁、内閣官房、経団連をはじめとする、様々な機関がサステナビリティ情報開示の指針作成などに取り組んでいます。
自社・自社グループにはどのような影響があるのかを把握し、対策を検討していく必要があります。
※2022年7月26日に、これらの基準の目的などの基本的事項やより具体的な内容、マテリアリティに関する考え方等に関するセミナーを開催いたします。
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