野田新総理、自然エネルギー政策は素人も同然?――官僚言いなりの危険性も
民主党新代表 (C)Wikimedia Commons.
民主党の新代表に29日、野田佳彦財務大臣が選ばれ、30日午後には国会で第95代首相に指名された。代表選で「エネルギー制約を早急に克服する」として原発の再稼働に前向きな姿勢を見せた野田氏に対して、経済界は「安定した行動力あるリーダー」(米倉弘昌・日本経団連会長)などと歓迎の意を隠さない。菅政権で一定の前進を見た脱原発依存と自然エネルギー政策は、野田新政権でも継承されるのか。
■原発は積極的な運転再開に含み
民主党総裁選で野田氏が掲げたエネルギー政策では「原子力安全庁の新設」が明記されているものの、野田氏自身の公式サイトにある「原発依存度の引き下げ」の文言は見当たらない。むしろ「電力は経済の血液であり、一瞬も止めることはできない」として、安全性が確認された原発を活用するという、積極的な運転再開に含みを持たせた表現となっている。
このことは、代表選で敗れた馬淵澄夫氏が「耐用年数の経過した原子炉の段階的廃止」「再処理は凍結。核燃料サイクルは抜本的見直し」と個別具体的に言及しているのと比較すれば一目瞭然だ。自民党の河野太郎衆議院議員も自身のブログで「野田新代表のエネルギー政策は、民主党の中でも最も電力会社よりとされる議員が関わっている」と警鐘を鳴らす。
■財政優先で自然エネは後回し?
自然エネルギー分野ではどうか。馬淵氏が脱原発依存後を見越して「自然エネルギーを活用した地域分散型の電力供給等に政策資源を重点投下する」と踏み込んだ内容なのに対して、野田氏は「自然エネルギーの普及支援」「あらゆる政策手段を総動員する」という総花的な表現に終始しており、物足りなさが否めない。
NPO環境エネルギー政策研究所の松原弘直・主席研究員は「野田氏が自然エネルギー政策にどこまで明るいか未知数。財務出身だけに、当面は自然エネルギーにまで手が回らない可能性もある。菅政権で打ち出されたエネルギー政策がすぐに継承されるかどうかは難しい」と分析する。その上で「閣僚人選で官僚と渡り合える人材を選び、野田氏自身も、従来型のエネルギー政策に引きずられずにリーダーシップを発揮できるかがカギとなる」との見方を示した。(オルタナ編集部=斉藤円華)
(オルタナWeb配信記事 2011年8月30日公開)
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