70万人「大人のひきこもり」、社会と新たな関係をつくる――ソーシャルビジネスグランプリ、弟を思う兄が大賞
「大人のひきこもり オルタナティブ・
ライフ・プログラム」を提案した
70万人いるとされる「大人のひきこもり」。これらの人々と社会の新しい関係を築きあげるにはどうすれば良いのか。5日に都内で開催された「ソーシャルビジネスグランプリ 2012冬」で、問題の解決を試みるプランがグランプリに選ばれた。
受賞者は「大人のひきこもり オルタナティブ・ライフ・プログラム」を提案した公共団体勤務の川初真吾(かわはつ・しんご)さん。ひきこもりとパートナーシップを組んだ活動により、新しい生き方や働き方を創造しようとする取り組みだ。
主な事業は川初さん自らがコーディネーターとなって、地域の協力を得てネットワークを活かした就労や社会参加のきっかけづくり「地域に蔵出し」。テープ起こしなど、ひきこもりでもできる在宅ワークの斡旋「蔵人(くらうど)ソーシング」など。社会との関係を少しずつつくることで、「ひきこもる」という選択や生き方が否定されぬ社会をつくることが川初さんの夢という。
川初さんの弟は15年ほど「社会的ひきこもり」状態にある。ひきこもりは35歳以下の「若者」の問題とされ、公的支援もそれに向かいがちだ。ところが今は40歳前後の人が苦しむ高年齢化が問題になっている。「ひきこもりの人には心根が優しく繊細な人が多いため、人々に危険を知らせる『炭坑のカナリア』のように、社会の問題を静かに知らせている。その一方で鋭い感性や高いスキルを持つ人もいて、チャンスさえあればその才能を開花させることができるかもしれない」と川初さんは指摘した。
審査委員長で社会起業家フォーラム代表の田坂広志氏は「川初さんの持つ静かな温かさに共感しました。こうした眼差しこそが、時代を静かに、しかし力強く変えていくのではないか」と期待を寄せた。
このコンテストは社会貢献活動を行う人材を育てるビジネススクール「社会起業大学」(東京・千代田区)が、4カ月の授業を受けた44人の第4期生と、一般公募の中から選抜した6人を対象にして12人の審査員と一般の聴衆437人の投票で受賞者を決定する都内で行われた公開イベントだった。オルタナの森摂編集長も審査員となった。
審査員特別賞の一つとして「オルタナ賞」も今回設けられ、「被災地で新しい生き方、働き方を創る!~社会起業大学陸前高田校」というプランを発表した法政大学4年生の三井俊介さんに贈られた。
三井さんは今年4月からボランティアで滞在した岩手県陸前高田市に移住。この町の抱える過疎と震災復興という問題に向き合う。学校をつくり、外部の若者との関係をつくりながら、町の発展を目指す。「何もできないのですが、こうやって評価していただいたことに感謝します」と三井さんは話した。オルタナの森摂編集長は「オルタナでは東北の取材に入れてきましたが、今後三井さんと一緒に頑張っていきます」と支える決意を述べた。(オルタナ編集部=石井孝明)
「志」のソーシャル・ビジネス・マガジン「オルタナ」

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雑誌の他、CSR担当者とCSR経営者のためのニュースレーター「CSRmonthly」も発行。CSRの研究者や実務担当者など、約20名による最新情報を届けている。
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