「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)が企業を強くする」――専門家や企業トップが議論
(ダイバーシティ&インクルージョン)は企業
を強くする」。左から司会の森摂(オルタナ
編集長)、田村氏、別府氏、花形氏、伊藤氏
オルタナは10月7日、シンポジウム「D&Iが企業を強くする」を開催した。Dはダイバーシティ(多様性)、Iはインクルージョン(包摂)。D&Iとは、性差や国籍の違い、障がいの有無を超えて多様な人財を社会や組織で受け入れ、違いを尊重しつつ活用していく取り組みだ。オルタナ34号の誌面連動企画で、ダイバーシティの専門家や企業トップらを招き、会場の参加者とも意見を交わした。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)
第1部では、D&I先進企業5社が登壇し、自社の取り組みを発表した。
コクヨグループの特例子会社コクヨKハートとハートランドの黒田英彦社長は、障がい者が働く2社にアウトソーシングすることで、コクヨのコア業務の強化につながっていると紹介。「営業を一切しなくても依頼が来る」という。障がいの特徴に配慮した仕事を用意し、社員がいきいきと働く姿を紹介して「双方にメリットがある」と強調した。
社員130人の紙製品メーカー・ハグルマ封筒の杉浦正樹社長は、厳しい業界での生き残りをかけて、素材や色やデザインにこだわる方向に舵を切った結果、ダイバーシティを意識しなくても女性社員が増えたと語った。「辞めてほしくないので個々の事情に応じたところ、今では12通りの労働時間ができた」と、中小企業ならではの柔軟さを示した。
リクルートホールディングスの花形照美ソーシャルエンタープライズ推進室室長は、本社内に保育所も設置し、「社員4人に1人がワーキングマザーになった今、その活用が課題」と語る。アンケートで女性の昇進志望率の低さを把握し女性向けのリーダー育成研修を始めたこと、28歳の女性社員にターゲットを絞ってワーキングマザー予備軍の不安解消に取り組んでいることなどを紹介した。
セブン&アイ・ホールディングスの伊藤順朗取締役執行役員CSR統括部シニアオフィサーは、2012年に始めた「女性活躍店舗」で、今までにない工夫や顧客への心配りが生まれた例を紹介。「女性の視点が成長力につながる」と語った。育児休暇明けの女性スタッフらが語る約30分の自社制作ビデオも、グループ各社で意識変革に役立っているという。
日本マイクロソフト佐々木順子執行役エンタープライズサービスゼネラルマネージャーは、東日本大震災を機に同社製品「Office365」を自社でも本格的に取り入れたエピソードを紹介。ICTを活用したフレキシブルな働き方によって「残業時間に変化は無いが、1人当たりの売上高は約3年で17.4%上昇した。女性社員の離職率も低下した」と話した。
■「2020年までに『世界標準』のダイバーシティを」
第2部では、ダイバーシティ研究所の田村太郎代表理事、内閣府の別府充彦大臣官房審議官(男女共同参画局担当)を迎えて、パネルディスカッションが行われた。
田村代表理事は、これからのダイバーシティには「テーマの多様性」「働き方の多様性」「担い手の多様性」の3つが必要だと指摘した。「社会的少数者が『社会に適合』する生き方を模索するのではなく、社会全体でこれまでの働き方や生き方を変えていかなければならない。2020年までに『世界標準』のダイバーシティを」と求めた。
少子高齢化が進み、激しい人口変動が見込まれる日本だが、別府氏は「ダイバーシティが所与のものである諸外国に比べて、日本ではまだ取り組みが遅れている」と指摘。女性活用については、「日本のデータを見ると、共働き世帯でも、約8割が全く「家事」を行わず、約7割が全く「育児」を行っていない。男性がどうやって家庭に入っていくかが大きなテーマ」と話した。
これを受け、花形氏が「いくら女性をマネジメントしても、会社が男性を縛り付けてしまえば、女性は社会に出られない。男性の働き方を変えることも重要」と発言。
田村代表理事も「おむつ替えスペースがある男性トイレを増やすなど、ハードの変化も影響が大きい」と話し、伊藤取締役は「若い世代は意識が違うので徐々に変わっていくはず」と期待を込めた。
第3部の「フューチャーセッション」では、受講者が6人ずつのグループをつくって話し合い、その内容を発表した。障がい者や外国人などにも視野を広げたD&Iの議論を求める声が多かった。あるグループでは、聴覚障がいを抱える受講者が「健常者だけで話し合うのではなく、こういう場に当事者が参加することが大切」と呼びかけ、大きな拍手がわいた。
「志」のソーシャル・ビジネス・マガジン「オルタナ」

「環境とCSRと志のビジネス情報誌」。CSR、LOHAS的なもの、環境保護やエコロジーなど、サステナビリティ(持続可能性)を希求する社会全般の動きを中心に、キャリア・ファッション・カルチャー・インテリアなど、幅広い分野にわたり情報発信を行う。
雑誌の他、CSR担当者とCSR経営者のためのニュースレーター「CSRmonthly」も発行。CSRの研究者や実務担当者など、約20名による最新情報を届けている。
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