西友が魚介類の調達方針強化を約束――ダイエー、ユニーもヨーロッパウナギの取り扱い中止を表明
調達方針強化を訴えるグリーンピースの
メンバー(c)Kazuya Hokari/Greenpeace
国際環境NGOグリーンピースは9日、国内大手スーパーマーケット5社が販売するウナギのトレーサビリティに関する調査結果を発表した。調査の結果、西友が一部商品で、ウナギの種類を把握しないまま販売していたことが判明。これを受けて同社は、今後は種の特定と流通経路の追跡ができる魚介類を原料とした商品のみを取り扱うことを発表した。さらに西友に続き、ダイエー、ユニーも絶滅危惧種であるヨーロッパウナギの取り扱い中止を表明した。(オルタナ副編集長=吉田広子)
日本では世界のウナギ生産量の70%以上が消費されているが、日本で売られているウナギの99%以上を占める「ニホンウナギ」と「ヨーロッパウナギ」は、絶滅危惧種に指定されている。
絶滅危惧種及び乱獲されている魚介類の薄利多売を問題視するグリーンピースは今年8月、魚介類のトレーサビリティ体制を把握するため、国内大手スーパーマーケット5社(イオン、西友、ダイエー、ユニー、イトーヨーカドー)に対し、アンケート調査を実施。その後、各社の店舗で購入したウナギ加工商品を第三者機関で DNA 検査し、該当商品の原料となるウナギの種を各社に再度問い合わせ、その正確性を確認した。
その結果、西友・下高井戸店(東京・世田谷)で販売されていたウナギ商品「即席きもすい」が、ウナギの種が把握されないまま販売されていたことが判明した。
サンシャイン・西友店(東京・豊島)で販売されていたウナギ商品「うなぎ長焼」については、グリーンピースが西友に種の確認をしたところ「ニホンウナギ」と回答があった。しかし、DNA検査の結果、アメリカウナギであることが分かった。
西友は、「ニホンウナギ以外の販売を検討する中で、アメリカウナギに切り替えを行っていた商品であり、質問票に回答する際に商品情報を十分に確認せぬまま誤答してしまった」としている。
西友は10月7日、「改善すべき点がまだある」とし、グリーンピースと共に検討した結果、種の特定ができて流通経路を追跡できる魚介類を原料とした商品のみを取り扱うとする、調達方針およびトレーサビリティ体制の強化を約束した。
■ 「次世代に残すための調達方針が必須」
さらに今年7月の時点では、西友のみがヨーロッパウナギを取り扱わない方針を明らかにしていたが、新たにダイエーとユニーが今後調達しない方針を表明した。
イオンは7月以来同種の取り扱いがなく、イトーヨーカドーは「今年度の取り扱いについては年度内に終売。次年度の取り扱いについては未定」としている。
グリーンピース海洋生態系担当の花岡和佳男氏は、「大手スーパーマーケットが魚介類の調達方針やトレーサビリティ体制を強化したことは大きな一歩。しかし、アメリカウナギも2012年のワシントン条約締約国会議で国際取引の規制対象種とする案が浮上したように深刻な資源状態にある。調達対象を単純に代替他種へ移行することは、絶滅の連鎖を続けるだけで根本的な解決策にはならない」と指摘した。
同氏は、「スーパーマーケットは、海と食卓の魚を次世代に残すため、絶滅危惧種や乱獲されている種の取り扱いを中止し、持続可能性を確保するための魚介類調達方針を策定・実施することが急務」と訴えている。
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