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「会津電力」が誕生、中央と地方の新しい関係を

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会津若松市で開かれた会津電力の記者会見

「会津地方の豊かな自然エネルギーを活用し、地域の自立を目指す」と宣言して、福島県会津地域の市民が「会津電力株式会社」(AiPOWER)を設立した。10月25日に会津若松市で記者会見を行った。(ノンフィクションライター・高橋真樹)

福島第一原発事故の影響で、厳しい状況にさらされた福島県民。その中から、国や東京電力を批判するだけでなく、自分たちに何かできないかという話し合いが幾度も持たれてきた。

放射能による被害が比較的少なかった会津地域では、会社経営者らが中心となり、原発に頼らない社会を目指す「会津自然エネルギー機構」を立ち上げた。勉強会や自然エネルギー事業の具体化に向けた相談を進め、2013年8月、会津電力が設立した。

会津電力社長に就任した佐藤弥右衛門さん(喜多方市・大和川酒造社長)は、東京と福島の食やエネルギーをめぐる植民地的な関係を変えていきたいと語る。

「会津はエネルギー自給率が1万%以上あるのに、今まではそれが全部東京に持って行かれていた。会津電力の取り組みを通して、地方が自立する足がかりをつくり、中央と地方の関係を新しくつくり直したい」

まず第一期のプロジェクトとして手がけるのが太陽光発電事業だ。2015年秋までに、合計11カ所に設備を設置して、東北電力に売電する。合計出力は約2メガワット(2千キロワット)で、約600世帯分の電力を生み出すことになる。

はじめに手がけるのは、設備の中で最大出力(1メガワット)となる雄国地域(喜多方市)の太陽光発電設備で、2014年9月に稼働する。事業には地元金融機関からの融資と補助金の活用のほか、全国の市民からの出資も募集する予定だ。設備の設置などは地域の事業者が担い、地域内でお金を回す仕組みだ。

第一期の太陽光発電事業を通して企業体力と信頼関係を培い、第二期以降では地域の川や森を活かした小水力発電や、木質バイオマスなども手がけようと検討している。設備の周辺に子どもたちの教育施設もつくり、自然エネルギーについて学べるようしたいという構想もある。

会津電力監査役である遠藤由美子さん(会津三島町・奥会津書房代表)は、「私たちは、さまざまな方々と信頼関係を築きながら、時間をかけて立ちあげ準備をしてきました。会津地域だけでなく、オール福島で連携しながら、日本全体、世界に向けて活動を発信していきたい」と語る。

福島の市民が主体となってはじまったこのチャレンジは、単に電力を生み出すというだけではなく、日本の都市と地域のあり方を問いなおす意味を持つ活動になりそうだ。

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