年々高まる「ビジネスと人権」への関心――下田屋毅の欧州CSR最前線(35)前編
の下田屋毅氏
国連主催の第2回目となる「ビジネスと人権フォーラム」が2013年12月2日~4日にスイス・ジュネーブにおいて開催され、筆者は参加の機会を得た。(在ロンドンCSRコンサルタント・下田屋毅)
このフォーラムは、2011年3月に国連人権理事会から公表された保護、尊重、救済のフレームワークである「国連ビジネスと人権に関する指導原則」の普及を目的として、2012年から年次開催されることとなったものである。
2012年の第1回目の議長は、国連ビジネスと人権に関する指導原則をとりまとめた主要人物である、ジョン・ラギー教授が務めたが、第2回目の今回は、アセアン・ファンデーションの常任理事であるマカリム・ウィビソノ博士(元国連人権委員会議長、元インドネシア大使)が務めた。
このビジネスと人権フォーラムは、次を主要目的としている。
1)世界の全地域からのステークホルダーに対し、「ビジネスと人権」に関する対話のための主要な会合場所を提供する。
2)指導原則を世界に拡散し実施の促進、また効果的で包括的なエンゲージメントの強化。
3)指導原則の実施にあたりトレンドと課題、模範事例を見つける手助けをすること。
ビジネスと人権フォーラムは、2012年の1000人を大幅に上回り、参加登録が1700人を超え、より関心が高くなっている。参加者は、市民社会・先住民族組織が3分の1を占め一段と関心が高いが、企業関係者は17%にとどまった。
日本からの参加者は、政府関係者はいたようだが正式な代表を送ってはいなかったようだ。また一般企業からの参加は日立製作所のみで、NGO・大学研究者を含め日本関係者は10人前後と少なかった。
■目立った市民社会の訴え
2013年のビジネスと人権フォーラムの本会議(12月3・4日)はセッションの方法が改善され、基本的に同じフォーマットで、モデレーターの監督の下、会場の参加者全てに発言権があり、その時間が確保されるようになった。
これはマルチステークホルダーダイアログの質を高めるために、参加者すべてが対等な立場で参加し発言できるようにしたものである。
パネリスト、コメンテーター、および会場からの発言者は、時間制限が課され、パワーポイントやその他の視覚的なプレゼンテーションは許可されていない。
会場の異なるステークホルダー・グループの参加者すべてに発言権があり、1)各国政府、2)企業、3)市民社会組織、の3つのカテゴリに大きく分けられた。
各テーマ別セッションでは、パネリストの報告の後に、これらの3つのステークホルダー・グループが順番に発言の機会が与えられた。特に市民社会組織の発言が活発であった。
印象的だったのは、先住民族が、多国籍企業による天然資源開発に関わる土地の収奪・環境汚染による人権侵害について伝え、国連のワーキング・グループに状況確認のためのサイトビジットを訴えるという場面が多く見られたことだ。
※後編に続く
「志」のソーシャル・ビジネス・マガジン「オルタナ」

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