Global CSR Topics

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中国における寄付 ――異なるタイプのドナーの存在

中国の富裕層はあまり寄付をしない、とよく批判される。昨年、中国の百万長者数は240万世帯となり、その半数の日本を抜いて米国に次ぎ世界第二位になった。フォーブス誌の年次億万長者リストの2014年版でも、152人と、中国は米国に次ぐ第二位だ。しかし、慈善活動への寄付やボランティア活動、他人への支援の割合をみた世界寄付指数では悲しいことに中国は135カ国中133位だ。この残念な順位にもかかわらず、中国慈善寄付情報センター(中華人民共和国民政部内)が発表した最新の数字によれば、2013年には2012年から21.06%上昇し、989億元(161億米ドル)となった。興味深いことに、同報告書によれば、2013年の寄付総額の70%は企業によるもので、その殆どは非公開企業か外資系企業だ。中国のフィランソロピーには新たな地元の名士も登場している。中国の電子取引最大手、アリババの共同創業者の馬雲(ジャック・マー)氏と蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)氏が、同社の既存株式の約2%に相当するストックオプションを寄贈して公益信託を立ち上げたと明らかにした 。

中国における寄付の様相が変わるなか、中国のフィランソロピーでは、寄付をする動機、目的、その資金の効果をどうドナーが判断するかなどを調べ、ドナーの意思決定をより良く理解するための研究が実施された(寄付対象の「春喗博愛」子ども基金のためにスコール財団が支援)。中国の個人、企業や慈善団体への聞き取り調査や入念な二次的調査を通じて、以下の主な結果が出た。

分類の概要:中国のドナーは、裕福な個人の中国人、中国企業、設立間もない初期の財団、経験のある成熟した財団、多国籍企業の5つに分類できることが分かった。寄付の動機は、企業名やブランド名の認知度を高めつつ問題解決したい、ということから、より体系的なインパクトを望むものまで、分類ごとに異なる。投資の管理の洗練度も、日和見的、反応的な寄付から、コラボレーションの効果を狙った堅牢な戦略まで、分類ごとに異なった。

How Donors in China differ in their Motivation and Degree of Sophistication

個人のドナーが個人的な目的意識から寄付し、毎年同じ団体に寄付を続ける一方、中国企業は概して、充足感と企業ブランドの認知度を高めつつ特定の問題を解決しようとする。設立初期の財団は財団の設立によりフィランソロピーを正式化したい裕福な個人の集団だ。寄付の決定は概してその設立者の意志による。中国の多国籍企業は通常、最低ひとりの従業員がCSR/フィランソロピー担当としてNGOや社内のCSR/フィランソロピー委員会との窓口となり、その企業のコミュニティ投資と助成金の条件に基づき、最終決定を行う。成熟した財団はより体系的な効果を求め、一族の次代への継承を望み、よく構成されたフィランソロピーの戦略と条件によりフィランソロピーを決定する。

  • ドナーのライフサイクルのモデルと報告義務

調査結果によれば、中国の5種類のドナーはライフサイクルが異なる。各ドナー・タイプはNGOの見つけ方や投資する組織の評価、投資におけるエンゲージメントと実証、投資決定の再評価に関してそれぞれ異なるプロセスをもっている。最も長期的で詳細なプロセスをもつのが成熟した財団と多国籍企業であることは驚くに値しないが、彼らは投資先のNGOとも最も活発にエンゲージしていることがわかった。

How Donors in China differ in their Motivation and Degree of Sophistication

  • 助成金決定の条件

この分野では詐欺や賄賂に慎重を要するため、裕福な個人と中国企業における助成決定で、NGOの信頼性と組織に対する個人的な確証が非常に重要だ。組織の信頼性は重要だが、財団と多国籍企業はプログラムを導入しその資金のなかで効果を発揮するNGOチームの能力も重視している。

How Donors in China differ in their Motivation and Degree of Sophistication

  • 報告義務

調査結果によれば、ドナーが求める最低限の情報は活動が導入されたことを示す2つの実例、その進展を示す基本的な統計数点を載せた年次報告書かパンフレット、そして寄付がどう使われたかの口頭での確認だ。設立初期の財団の設立者の多くは事業で富を得たため、彼らは効率良く効果の高いNGOを好み、求められれば時にはアドバイスや他者への推薦などして組織を支援する。その代わりに、彼らは目標達成に向けた組織の成果を示す数字やストーリーを求める。企業と成熟した財団は非営利団体に四半期ごとの状況報告を求めるが、多国籍企業と成熟した財団は活動報告だけでなく効果の報告も求める。

この調査結果は中国の異なるドナー・タイプに関する価値ある洞察を提供している。しかし、さらに重要なのは、中国の寄付の状況のより確かな理解と可視性が得られたことで、中国のドナーとNGOはどうやり方を変えるか、ということだ。「春喗博愛」子ども財団のCEOのシンディ—・シュー・リンは、異なるドナーが寄付を決定するにあたり何を求めているかをより明確に理解でき、募金集めの対象となる的が絞れ、主なドナーによりうまく団体のインパクトが伝えられる、と述べている。

ロータス・コンサルティングのエリザベス・ウォーカー・ソバ−ニ(この調査に関わった4人のコンサルタントのひとり)は、この調査結果を参考に、NGOは中国の異なるタイプのドナーに適合し、NGOの能力にも見合ったパートナーシップや募金戦略がつくれると信じる、としている。エリザベスは「中国のNGOはドナーに対するアプローチとコミュニケーションを調整する必要がある。設立初期の財団を引きつけるアプローチでは多国籍企業はひきつけられない」と述べ、この調査の結果、中国のドナーも、その分類の「通常のパラメーター」に留まりたいか、戦略的寄付という意味で境界を超えたいか、検討し直すことになることを望む、とした。「ただお金を寄付するだけで充分なのか?ドナーがNGOと真のパートナーシップを構築し、体系的なインパクトを生むために主要な社会問題に取り組む努力すれば、より多くのことが達成できる」。実際、この研究のもうひとつの興味深い側面で「体系的なインパクトを生むために・・・・境界を超える」の優れた例は、助成対象組織に与えられたこの研究をスコール財団が支援したことと、調査結果をセクター内で共有してくれたことだ。NGOセクターが変化、発展し続けている中国では、ドナーは厳密なプログラムや活動への限定的な助成の域を超え、長期的なインパクトをもたらすNGOのキャパシティ構築、リサーチへの助成や他のドナーとのパートナーシップを考慮しなければならない。



by Mabel Wong
CSRアジア週刊ニュース日本語翻訳版

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