Global CSR Topics

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人権問題に企業はどのような影響力をもっているか

「人権」という言葉はすべての人が国籍、居住地、性別、生まれた国や人種、肌の色、言語その他にかかわらず有する基本的権利と自由を示す。世界人権宣言、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、市民的及び政治的権利に関する国際規約からなる国際人権規約は国際労働機関(ILO)の労働基準と共に、国際法に則した基準として広く認められている。こうした権利は各国の憲法や法律に取り入れられている。

2011年に批准されたビジネスと人権に関する指導原則では、人権保護における国家の責任、ビジネスが人権を尊重する責任と救済する責任について明らかにされている。すべての企業には人権に関して良い影響も悪い影響も与える力がある。過去十年間に、多くの企業が人権への影響を管理する上で社会の期待に応えられず、大きな批判を集めた。企業にとっては、健全で教育を受けた労働力、政治的安定、そして人権や法律、正義が守られる環境は有益であることは間違いない。

指導原則は、人権に関する企業方針と、人権への悪影響を防ぎ被害を最小限にし、説明責任を果たすためのデューデリジェンスの仕組み、また企業がその起因となったり関連した人権侵害の救済に向けた仕組みを有することを企業に求めている。企業は人権に及ぼす影響の実態や潜在的な危険を特定し、管理対策へのアプローチを開発し、コミュニケーション、報告、救済システムの確立を実現するための方針とデューデリジェンスを確立すべきだ。

指導原則は、その企業自体が直接悪影響を与えているのか、関連会社を通じて関与しているのか、また、その問題是正に対してどれだけ影響力を持つのかにより、企業の行動が異なることを認めている。これは指導原則のもつ倫理的、法律上の意味の複雑さにも関係してくる。たとえば、国際人権侵害となるような状況で人を強制的に移住させるよう促し、またはそれに加担した企業は直接指導原則に違反したとみなされかねない。

指導原則における影響力の概念は、企業が現実的に「何ができるか」ということだ。昨年、SHIFTは「ビジネス関係を利用した人権リスクの削減」という報告書を掲載した。これは企業が社内外で持つ(または持たない)影響力をもとにして、とるべき適切なステップを特定したもので、情報源として役に立つ。以下がその内容だ。

  • 従来型の商業的影響力:商業上の関係で企業が日常的に行っている活動の中にある。
  • より広域な企業の影響力:企業が独自に行えるが、キャパシティ構築のような日常的または典型的ではない活動を通して行える。
  • ビジネスパートナーと協力した影響力:業種に関わらず他の企業など複数の組織と共に、または別々に関与することで生まれる。
  • 複数のステークホルダーとの協力による影響力:他企業、政府、国際機関とのコラボレーションで生まれる。

企業が人権侵害を冒したりそのリスクがある場合には、指導原則下では、侵害の元となった活動をやめるか防止し、侵害を救済すべきであるとされている。企業が人権侵害に関わった、また関わった可能性がある場合には、その活動をやめるか防止し、その影響力を利用することで、リスクを減らし、救済に貢献すべきなのだ。

金融機関も企業の影響力に注目しており、欧州のいくつかの銀行はThun Groupとしてつながり、指導原則の解釈に関する論文を発表、「銀行によって人権に与える影響の多くは、銀行の顧客の活動によるもので、銀行自体の直接的行動よりも、むしろ銀行が持つ企業への影響力や対話を通じて対処するべきものだ」とした。この分析はガーディアンのウエブサイトで議論されたが、顧客の行動を形づくる上で銀行に少しでもチャンスがあるとするなら、一定の基準を満たさない顧客との取引には合意しないことで、制度的な影響力を持つことができる。

業種にかかわらず、すべての企業はその影響力と、その影響力を用いて地域や世界の人権問題の前進にどう役立つことが可能かを認識すべきだ。さて、貴社にはどんな影響力があるのだろうか?



by Michelle Brown
CSRアジア週刊ニュース日本語翻訳版

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