【国際】グローバル企業の社会貢献活動、地域による違いが明らかに
世界各地域における企業による社会貢献活動の違いをまとめた興味深い報告書が公表された。
グローバル企業のCEOらが集まり企業の社会貢献活動を推進しているNPOのCECP(The CEO Force for Good)は11月18日、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、ヨーロッパの各地域におけるグローバル企業の社会的投資の現状をまとめた調査報告書を公表した。
今回CECPが発表した報告書”Giving Around the Globe: 2014 Edition”は、米国以外の17ヶ国に拠点を置くグローバル企業54社が展開している社会貢献活動の状況をまとめたもので、対象企業54社による2013年の社会貢献活動への投資額は現金・現金以外を含めて総額36億ドルにのぼる。
また、CECPは同報告書とは別に北米に本拠を置くグローバル企業を対象に分析を行った”Giving in Numbers: 2014 Edition”も発表しており、これらの報告書が各地域における企業の社会貢献活動の質の違いを示している。各地域の主な傾向は下記の通りだ。
アジア
2013年のアジアにおける企業の社会貢献活動費は、従業員一人あたり680ドルという高い割合を示しており、調査対象企業の70%が海外市場向けの投資を行っている。アジア地域に特有の文化規範や効率性を重視する企業文化により、従業員の時間を費やす社会貢献活動に対しては消極的な傾向にある。
ヨーロッパ
古くから慈善活動が根付いているヨーロッパにおいては、91%の企業が国際的に社会的投資を行っている。しかしながら、プロボノ活動についてはあまり積極的に行われておらず、国内でプロボノ活動を展開している企業は27%、国際的に展開している企業は17%にとどまっている。
ラテンアメリカ
ラテンアメリカの企業は社会貢献活動に多額の費用を投じており、1企業につき平均32人のコミュニティ支援チームを社内に擁している。こうした多額の投資に関わらず、同地域では従業員の支援やボランティアプログラムへの取り組みが弱く、国内でボランティア活動を展開している企業は17%しかいない。
アフリカ
アフリカでは、政府や営利企業とのパートナーシップにより社会的投資を行っている企業の割合が高い。調査対象企業の中には国際的に社会的投資を行っている企業はなかったが、これはアフリカの地域内における切迫した社会的ニーズに起因していると考えられる。
北米
北米の企業は2013年、教育分野に対して最も多くの投資を行った。同地域では、寄付以外の投資も伸び続けており、金融業界を中心として調査対象企業の半数が社会貢献活動の一環としてプロボノ・サービスを提供している。
今回の調査結果を受けて、CECPでCEOを務めるDaryl Brewster氏は「Giving Around the Globeは企業が現在展開している社会的投資を評価するためのベンチマークとベストプラクティスを提供し、企業がグローバルの慈善活動戦略によってどのように将来の自社の価値を高めていくことができるかを教えてくれる、価値のあるビジネスツールだ」と語った。
また、同報告書の著者で評価・規格担当マネージャーを務めるCarmen Perez氏は「今回の報告書で注目すべきは企業に対してCSR投資の義務化を進めている新興市場の動きだ。インド、ブラジル、インドネシアでは既に同地域内で事業を行う企業にCSRを義務づける法律が制定されている。企業がこれらの義務を戦略的かつ確実に果たしていくことができれば、それは国が真に社会的発展を遂げる大きな機会をもたらす」と述べ、新興各国の政策を評価した。
社会貢献活動の展開状況やプログラム内容は各地域の企業文化やニーズによって異なる傾向を見せることがよく分かる。同レポートは下記からダウンロード可能。
【レポートダウンロード】Giving Around the Globe: 2014 Edition / Giving in Numbers: 2014 Edition
【団体サイト】CECP
2015/1/7
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