Global CSR Topics

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2015年アジアで注目されるCSRの課題

誰もが今年一年はどういう年になるか予測をしたがるが、本稿では、2015年に限らず、今後10年の間に予想される重要なCSR課題について述べたい。CSR アジアでは毎年、アジア地域のCSR専門家とのステークホルダー・エンゲージメントを通して調査を実施し、主なCSR課題を特定している。以下は、この調査から見えてきた主要な5つの課題である。

1.気候変動と水問題
気温上昇でその対応へのコストも増加し、企業や製品にもその影響が出ることが考えられる。気候変動による自然災害によって、企業の事業継続性、耐性(レジリエンス)、サプライチェーンの保証にもなんらかの影響がもたらされるだろう。企業はリスク削減と災害対応を事業計画に盛り込む必要が出てくる。貧困、食料安全保障、生物多様性の損失といった気候変動の影響は増大するだろう。ステークホルダーは利益を左右するカーボン排出削減を大幅に進めるよう企業に圧力をかけていく必要がある。
同時に、水不足も操業に影響し、生産コストも上昇するかもしれない。水質汚染、またきれいで利用可能な水へのアクセスは大きな懸念となるだろう。そのため水のアクセスをめぐり企業と地域社会の間の緊張が高まることも避けられないだろう。とくに、農業と食料安全保障についての緊張がみられる。民間セクターは気候変動関連の洪水や旱魃に向け災害対応準備に取り組む必要が出てくるだろう。

2.サプライチェーン、人権と現代版奴隷問題
一次サプライヤーだけでなく、サプライチェーンの深層でのリスクまで監視する責任を企業ブランドに求める圧力が高まっている。とくに、児童労働、強制労働、人身売買、難民に関するリスクへの対処を民間セクターは改善すべきだ。
人権問題や現代版奴隷に関与していたことが発覚した場合、企業は非難され、評判やブランドが傷つけられ、損害賠償を起こされるリスクも増大している。消費者はサプライチェーンの深層で起こりうる人権問題についての関心を高めており、この問題を気にしない企業を罰するようになっている。サプライチェーン全般のトレーサビリティと、関係者の協調による問題解決を求めるステークホルダーの要求も高まるだろう。

3.コミュニティ投資と開発の課題
従来型のコミュニティ投資の中心が、より必要な対象者への投資と貧困軽減に移っている。2015年には、持続可能な開発目標に新たな開発の課題が生まれ、これに基づき企業が開発に貢献するようになるだろう。財政面で包括的に役割を担い、バリューチェーンやコミュニティにおいてインクルーシブなビジネスモデルを開発することが重要だ。社会企業や社会イノベーションを支援することで、企業はその役割を果たせる。コミュニティへどれだけの影響をもたらしたか測定しそれを報告する重要性も増すだろう。

4.コーポレートガバナンス、情報開示と賄賂防止
透明性と説明責任の改善への要求は増すだろう。同時に、アジアでは賄賂への懸念もつきまとっている。より厳しい監視と賄賂容認傾向の根絶が必要だ。
透明性と説明責任の改善を求めるステークホルダーからの圧力も高まっており、とくに投資家と証券取引所は情報開示を企業に迫っている。持続可能性をより考慮したガバナンス制度と、世界で認められる国際基準に基づいた報告が求められるようになるだろう。

5.富の格差、貧困と社会の不均衡
アジアの多くの国では貧富の差が拡大し、それが社会衝突(とくに若い世代で)の原因となるだろう。企業は社会のモビリティを高め、多様な人材を受け入れるということでその役割を果たすことができるだろう。
中流階級が増加し、消費のパターンも変化するだろう。多くの貧困層は貧困から抜け出せず、国の経済成長による恩恵を受けない。雇用の創出と起業支援という面で企業には果たせる役割があるだろう。

本稿はCSR アジアが実施した調査「CSR in 10」に基づいたもので、調査報告書の本文はCSR アジアの会員様のみに提供しています。



by Richard Welford
CSRアジア週刊ニュース日本語翻訳版

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