Global CSR Topics

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ミャンマーでの事業を持続的に発展させるには

CSR アジアは国際救済委員会(IRC)と共に、「卓越した投資に向けて:ミャンマーの労働力を持続的に育成するには」、というプログラムを実施している。その目的はミャンマーの改革と発展に伴い、今後タイから自主的に帰還する難民や出稼ぎ労働者が、持続可能な形で社会に参加し、ミャンマーの労働市場と経済に最大限のプラス効果をもたらすよう、技能訓練や実習・雇用制度といった準備を拡充することだ。現在、タイには約11万人の難民と200~300万人の移住者が居住している。2015年1月、CSR アジアとIRCはミャンマーで事業を展開する主要企業を招き、帰還する難民と出稼ぎ労働者にいかに投資するかを検討する会議をヤンゴンで開催した。

この会議でIRCはタイに居住する難民と出稼ぎ労働者の状況と、彼らが自主的にミャンマーに帰還する上でのチャンスと課題を説明した。またアコー・ホテルズのアジア太平洋地区のマリカ・ナグラン代表も出席し、オーストラリアで難民を雇用した体験を述べた。CSR アジア会長のリチャード・ウェルフォードが同会議の進行役を務めた。会議の中で企業はタイに居住する難民と出稼ぎ労働者について理解を深め、プロジェクトに関する質問をした。


会議の主要議題:

  • ミャンマーの労働市場:ミャンマー経済は2014財政年度で7.8%の成長率(2015年3月末まで)となり、成長要因は景況感上昇による投資増大、商品輸出、天然ガスの生産拡大、ツーリズムの好調とクレジット成長である。国の成長が続く中、2015年には3,200万人の労働者が必要になると報じられた。IRCは今後1~3年で熟練難民や出稼ぎ労働者が帰国を選択すると予測している。
  • 難民と出稼ぎ労働者は労働市場に貢献できる熟練労働力である:アコー・ホテルズのオーストラリアでの例から、難民は労働市場にプラスの価値をもたらしうることがわかる。メルボルンとシドニーに居住する出稼ぎ労働を訓練する「ジョブ・レディ—(就職準備)プログラム」の結果、2013年には70人を超える候補者のホテル関連分野での雇用につながった。IRCは難民と出稼ぎ労働者がすでにもつスキルとすでに訓練済みのスキルも紹介した。
  • タイの難民と出稼ぎ労働者のための下準備、その例:IRCはミャンマー帰還に向けての準備活動に焦点を合わせ、難民と出稼ぎの医療従事者のスキルをさらに充実させるため、認可を受けた学術機関による医療訓練コースを導入した。IRCとタマサート大学の国際研究学部はミャンマー厚生省(MOH)が認可する公衆衛生認定証の修得につながるトレーニングの導入に向けて協力している。さらに、数千人の難民と出稼ぎ労働者がIRCとそのパ—トナーによるトレーニングを通して、経営管理、財務・会計、コンピューター、語学(英語、タイ語、ビルマ語)、教育、医療・公衆衛生、ホスピタリティー経営、農業と建設の訓練を受けた。こうした訓練により自由労働市場での帰還民の競争力が高まることが期待される。
  • 難民の再定住支援の成功例:IRCは難民の訓練と雇用において、企業パートナーと数多くの提携経験をもつ。例えば、IRCはレストランチェーンのChipotleと協力し、全米千カ所以上の同社チェーンでの勤務に関心を示し技能を持つ難民を特定した。また、IRCのニュー・ルーツ・プログラムは、数百人の難民の農業従事者が健康で安価な食料を生産し自活することを目指し、農機具と職業訓練を提供するものだ。
  • ミャンマーへの再同化:帰還者が労働市場とミャンマー社会にうまく再同化できるかについて企業は懸念を示した。この点からも、帰還者が到着前に必要な下準備を受け、再定住の期間にも継続的な支援を受ける必要性を示している。IRCには自立と同化を促進することで再定住する難民を支援してきた経験と自信がある。例えば、2013年にはIRCは世界で新たに到着した8700人ほどの難民の再定住を支援した。
  • 政府からの支援:今後、難民や出稼ぎ労働者がミャンマーへ自主的に帰還する手助けとなる上で重要な要素は政府からの支援だ。さらに、帰還者が合法的に働くことが保証され、企業がプログラムを支援する際に政府からのお墨付きを得られることも重要だ。IRCはこの課題について政府と協働する道を模索し、今年後半に最新情報を報告する予定である。
  • このプロジェクトに参加ご希望、もしくはご関心のある企業はCSRアジアの Iris.Lui@csr-asia.comまでお気軽にご連絡ください。



    by Iris Lui
    CSRアジア週刊ニュース日本語翻訳版

      CSRアジア

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      CSRアジアは、国内外でCSR、サステナビリティ戦略の普及・推進事業を行っている企業、組織と連携し、持続可能な社会の実現を目指しています。企業の社会的責任(CSR)における各種コンサルティング、リサーチ、研修等を通じ、持続可能なビジネスを実現できるよう支援しています。

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