Global CSR Topics

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ラグジュアリー産業の革新的進化

ラグジュアリー産業は贅沢なライフスタイルや毛皮のコート、ヘビ革バッグがもてはやされる一方、その原産地、職人技、耐久性という本質的価値は見過ごされがちである。しかしサステナビリティに関するトピックが徐々に浸透しつつある。高級ブランドの多くがバリューチェーンの中でサステナブルな取り組みを目指しているが、成功するか否かは各企業の価値観と文化に左右される。

2015年4月2日、恒例となったパリの展示会「1.618サステナビリティ・ラグジュアリー」の場で、高級ブランド向けのフォーラムが開催された。今年のテーマとして高級ブランドのサステナブルなソーシングと責任あるバリューチェーンが強調された。ケリング、ショパール、ピアジェ、エシカル・ファッション・イニシアティブ、さらにロンドンのセンター・フォー・サステナブルファッションといったブランド、起業家、有識者とNGOがこの一日のイベントに参加した。

このフォーラムではサステナビリティの重要性、および効果的なビジネス戦略でいかに達成するかが強調された。特にサステナビリティはイノベーションを生み出す役に立つのか、単に外からの圧力への対応策なのかといった質問が挙げられた。主要テーマは、ハイジュエリーの認証および代替原材料によるイノベーション、製造工程改善のためのテクノロジー活用(革なめし等)、ファッション業界における持続可能な原材料(原材料のリサイクル)などであった。

これらの取り組みを進める際、技術的側面を支える人的要因の重要性が討議の中で指摘された。リーダーシップ、顧客の参画とコミュニケーション、さらに業界横断的な協働が必要である。

当イベントを踏まえ、CSRアジアではアジアにおけるラグジュアリー業界が進めているサステナビリティの取り組みを調査している。

アジアにおけるサステナブルなラグジュアリー産業

近年、アジアにおいて高級ブランドへの需要は伸び続けている。企業の社会的責任の概念が中国の高級ブランドに徐々に浸透する中、イタリアのオンライン・リテーラーで中国と香港に子会社を持つユークス・グループは、ナオミ・キャンベルが設立した「ファッション・フォー・リリーフ」とパートナーシップを組み、フィランソロピー型取り組みを活発に展開している。上海灘はSave China’s Tigersという団体と共に2008年よりCancer Fund Charity(注1)を支援している。ケリングとヒューゴ・ボス、ボッテガ・ヴェネタは特に芸術分野に力を入れ、中国の若手芸術家や学生を支援するプログラムを進めている。(注2) エルメスの中国発新ブランド「上下((注3)Shang Xia)」はサステナビリティ・アプローチを導入し、新製品のイノベーションによる伝統の保護を目指している。

アジア企業の間でコミュニティ・チャリティーや芸術、文化というフィランソロピー型活動が注目される一方、環境配慮型のサステナビリティ活動は限定的である。環境活動やサプライチェーンに焦点を当てた持続可能な取り組みを策定した高級ブランドはごく少数である。(例:シャングリ・ラが策定した自然保護プロジェクト(注4))。より積極的な取り組みが見られるのは宝飾業界、とりわけダイヤモンド産業と思われる。

中国で中産階級の人びとが増加し、ダイヤモンドの需要が高まる中、「責任ある宝飾品業のための協議会(RJC)」は中国での取り組みの強化を目指している。RJCはリシュモンやLVMH、シャネルのようなメゾンと協働し、現在世界中に500(注5)のメンバー企業を有する。RJCによると「香港・中国地域はファイン・ジュエリーの最も重要な生産拠点であると同時に、消費者市場としての重要性も増している。」(注6)これによってアジアにおいて責任ある持続可能な宝飾品のサプライチェーンおよびビジネス慣行を成功させるチャンスとなる。

こうした点でRJCはアジア企業に認証制度を導入すべく働きかけている。認定済み宝飾メーカーは数少ないが、一例として広東省のジュエリー製造施設が認定を受けたコンチネンタルジュエリー(製作所)リミテッドが挙げられる。(注7)六福ジュエリーのように、RJCの認定は受けていないものの、環境に配慮した製造工程に向けた取り組みを進めているアジアの宝飾メーカーも存在する。(注8)

新たに成長するアジアの消費者:変化の時

サステナブルな高級品への需要はアジアにあるのだろうか。意識の高い新世代の消費者がアジアで増えつつある。国際的なマーケティング調査会社のニールセンによると、新世紀世代(21歳~34歳の年齢層)はサステナブルな行動により敏感である。とりわけアジア太平洋地域では、サステナブルな行動に対して新世紀世代は他の世代より平均して3倍の賛同を示している。(注9)

一方、別の調査では消費者はサステナブルな行動に共感しつつも、生活習慣を変えてまでライフスタイルを妥協する意思はないことを示している(注10)。これは1.618パリ会議の際、ケリングのDaveu氏が「ラグジュリー製品の品質は変えられない、サステナブルであるために品質が下がったり美しさが損なわれたりする必要はない」とした点と重複している。

 高級ブランドにとって、アジアで新たに成長しているサステナビリティの価値観を持つ消費者層を獲得する時期が来ている。なぜなら、高品質で美しく、サステナブルな商品を通して高級ブランドが自社を見直すチャンスとなり、コンプライアンスとフィランソロピー型の活動から、より戦略的かつサステナブルな取り組みへとつながるであろう。

 (以下 脚註)
1. Shanghai Tang
https://www.shanghaitang.com/world-of-shanghai-tang/cancer-fund-charity
Access: 27-04-2015
2. Empowering Talent, Kering
http://www.kering.com/en/talent/empowering-talent
Access: 27-04-2015
3. China’S 382 Million Millennials Ddemand Corporate Social Responsibility, (2014), jingdaily
http://jingdaily.com/chinas-382-million-millennials-demand-corporate-social-responsibility/
Access: 27-04-2015
4. Shangri-La’s Care for Nature Project
http://www.shangri-la.com/corporate/about-us/corporate-social-responsibility/csr-projects/sanctuary/shangrilas-care-for-nature-project/
Access: 27-04-2015
5. RJC
http://www.responsiblejewellery.com/members/
Access: 27-04-2015
6. Responsible Jewellery Council Explains Mission At HK Fair
September 29, 14 by Albert Robinson,
http://www.idexonline.com/FullArticle?id=39940
Access: 27-04-2015
7. RJC announces certification of Continental Jewellery and other members
18/02/2015
http://www.jewellerynewsasia.com/en/search/search_result/11945/RJC-announces-certification-of-Continental-Jewellery-and-other-members.html
Access: 27-04-2015
8. Environmental Protection
http://www.lukfook.com/en/about-lukfook/corporate-overview/corporate-social-responsibility/environmental-protection/
Access: 27-04-2015
9. Global Consumers Are Willing to Put Their Money Where Their Heart Is When It Comes To Goods And Services From Companies Committed To Social Responsibility (2014), Nielsen,
http://www.nielsen.com/us/en/press-room/2014/global-consumers-are-willing-to-put-their-money-where-their-heart-is.html
Access: 27-04-2015
10. Joy, A., et al., 2012, Fast Fashion, Sustainability, and the Ethical Appeal of Luxury Brands, Fashion Theory, Volume 16, Issue 3, pp. 273–296

by Jurgita Balaisyte
CSRアジア週刊ニュース日本語翻訳版

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