Global CSR Topics

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持続可能エネルギーで先行するアジアに残る多数の持たざる者

世界銀行の新たなレポートによると、持続可能なエネルギーの世界的目標達成に向け、アジア各国は大きく貢献しているという。アジア各国では国民への電力アクセスの確保と近代的な再生可能エネルギーの使用において成果が見られる一方、特に貧困層に対するエネルギー効率とクリーンな無煙調理用燃料へのアクセスにおいて改善の余地がある。11億にのぼる人びとがいまだに十分なエネルギーにアクセスできない状況である。

本レポートは「万人のための持続可能なエネルギー(SE4All)」が掲げる3つの目標に向け、世界全体での進捗状況の研究の一環を成している。2030年までに、エネルギーへの普遍的なアクセス達成、世界全体でのエネルギー効率の改善ペースの倍増と、世界全体での再生可能エネルギーのシェア倍増を目指している。

「持続可能エネルギーへの進展:世界的追跡フレームワーク2015“Progress Toward Sustainable Energy: Global Tracking Framework 2015”」と題するレポートによると、2010年から2012年における世界の電力アクセスの改善およびクリーンエネルギー目標達成のうち、アジアが60%を占めたとしている。この数字は世界人口とエネルギー消費の中にアジア地域が占める割合よりはるかに大きな貢献であった。とりわけ、近代的な再生可能エネルギー(例えば太陽光、風力、地熱による発電等)拡大への取り組みはアジアでめざましい進展を見せた。2010年から2012年における世界での近代的再生可能エネルギーの消費の伸びは年率4%であったが、アジアでは2倍近い8%の伸びを見せた。

国民への電力アクセス拡大においてもアジア各国は急速な伸びを見せ、2010年から2012年の調査期間で電気が使用可能となった人口は年率0.9%を記録し、これは世界の年率0.6%をはるかにしのぐ数字であった。さらに同時期、クリーンな近代的調理用燃料へアクセスできる人口は、世界規模では減少を示した一方、アジアでは目標値には及ばないものの、わずかながら改善が見られた。

2012年における日本のエネルギー消費量に匹敵するエネルギー削減量を同年、世界全体で達成したものの、SE4Allが掲げるエネルギー効率目標を達成するには、エネルギー強度(エネルギー生産量あたりのエネルギー消費量のことで、経済のエネルギー効率を表す)を最低でも50%速く減少させる必要があると同レポートは指摘する。2010年から2012年における世界の近代的再生可能エネルギー消費量の伸びは年率4%であったが、SE4Allの再生可能エネルギー目標を達成するには、現水準の2倍にあたる8%近くにする必要がある。

アジアでのエネルギー強度削減の進展は、年平均成長率(一般的なエネルギー効率測定単位)で1.3%であったが、これは世界平均の1.7%に後れを取っている。レポートでは2010年から2012年の調査期間における大きな成果を、以下のように強調している。

  • インド・フィリピン・バングラデシュは電力へのアクセスに関して最も取り組みが進み、電力アクセス率は約4%ポイント増加した。
  • ベトナムとインドネシアはクリーンで近代的な調理用燃料へのアクセスが特に進展し、アクセス率は3-4%ポイント増加した。
  • 日本とインドネシアはエネルギー強度削減(エネルギー効率の指標として利用される)で際立つ成果があり、年平均成長率は約5%であった。
  • オーストラリアと中国の再生可能エネルギーのシェアは、それぞれ約1%ポイント増加した。

世界的には、2010年から2012年にかけて新たに2億2200万人が電力へアクセスすることが可能となったが、依然として11億人はエネルギーへのアクセスが確保されていないと同レポートは見ている。また同時期、薪や糞などのバイオマス燃料を使用し続けている人は29億人にのぼり、主に南アジアと東アジアの農村部で見られる。エネルギーとそのアクセスについて、コミュニティ投資プログラムの一環として検討する必要性は明らかである。

すべての人がエネルギーにアクセスできる支援を行うことは、民間セクターが直面する課題の一つである。つまりクリーンで安定的かつ手頃なエネルギーサービスへ貧困層のアクセスを拡大することである。ここでカギを握るのは、低所得者エネルギー市場に対し、より手頃で安定的なエネルギー商品やサービスの提供を支援するイノベーションである。

企業と他のステークホルダーとの協働、さらにセクター横断的にニーズと解決策を特定するアプローチが決め手となる。このようなパートナーシップは特にエネルギーへの普遍的アクセスを進展させる重要な推進力となる。

by Richard Welford
CSRアジア週刊ニュース日本語翻訳版

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