Global CSR Topics

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戦略的価値の創造:第9回CSRアジアサミット2015においてビジネスリーダーが責任あるビジネス・ソリューションについて討議

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アジアにおける企業の社会的責任を討議する年次会議CSRアジア・サミットが先週クアラルンプールにて開催され、議題の一つであった大気汚染のスモッグ(ヘイズ)に見舞われながらも成功裏に終わった。今年のサミットは開催地が3年ぶりにマレーシアとなり、企業やコミュニティ、社会に共通価値をもたらす持続可能なビジネス戦略を中心に討議された。28におよぶ国と地域から429人の代表が出席し、企業・政府・NGOが集う貴重な場となった。

CSRアジア・サミットは2日をかけてアジア地域での企業の社会的責任について話し合い、開催9回目を数えた今では、最も革新的かつ示唆に富む会議だと国際的に認められている。今年の主な協賛・参加企業は富士ゼロックス、華為、クリム・マレーシア(農業)、ムシム・マス(石油)、ディジ(通信)、ネスレ、プルーデンス財団、サイム・ダービー(農業)、ステート・ストリート、コカ・コーラ、UBS、VISAなどであった。

サミットでの3つの主要テーマは「開発の課題」、「労働慣行」および「環境と持続可能性」であった。革新的ビジネスモデル創出による貧困削減、災害に関連する課題の解決、さらに開発に寄与しつつ環境の保全も両立することなどについてビジネスリーダーらが意見を交わした。CSRアジア会長のリチャード・ウェルフォードはテーマを絞り込む必要性を強調した。

「現在の経済情勢に鑑み、企業は先進国および途上国におけるビジネス戦略の再評価を行っている。その際、持続可能性に関する課題の重要性がさらに増し、アジアに展開している企業がグローバル経済の中で競争力を保っていくにはCSR活動をビジネス戦略に組み込む必要性がますます高まっている。」

「CSRアジア・サミットをマレーシアで開催することで、CSRやサステナビリティ戦略を活用し、いかに価値を高めることができるかについて、アジアのビジネスリーダー達と共有することになる。それには説明責任と透明性をさらに高め、NGOや投資界と革新的なパートナーシップを新たに構築する必要がある」とウェルフォード会長は続けた。

サミットを通じて参加者は、労働慣行に関する課題と人権問題があらゆる企業のCSRの取組みと不可分であることを認識した。ジェンダーや移住労働者、人権、現代版奴隷制度にまつわる諸問題は、企業にとり、リスクであると同時にチャンスとなってきている。有能な人材の採用と定着を図る企業にとり、革新的なコミュニティ投資活動に人びとを取り込むことがますます重要となっている。

また環境は持続可能な開発に向けた取り組みの中で引き続き中核をなし、サミットでは今後10年で最も深刻な問題のいくつかについてビジネスの展望を協議した。特に水不足、気候変動、環境保全という主要課題については個別のセッションを設け、緩和策や適応策における民間および公共セクターの役割を検討した。

サミットでの主要議題として他に共通価値の創造(CSV)、従業員の参画、女性の経済的エンパワーメント、インクルーシブ・ビジネス、森林破壊、認証制度、災害対応、サプライチェーンの現状と課題などが討議された。

サミット2015のハイライトは以下の通りである。

  • 「アジアで最も持続可能な企業100社」チャンネル・ニュース・アジア・ サステナブル・ランキング(2015 Channel NewsAsia Sustainability Ranking:サミット会期中、2015年のサステナビリティ分野における先進的なアジア企業のランキングが発表された。このランキングは、チャンネル・ニュース・アジアとサステナリティクス、CSRアジアの3社が協働し、環境・社会・ガバナンス(ESG)指標に基づいてアジアのサステナビリティ企業トップ100を選定したランキングである。
  • 持続可能な開発目標(SDGs)への注目:9月にニューヨークの国連サミットでポスト2015年開発アジェンダが採択された。CSRアジア・サミットではこの野心的な17目標を検討し、企業が果たしうる役割、さらにビジネスにSDGsを組み込む方法について話し合われた。グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)とサイム・ダービー、イケアからの幹部を含むパネリスト達は、SDGsに適う持続的開発に向けて民間セクターの資質や様々な形態のパートナーシップを活用する機会について討論を行った。さらに企業にとっての意味、いかに行動に移すかについても協議した。CSRアジアは会員企業(Strategic Partners)向けに「戦略的開発目標における民間セクターの役割」に焦点を当てたペーパーを配信予定である。(関心ある方のお問合せはこちらcontact us
  • パートナーシップ:変化の原動力は企業および民間セクターの中にあるとの認識を得た。特にグローバル企業トップ500社が世界のGDPの40%以上を占めていることを考えると、大企業の持つ事業規模と範囲が推進力となる。この変化にはセクター間の参画・討議・協働が不可欠である。新たなパートナーシップの構築を促進し、後押しすべく、サミット中にNGOマーケットプレイスを開催している。今年はステート・ストリートがスポンサーとなり、企業とNGO、財団が協働し参画する場となった。また、2010年以来、UBSがスポンサーとなりNGOへの助成金を設け、サミットと事前トレーニングコースへの参加が無料で参加できるように資金支援をしている。

これまでのサミット同様、主な参加者からのフィードバックには、当サミットの参画型議論ができることと併せ、連携し情報に基づく討議を行うことができる機会(とくに分科会)が挙げられた。民間セクターとの戦略的価値の創造においてパートナーシップの重要性が増していることを考えると、このような当サミットのような場は非常に有意義である。

「アジアで最も持続可能な企業100社」チャンネル・ニュース・アジア・サステナブル・ランキングの詳細

サミットで発表された2015年のチャンネル・ニュース・アジア サステナビリティ・ランキングにより、投資家と消費者は企業のサステナビリティの取組みについて知見を広め、地域にある他社の取組みと比較することができる。ESGおよびコーポレート・ガバナンスの評価・研究を専門的に手掛けるサステナリティクスにより開発された特定のESG指標と手法(methodology)に基づき、同ランキングはトップ20社および各国のトップ3社を紹介している。対象となったのは中国・香港・インド・インドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポール・韓国・台湾・タイ、そして今年から新たに日本が加わった。2015年のトップ3は以下の通りである。(ランキングの全情報はこちらhere

  • 1位 ウィプロ(インド・ソフトウェア・サービス)
  • 2位 ユナイテッド・マイクロエレクトロニクス・コーポレーション(台湾・半導体・半導体装置)
  • 3位 テックマヒンドラ(インド・ソフトウェア・サービス)

今年から日本が加わったことでランキングは大きく変動し、今年新たにランクインした47社のうち、32社は日本企業であった。また、インドのテクノロジー企業がアジアでCSRリーダーとして台頭し、サティヤム・コンピューターの粉飾決算スキャンダルの過去からCSRリーダーとして輝かしい返り咲きを果たしたテックマヒンドラ、さらにUMCなど必ずしもよく知られていなくても有名ブランドに部品や技術を提供している企業がランクインしている点にも注目できる。また今年は中国とフィリピン企業がトップ100にランクインしていない点も特筆すべきである。

チャンネル・ニュース・アジアの番組「インベスター・インサイト」にてランキング結果について話し合う予定である。2051年10月16日放映予定の当番組では、ランキングトップ3社のCEOが成功をおさめた活動の詳細を紹介する。

閉会にあたり、ウェルフォード会長は「魚を与えれば一日の飢えをしのげるが、魚の釣り方を教えれば一生の食を満たせる」という格言を用いて興味深いスピーチを行った。この格言は確かによい話だが、教えるだけでは貧困から抜け出すことにはならず、さらに能力や教育だけでは極貧から抜け出すだけの所得増を保証しない。「魚を与える」のみならず、魚の釣り方を教え、さらにグローバル市場を開放して魚の販売を可能にしよう、企業が漁船を買い事業を拡大できるよう支援しよう、そして企業が成長し雇用を増加させるよう手助けしていこうと呼びかけた。その時初めて真の変化としての規模の拡大が図れるだろうと締めくくった。

来年のCSRアジア・サミット詳細については近日中に発表予定。

執筆:アンジェラ・フォルシャム
CSRアジア週刊ニュース日本語翻訳版

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