【スイス】ネスレ、「キットカット」で世界初となる100%持続可能なカカオによる生産を実現
スイスの食品大手、ネスレは2月8日、同社の主力製品ブランドである「キットカット」が、カカオ農家の生活向上およびカカオ豆の品質向上を目的とするネスレカカオプランの取り組みを通じ、世界で初めて100%持続可能なカカオのみを使用して製造されるグローバル菓子ブランドとなったことを発表した。
ネスレ製菓部門の責任者を務めるSandra Martine氏は、「ネスレは、キットカットが100%持続可能なカカオで生産された世界で初めてのグローバル菓子ブランドになることを誇りに思う。ネスレでは、我々はブランドの製造を可能にする人々と環境を守るシステムの一部であるということが極めて重要だ。社会的責任はコートジボワールの農村、そして我々の製品の品質にとって必要不可欠なのだ」と語った。
今回の発表に際し、社会派のYouTubeパーソナリティ、Louis Cole氏がコートジボワールで撮影された動画シリーズ に出演し、ネスレカカオプランの3本の柱について説明している。ネスレが掲げる3本の柱とは「農業者に利益をもたらす農業経営」「農業者の社会的状況の向上」、「ネスレの製品の材料をより高質でサステナブルなものにする」というものだ。
ネスレはこの目標の実現に向けて、カカオ農家に対してより耐性のある苗を供給し、高度な農業実践に向けたトレーニングなども提供しながら、農家の人々の長期にわたる利益とサステナビリティを支援している。同社は2016年までに12万トン、2017年までに15万トンを同プランに基づくカカオにすること、そして全ての協力企業に児童労働モニタリング・改善システムを適用させることを目指している。
これまでの取り組みとして、ネスレは2014年に同プランに基づいて91,801トンのカカオを生産し、45,833人のカカオ農家にトレーニングを提供し、17の学校を新築・改築した。また、2014年8月には公正労働協会(FLA)が初めてコートジボワールにおけるネスレのカカオサプライチェーンに関する報告書を発行し、ネスレはその中で行動規範の一層の遵守を指摘されたが、同社はこれを受けて児童労働モニタリングおよび改善システムをさらに14協力企業に適用し、合計で22企業まで拡大させた。2015年には目標としていた同プランを通じたカカオ10万トンの生産を達成している。
今回もうひとつ注目されるのは、世界を代表するコードジボワール出身のサッカー選手、ディディエ・ドログバ氏がYouTubeに登場し、健康と教育に関して恵まれない立場にあるコートジボワールの人々を支援するディディエ・ドログバ財団とネスレとの新たなパートナーシップを発表していることだ。ネスレは現在までに1万人以上の子どもと若者とに教育支援を提供しているが、さらなる展開としてこの財団のためにドログバ氏の故郷、Gagnoa地域で国営の学校を建設する。同氏は「私の財団とネスレとのパートナーシップを誇りに思う。コートジボワールでの教育や子どもたちの生活に継続的な変革をもたらすだろう」と語る。
日本でもなじみのある「キットカット」において、ついに100%持続可能なカカオによる製造が実現された。CSVの先進企業として常に食品業界のサステナビリティをリードしてきたネスレが、また一つ大きな目標を達成したことになる。事業を通じて地域社会の発展を支える同社のような取り組みが、今後さらに業界全体へと広がっていくことを期待したい。
【参照リリース】KitKat hits 100% sustainable cocoa goal in world first
【企業サイト】Nestlé
【参照サイト】Nestlé Cocoa Plan
(※写真提供:MAHATHIR MOHD YASIN/Shutterstock.com)
2016/2/27
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