Global CSR Topics

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土地を巡る争い - インドネシア・西パプアの教訓

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ブリスベンカトリック正義と平和委員会は西パプアでの人権問題の実態解明のために現地調査団を派遣し、報告書を新たに編集した。同調査団の報告書によると、現地での人権侵害に企業が手を貸している実態が明らかになった。

同報告書によると宗教的・社会的・経済的な差別が存在し、この中には大規模開発のための土地活用から多国籍企業が恩恵を受ける一方で、パプア人が土地所有と雇用から締め出されていると報じている。政府が土地を切り分け、50社以上の多国籍企業に譲渡していると指摘している。

地方自治体が企業を同地域に誘致し、操業許可を与えている点も取り上げている。企業側から地図と許可証を携えた社員が乗り込み、多くの地域住民は衝撃を受けている。住民側が提案に応じない場合、企業は村役場に戻り、今度は警察を連れて来る。同報告書によると、インドネシア治安部隊が暴行や脅迫、嫌がらせをしているはっきりとした証拠をつかんでいる。

西パプアでの紛争は、土地への商業的投資が経済発展のチャンスとなりうる一方で、多くの場合には土地所有を巡る紛争や対立を生み出す実態を示している。昨今のアジアにおける大規模な土地取引の増加により、国内のエリート層と海外投資家が恩恵を受けている。一方で多くの場合、土地の取得により地域コミュニティ、その中でも特に貧困層・先住民・女性やその他脆弱な立場にある人々が不利益を被り、開発の機会が失われるのみならず逆に作用しているのだ。

脆弱な土地管理システムや強力なエリート層、汚職、不平等、力の不均衡により、コミュニティが土地から追い出され、慣習的な土地の利用権が無視され、コミュニティの土地が不当な値段で売却されている事態が助長されている。貧しく、社会的に疎外されて脆弱な立場にある人々とコミュニティは、自らの利益を増やすことも、苦情処理に頼ることもままならない。さらに貧困層に影響を及ぼすのは大規模な土地取引だけでなく、小規模な「土地の横取り」でも小農地所有者は泣き寝入りする羽目に陥っている。

企業は、脆弱な立場にある社会的に疎外された人々の土地所有権を守り、土地に関連する人権侵害が起きないよう支援を図る役割を担っている。バリューチェーンを通してインクルーシブ・ビジネスを推し進めることで、企業は小農地所有者およびコミュニティを守るという重要な役割を果たしうるのだ。結果的に企業は健全で安定したサプライチェーンから恩恵を受けることとなる。

企業が土地の権利を強化する取組みに参画するにあたり、脆弱な貧困層を保護するマルチステークホルダー・イニシアティブに乗り出す必要がある。農業と水産業での持続可能なビジネスを図るには、小農地所有者と公正な取引にフォーカスし、バリューチェーンに小規模生産者を巻き込むことが鍵となる。小規模生産者は土地と資源の権利を大手企業に奪われてしまうことが多いためである。

地域コミュニティの土地の権利保護を図る際、バリューチェーンをよりインクルーシブにすることで、コミュニティや先住民、さらに女性が土地の活用方法や変更の決定を下す中で大きな役割を持つことにつながる。つまり責任あるインクルーシブ・ビジネスとは、天然資源の持続可能な活用を含む土地の権利、土地の横取りへの対応、土地へのビジネスインパクトや紛争にまつわるリスクの効果的管理を勘案する必要がある。

西パプアのような地域で必要とされるのは、企業側の積極的な参画である。土地の権利を尊重し、責任あるインクルーシブな土地活用や天然資源へのアクセス、開発の機会を確保する必要がある。このようなアプローチを取ることで、企業は長期的には恩恵を受けることとなる。

執筆:リチャード・ウェルフォード
CSRアジア週刊ニュース日本語翻訳版

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