Global CSR Topics

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東アジアで成功している貧困削減の取組みを企業が後押しするには

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世界銀行が先日発表した報告書によると、2012年から2013年の間に1億1,400万人が極度の貧困を脱したとされる。さらに特筆すべきは2010年から2011年の間に、世界の貧困層が1億3,200万人減少した点である。2008年から2013年にかけて、年間平均8,800万人の減少を達成した。このペースが継続した場合には、10年以内に世界から貧困層をなくすことができる。しかしながら進展は鈍るだろうと世銀は警告している。

その理由の一つとして、この20~30年で貧困削減を達成したのは主に成長著しい東アジアであり、他の地域では遅れが見られたからだ。この結果、1990年には東アジアの貧困層が全体に占める割合は約50%だったが、今日では10%未満に抑えられている。

この20~30年に極度の貧困層は急速に減少した。1990年には地球上の三分の一を超える人々が実質購買力換算で一日1.90米ドル以下の生活を送っていたが、2013年には十分の一に減少した。これは有史以来、社会福祉における最大かつ最速の進歩である。しかしながら地域により恩恵にばらつきが見られた。東アジアでは1990年に60%が極度の貧困状態にあったが2013年にはわずか3.5%までに減少し、最も目覚ましい変化を示している。

一方でより深刻なのは格差である。途上国が効率的な所得の再配分を図り、成長の恩恵を上手く貧困層と共有することができれば、2030年までに滞りなく貧困撲滅を達成することができるとみられる。しかしながら富裕国で見られるように、格差が広がるに任せておけば、極度の貧困を撲滅することは困難となる。

南アジアとサハラ以南のアフリカでは依然として問題が山積している。インドはここ数年で急成長を遂げ、パキスタンとバングラデシュでも国民一人当たりのGDPが急増している。南アジアは現在、世界の極貧層の33%を抱えており、サハラ以南のアフリカは50%である。急速な人口増加が拍車をかけ、サハラ以南のアフリカでの貧困者数は1990年代初めから増えている。

世界銀行は2030年までに世界の貧困率を3%以下に抑える目標を掲げている。国連はさらに踏み込んだ目標を打ち出し、2030年までに極貧層を撲滅させるとした。明らかに進展は見られるが、民間セクターの役割を明確化することでさらに加速させることができる。

企業が開発課題の解決に貢献し、持続可能な開発を後押しする役割を担っていることについて、多くの企業は認識を深めている。企業は責任を果たし、資産・専門性・製品・サービス・影響力を駆使して世界の貧困層を支援し、地球規模の課題に対処できることを進んで示す用意がある。

企業はこれまでいかに貧困撲滅に貢献していくか検討することで、開発にプラスのインパクトをもたらしてきた。これを土台に、さらに取組みを進める新たなチャンスが到来した。特に格差の解消を図ることは、貧困層の経済的機会を高める生産的方法を見出すことでもある。インクルーシブなビジネスチャンスに基づく取組みを展開することに企業の役割がある。

インクルーシブ・ビジネス・アプローチにより、商業利益を確保しつつ、開発の特定課題に取り組むことができる。インクルーシブ・ビジネス・イニシアチブを策定する中で、複数の有力要因を勘案することとなる。

  1. 新たなビジネスチャンスを特定する:民間セクターは開発によって、大きなインパクトをもたらす新たなビジネスモデルを検討することができる。インクルーシブなビジネス戦略を導入し、商業的に採算の取れた取組みをグローバルなバリューチェーンにわたり展開し、社会が抱える課題の解決を図ることが有効である。インクルーシブ・ビジネス・アプローチにより、企業は市場を拡大させ収益性を高めると同時に、事業を展開するコミュニティの経済・社会的状況を改善することができる。
  2. イノベーションを促進する:インクルーシブ・ビジネス・アプローチの中核はイノベーションである。企業は創造力を駆使して開発課題の解決を図ることができる。民間セクターは知識や専門スキル、技術、財源を結集・共有することで、持続可能な開発目標(SDGs)を後押しすることができる。イノベーションや技術、関連するノウハウの創出と普及は、経済成長および持続可能な開発を強力に推し進めることにつながる。企業はデジタル・デバイド(情報格差)の解消、さらに手頃な料金でのインターネット利用を含む情報・通信技術へのアクセスと能力育成を図ることができる。
  3. 新規雇用の創出:すべての人に雇用およびディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を創出することはインクルーシブ・ビジネスの基本理念である。雇用は生活水準を押し上げ、生産性を高め、社会的結合を生み出すため、開発を促す鍵となっている。さらに雇用は開発途上国の人々が貧困を脱する上で不可欠である。民間セクターは雇用創出の原動力である。従業員に障害者を含むあらゆる男女の平等な参画を促すべく、インクルーシブな雇用慣行を通して企業はあらゆる人が成長の恩恵に浴するよう努めることができる。
  4. 女性を取り込む:さらに民間セクターはジェンダーに配慮したインクルーシブ・ビジネスを積極的に進め、経営判断が女性にもたらすインパクトを理解することができる。ますます多くのビジネスリーダー達は、女性のエンパワーメントが開発とビジネス双方にとり有益である点で意見が一致している。民間セクターは女性に生産的雇用とディーセントワーク、同一労働同一賃金、さらに均等な雇用機会を提供すると同時に職場での差別と不当な扱いから女性を守ることでジェンダー平等を推し進めることができる。

執筆:リチャード・ウェルフォード
CSRアジア週刊ニュース日本語翻訳版


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