経産省、コーポレートガバナンスに関する報告書と企業調査結果を公表
コーポレートガバナンス(CG)・コードが施行されて2年。
経済産業省は3月、日本企業のCGコード実践状況に関する企業のアンケート調査結果と、コーポレートガバナンスの構築・運用に関する報告書を発表しました。
CGコードの5原則は、
1. 株主の権利・平等性の確保、
2. 株主以外のステークホルダーとの適切な協働、
3. 適切な情報開示と透明性の確保、
4. 取締役会等の責務、
5. 株主との対話、
ですが、今回研究が行われたのは、特に日本企業の取り組み強化が求められる「原則3:適切な情報開示と透明性の確保」と「原則4:取締役会等の責務」
に関わる内容のようです。
CGコード原則3では、役員候補の選定や報酬決定について基準を明確にし開示することが求められており、
原則4では、
(1)企業戦略等の大きな方向性を示す
(2)経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行う
(3)独立した客観的な立場から、経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行う
の3つが求められています。
以下、企業の調査結果と報告書の提案で関連する点についてテーマごとにポイントを整理しました。
●取締役会の役割・機能
<アンケート結果>
・取締役会による中長期経営戦略についての議論不足を感じる企業が4割
・取締役会の監督機能の強化を検討すべきと考える企業が5割
<報告書による関連の提案>
・取締役会は、「意思決定」に加えて「監督」機能をもつが、意思決定と監督、両方でベースとなる「戦略」をまずたてることが重要
・監督機能強化のために、取締役会は社外者を過半数とすべき
・社外取締役中心の取締役会で全てについて審議するのは非効率なため、指名・報酬委員会などの専門委員会を設置すべき
●社外取締役の活用
<アンケート結果>
・社外取締役が期待する役割を「十分に果たしている」という回答は5割
・社外取締役に求める経験は、経営経験が8割、専門知識が6割
・社外取締役候補者の紹介者は、社長・CEO・副社長(4割)、会長・副会長(3割)で、人選が属人化する傾向
<提案>
・経営を行うのは社内の経営陣であり、社外取締役は社内で判断しにくい事項の議論に関与するという役割をきちんと理解する必要がある
・社外取締役の人材不足が国全体の課題となる中、経営経験者が積極的に他社の社外取締役を引き受けるよう促すべき
・社外取締役をしっかり活用するために、以下のステップにそった検討を行うべき

報告書 P20
●指名
<アンケート結果>
・社長、CEOのについて単一の候補者から選定している企業(決めうち)は4割
・指名委員会があっても、議論時間は1時間未満の企業が5割
・社長、CEOに問題がある場合に、解任するための運用上の工夫がない企業が9割以上
<提案>
・社長、CEO の選定の際には、執行側から複数の候補者を示すべき
・候補者について、執行側から社外取締役に議論の結論を示して了承を求めるだけでは、透明性の高い手続きとは言えない
・CEOのほとんどが他社での経営経験がなく、多様な考え方に基づく検討が困難なため、取締役会の構成には多様性の確保が重要
●報酬
<アンケート結果>
・報酬委員会がある企業は4割
・業績連動報酬について、短期指標がある企業は6割、中期指標がある企業は1割強のみ
<提案>
・日本の経営陣の報酬は固定報酬が中心。業績連動報酬や自社株報酬の導入を検討すべき
・報酬政策(業績連動報酬を含む)検討の際には、まず経営戦略を策定し、それに基づいたKPIを設定することで、戦略を実現するための報酬体系を検討することが必要
●経営陣のリーダーシップ強化
<アンケート結果>
・相談役・顧問の制度がある企業が8割、社長・CEO経験者が相談役・顧問になる企業が6割
<提案>
・現/元役員は知見を生かして業界や社会に貢献できるが、株主に責任を負わないまま人事や経営に影響を与える懸念がある
・元社長やCEOを相談役や顧問にする際には、その役割や報酬を明確にすべき
・外国人投資家らの理解も得られるよう、役割・処遇等の情報を積極的に発信すべき
・相談役等に就任せず会社を離れる元経営トップは、経験を生かして他社の社外取締役に就任するよう促すべき
コードに形式的に従う企業が多い中、CGコードの本来の目的である「企業の中長期価値向上のためのガバナンス改革」が求められます。
その具体的な実務指針として、経産省は、3月31日に「CGSガイドライン」と、「経営人材育成ガイドライン」及び「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」を 公表しています。
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