広がる水ATM インドで成功するBOP×CSRモデル
途上国で展開する社会貢献プログラムを単発で終わらせず、持続可能なモデルにしていくためには何が必要か。
今少しお手伝いしているプロジェクトのヒントになればと思い、インドの社会起業Waterlife Indiaの話を聞いてきました。
企業からの寄付資金を元に浄水設備を設置し、地域に安価に水を販売することで持続的な運営を実現するCSR+BOPともいえるこのモデル。 地域社会に与えるインパクトは大きく、その複製可能な方法が注目され、現在ではインド15州で4500の設備を運営するまでになっています。
ステップは以下のとおりです。
- きれいな水が供給されない貧困地域を特定 ↓
- 地方政府に土地利用、水の汲み上げ、電気の利用に関する協力を取り付ける ↓
- きれいな水の必要性を住民に教育し、利用者のプレ登録を募る ↓
- 政府または企業の資金を元手に浄水設備を設置 ↓
-
利用者に対し容器1杯ごとに課金するモデルで安価に水を販売
(1割ほどの利用者には配送サービスも提供)
↓
- 売上により運営・メンテナンス費用を賄い、スタッフには地域住民を教育して雇用 ↓
- 費用の一部は地域の健康・衛生教育活動にも充てられる ↓
10年にわたって維持管理を約束
同団体は様々な企業とパートナーシップを結んでおり、たとえばスズキの子会社 Maruti Suzukiはこの1年で4基を設置しました。
以下は独のBASFの映像です。(※画像をクリックするとyoutubeに飛びます)
紅茶いっぱい分の値段とほぼ同じ安価できれいな水
10層フィルターにより浄化された水の販売価格は20リットルで7ルピー。
市販の水は40ルピーということを考えると格安で、紅茶いっぱい分の値段とほぼ同じです。
日本に住んでいる感覚では、これなら絶対に買う、となりますが、それでも大切なのは住民への教育だと言います。
変化の鍵となる子どもと女性にターゲットを絞り、教育活動を展開。
さらにWaterlifeの場合、設置前に利用者のプレ登録を行い、顧客基盤を作ってからスタートすることでリスクを減らすというアプローチをとっています。
清算はすべてプリベイド式のカードで電子化されており、細かな顧客ニーズの分析も可能です。
きれいな水が安定的に利用でき、病気にかからず
健康に生活を送ることができるようになるメリットは大きく、
世界銀行からビジネスモデルとインパクトについて分析した
レポート『Waterlife: Improving Access to Safe Drinking Water in India 』も出ています。
地域の社会課題に応えるビジネスモデル
インドでは2014年から一定規模以上の企業に対し、過去3年の平均純利益の2%を事前活動に寄付することを義務付ける法律ができています。 (現在は社会起業も対象に拡大)
義務化により地域のニーズとかけ離れた活動が行われる、汚職に利用される、などの懸念の声もあがっていますが、Waterlife Indiaは社会の流れを機会としてうまく活用しながら、地域の社会課題に根ざすニーズを着実に市場に育てるモデルにより活動を加速させています。
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