環境に児童労働 高まる中国サプライチェーン問題のインパクト
経済損失を招いても環境保護違反の取り締まりを優先
先日、北九州市で開催された中国環境セミナーに参加しました。
その中で、JETRO上海の方が中国環境問題に関する最近の動きとして紹介されていたのが、ドイツ自動車部品大手シェフラーの事例です。
2017年9月、シェフラーのサプライヤーが環境保護違反によって生産停止を受けるという事態が発生。
自動車生産台数への影響は300万台に達し、3000億元の経済損失が生じる可能性がある、ということで中国国内のネット上でも大変話題になりました。
部品供給停止で3000億元の損失? 環境違法への譲歩は許されない。
中国ではCSRに関連する国家規格が導入されたり、第13次5カ年計画にも企業の社会的責任に関する課題が取り込まれたりするなど、国としてはCSRマネジメントを強化する方向性が伺えますが、規制の全体像が把握しづらいことから、サプライチェーンでの対応に悩まれている企業も多いのではないでしょうか。
しかしそのような不透明さが残るなかでも、JETRO上海の調査からは 環境規制の強化により中国に展開する企業が具体的な対策を求められていることがわかります。
児童労働もサプライチェーンにおけるリスク管理の重要課題
サプライチェーンマネジメントが必要になってくるのは、環境分野にとどまりません。セミナーに参加して1ヶ月も経たないうちに、次のようなニュースを見かけました。
China’s Nanjing Hanrui can’t be sure its cobalt did not involve child labor
南京に拠点をおくHanrui社(南京寒鋭)は、製品のコバルトにアフリカの児童労働が関わっている可能性を示唆
Hanrui社(南京寒鋭)はYantai cash社(煙台凱実工業)のサプライヤーであり、Yantai cash社は世界最大規模を誇る非鉄金属専門取引所であるロンドン金属取引所(LME)により公認ブランドとして品質を保証されていました。
世界で電気自動車(EV)市場が急成長する中、コバルトはバッテリーの原料として需要が高まっていますが、それに伴い一大産地であるコンゴ民主共和国での児童労働問題が注目されています。
一部の企業は迅速に取り組みを進めている一方で、なかなか対策を講じない企業に対する批判は日増しに高まっています。
そのような中、Hanrui社が児童労働に関わっている可能性を示唆したことで、保証されていたはずのYantai cash社の品質が揺らぐ事態となりました。
詳細については現在調査中であるとのことですが、国際的な関心が高まるなか、児童労働が判明した場合の影響は大きいでしょう。
間接的に児童労働に関与してしまっていた、ということにならないためにも、中国に展開する企業は環境のみならず児童労働など人権についても、リスク管理の観点からサプライチェーン全体の管理を強化することが期待されます。
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