2020年には35兆ドル?!~米国市場のESG投資最新トレンド
2000年代後半から2010年代前半、CSRの領域は変化・発展を続けていましたが、その後の5年でまたさらに大きく変革していることを感じています。
特に、事業との結びつきの強まりや資本市場においてもCSRの重要性が一層増し、ESG投資の市場規模も膨らみ続けています。 そこであらためてESG投資のトレンドを勉強していたところ、米国の興味深いレポートに出会ったのでぜひご紹介したいと思います。

High Meadows Institute
Sustainability in Capital Markets: A Survey of Current Progress and Practices
2019年3月25日
本レポートは同社が2015年に行った米国資本市場におけるESG統合の調査の最新版で、この3年間でのESG統合の変化を報告しています。 以下簡単に内容を要約しました。
概況
- この3年間で資本市場におけるESGが主流になりつつあり、ESGの運用資産は2016年の23兆ドルから増加して、現在30兆ドルになり、2020年までに35兆ドルになると予測されている。
- PRI、NGO、テクノロジー、データサイエンスなどマルチステークホルダーによる取り組みや、資本市場におけるあらゆるステークホルダーは、ESGのプラットフォームへの統合を加速してる。(パッシブ投資のESG統合など)
- 明らかに資本市場におけるESG投資は拡大してきているが、一方でいまだに米国資本システムにおいて課題が多く残り、ESG投資のリターンを向上させ顧客にどう価値を生むかは疑問が残る。
ESG統合を後押ししている主な要因
- 投資家の人口統計の変化 (特にミレニアル世代や女性の興味と投資力が向上)
- 金融サービスのデジタルイノベーション
- 気候変動に関するパリ協定や国連のSDGs
課題・カウンタートレンド
- ESGの定義不足と企業がESGのパフォーマンスを測定し報告するための規格や標準化された枠組みの欠如(一方欧州では任意ガイドラインが導入済)
- 経営陣のESGに対する理解不足
- ESG統合を推進するための人材とインフラ不足
- 金融選択法の可決により小規模投資家の株主提案が不可能に
- パッシブ投資家や商工会議所などによるESG統合を阻む動き
- 気候変動に関する企業のロビー活動
- 短期的な投資運用成績を優先する組織
- データプロバイダへの不信感
後半は、資本市場における各ステークホルダー(アセットオーナー、アセットマネジャー、投資コンサルティングファーム、証券取引所、信用格付機関、ブティックアセットマネジャー、ESG測定及び報告機関、規制当局及び業界会計機関、インデックス提供者および上場投資信託)での動きを紹介しています。 興味のある方は是非レポート詳細をご覧下さい。
急成長しているパッシブ投資にESG統合をするという潮流がある一方で、どうリターンを高められるかについては個人的に注目したい点です。サステナビリティの重要性は明らかなものの、リターンの高さは期待値に過ぎない部分もあり、どう実証され市場に影響を与えるか、今後も最新トレンドをウォッチしていきます。
(CSRアドバイザー 早川貴子)
EcoNetworks
Sustainability Frontline [原文はこちら]
エコネットワークス
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