従業員ボランティア促進のヒント~FedExの事例から
6月5日の世界環境デーにあわせ、多くの企業が6月を環境月間として全社での環境活動に取り組んでいます。そうした中、リコーでは従来の環境中心の活動をSDGsに重点を置いたものに切り替え、6月1日から30日までの1ヵ月間、「リコーグローバルSDGsアクション2019」を実施しました。
今回のリコーのケースでは、SDGsの啓発や、個人や職場でできるアクションの促進が中心でしたが、今後はSDGsをテーマにした企業によるボランティア活動も広がっていきそうです。
企業が従業員に呼びかけて行うボランティア活動は、企業ボランティア(Corporate Volunteering)または従業員ボランティア(Employee Volunteering)と呼ばれます。よく「コミュニティ・デー」などの名称で、一定期間、業務時間の一部を使って全社で一斉に地域でボランティア活動を行う例が見られます。
従業員ボランティアの活動は、従業員の組織への愛着を高める効果が期待されます。拠点単位で全社一斉に行うことで、従業員同士の交流や一体感の醸成につながります。こうした全社での一斉活動は、1回限りで終わらせてしまうのではなく、継続して行うことが何より重要です。しかし活動の運営には、それなりの負荷がかかるもの。活動を継続させ、発展させていくために、どういった工夫ができるのでしょうか。
先月、「Cares 50 by 50」という新しいプログラムをスタートした国際宅配便のFedExの活動から、いくつかヒントになりそうな方法を紹介します。
1.全社での目標を掲げ、組織としてコミットする
FedExの「Cares 50 by 50」は、創業50周年の2023年までに、様々な活動を通じて5000万人の人々に良い影響を与えることを目標に掲げています。組織が、経営陣がしっかりと活動に参画することは重要です。
2.重点テーマを絞り込む
活動のテーマを自社の重要課題に紐づけることで、資源を集中させ、効果的に活動を促進することができます。また従業員が社会課題について考えるきっかけにもなります。FedExの場合は、持続可能な交通や道路の安全など、5つのテーマに取り組んでいます。
3.個人やチーム、パートナーに光をあてる
小さな活動の積み重ねが、大きな成果につながっていきます。そのために、活動を担う人や組織に焦点をあて、好事例を共有していくことで、ノウハウが共有され、参加者の動機付けにつながっていきます。同社ではそうした事例を発信し、また従業員自身が活動結果を投稿できるようになっています。
4.パートナーを募集する
地域で課題解決に取り組むNPOとのパートナーシップは不可欠です。いかに良いパートナーと提携するかは、活動の成功にも大きく影響します。FedExのウェブサイトには助成金への応募窓口があり、NPO側からもアクセスできる道を確保しています。
5.成果を可視化する
活動の成果としてよくあるのが、様々な各地の事例をコンパクトに紹介する、合計ボランティア時間数を定量的に報告する、といった例です。特に継続的に活動を行う場合には、そうしたアウトプットベースの報告だけでなく、次のステップとして活動による成果をアウトカムベースで報告することが期待されます。FedExでは、例えばテーマの1つである「道路の安全」に絞ったレポートを発行し、社会に及ぼした影響の可視化に取り組んでいます。
このほかにも、現場のボランティアを担うリーダーの育成も大切です。リーダーの手腕次第で、1回のボランティア活動による経験を、楽しかったで終わらせず、参加者の学習機会につなげることができます。海外ではそうした教育を専門的にサポートする組織があるほどです。
これまでに紹介したような展開がすぐには難しい場合には、まず一歩目として、例えば「企業ボランティア・アワード」に応募してみるといったことも考えられます。
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Sustainability Frontline [原文はこちら]
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