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”より良い社会”への違和感とSDGsの本質

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ここ数年、これまでの社会貢献の枠を超えて、本業である事業自体にSDGsのコンセプトを取りこむ企業が増えてきています。 “変わらなくてはならない”という本気度が見えてくるようで、時代の大きな過渡期であるように感じます。

一方で、私が少し気にかかっているのが、事業戦略にしばしば見かける”より良い社会のために”という表現。
“より良い”とはどのようなことを指しているのでしょうか?
「少しずつ小さな進歩を繰り返していきましょう」「これまでもそれほど問題はなかったけれど、これからはもっと良くしていきましょう」などさまざまな解釈を含んでいるように私には感じられます。

では、本当に、これまでも問題はなかったのでしょうか? これまでの延長線上で、少しずつ小さな進歩を繰り返していけばSDGsは達成できるのでしょうか?
そうした疑問への答えを考えるためには、まずSDGsの前身であるMDGsまで遡る必要があります。 2001年に国連総会で採択され、2015年まで実施されたミレニアム開発目標(Millennium Development Goals; MDGs)は社会課題の改善に大きく貢献した一方で、国や地域による格差が残された課題となりました。

また、MDGsは努力の主体を途上国とした仕組みでもありました。グローバル化により、先進国の人々の”便利な暮らし”を支えるためのサプライチェーンが途上国の人々の暮らしに負のインパクトを与えていることもあるにも関わらず、仕組みを先進国だけが主導でつくっているのはおかしい。先進国も途上国も平等にサステナブルな社会への目標達成に向け努力するべき、という考えから生まれたのがSDGsです。

日本の”安くて便利”な暮らしは、途上国の人たちの犠牲の上に成り立っていた部分も少なくはなかったはずです。日々の暮らしは今も昔も問題が山積みである多くの途上国の人たちにとって、先進国の人々が使う”より良い”という曖昧な表現は、やや理不尽な響きに聞こえるかもしれません。

MDGsのように現在の延長線上である”より良い(Better)”では達成しきれなかった「誰一人取り残さない社会」を、SDGsでは”変革(Transformation)”を通して実現しよう。

そこにSDGsの本質があり、SDGsの精神として「誰一人取り残さないために」と繰り返し強調される理由の一つとして、そうしたMDGs時代の反省があるのです。

SDGsの時代になっても、先進国が途上国を支援してあげる、助けてあげる、何かできることはないか、という文脈で語られることが多い中、日本を含む先進国の企業や消費者にとって、これまでの自分たちの暮らしがどのように成り立ってきたものであるのかをまずは知ることが、本当の意味でのSDGs達成に向けた重要な一歩となるはずです。

では、採択されて4年が経過したSDGsの進捗状況はどのようなものでしょうか。

2019年に国連が発行した報告書を見てみると、改善されている指標もあるものの、すべて順風満帆というわけではなさそうです。

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ゴール1   世界の人口の55%が社会的保護にアクセスできていない
     災害による死亡の90%以上が低中所得国で起きている

 ゴール2   2015年に7億8400万人だった栄養不足の人口は、2017年には8億2100万人に増加
           (そのうち、2/3はサブサハラ地域および南アジアに居住)

ゴール6   7億8500万人は安全な飲み水にアクセスできていない

 ゴール7   電気のない人は8億4000万人で、そのうち87%は農村に住んでいる

ゴール9   後発開発途上国における産業化は進んでおらず、 2030年までの目標である一人当た
            り製造業付加価値(後発開発途上国 $114)は達成できない見込み
           (欧州・北米は $4938)

 ゴール11   都市に住む人口の4分の1はスラムに住んでいる


“より良い”は日本人にとって耳馴染みのいい、受け入れられやすい表現です。そして大きな目標を実現するためには、”より良い”小さな進歩を積み重ねることもとても大切です。でも、事業戦略にSDGsの取り込みを検討する場合は、SDGsが生まれた背景と、その本質を理解した上で、本当に「誰一人取り残さないために」、自社にできること、自社にしかできないことは何か?を考えてみてほしいと思います。

(岡山奈央/調査分析プロジェクトマネジャー)

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Sustainability Frontline [原文はこちら]


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