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【イギリス】政府統計局、新型コロナ関連死亡率は最困窮地域で2倍。格差影響が浮き彫りに

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英政府統計局(ONS)は6月12日、イングランドとウェールズにおける2020年3月1日から5月31日の3カ月間に発生し、6月6日までに届出が提出された新型コロナウィルスの感染者数、死亡者数、10万人当たりの年齢調整死亡者数と地域および社会経済状況等についての分析結果を発表した。死亡者数は死亡診断書に「コロナに起因」または「コロナに関連していた」と記載されているケースを対象として集計。地方行政庁に登録されていない人と生後28日未満の新生児の死亡は対象外とされている。

ONSは社会経済状況の分析に際し、2019年版困窮指数(Indices of Deprivation 2019)に基づき、イングランド全域を10段階、ウェールズ全域を5段階にそれぞれ分類し、年齢調整死亡率との関係を検証した。英住宅・コミュニティ・地方自治省(MHCLG)によると、2019年度の困窮指数は、7要素で構成されており、ウエイトは、収入22.5%、雇用22.5%、健康維持の困難度および障害13.5%、教育、技能訓練13.5%、犯罪率9.3%、住宅関連状況9.3%、居住環境9.3%となっている。

今回のONSの分析では、両地方とも最困窮地域での死亡率が非常に高いことがわかった。イングランド全体における10万人当たりの死亡者数は81.9だが、困窮指数が高い地域順に見ると、128.3、124.8、114.5、88.3、80.3、73.2、71.8、70.3、67.0、58.8で、最困窮地域では最も恵まれた地域の2倍以上高いことが明らかになった。一方、ウェールズ全体における10万人当たりの死亡者数は67.6だが、困窮指数が高い地域順では109.5、78.5、64.2、50.5、57.5で、イングランドと同様に困窮度の高い地域の死亡率が圧倒的に高い。

イングランドでの具体的な地域について見て行くと、ロンドンでの10万人当たりの死亡者数は137.6と極めて高い。とりわけ突出しているのはブレント210.9、ニューアム196.8、ハックニー182.9、ハーロウ178.0、ハーリンゲイ177.9。これに対し死亡率が低いのは、シティ・オブ・ロンドン42.6、リッチモンド・アポン・テムズ85.4、カムデン89.7、ベクスリー91.6、キングストン・アンド・チェルシー92.8となっている。

ただ中心部であり金融センターとなっているシティ・オブ・ロンドンの2020年の居住人口は7,561人と推計されているので、多くが20万人から30万人規模の人口をもつ他の32自治区とは区別して解釈する方がよいと思われる。さらにこれらの地域の中には、例えばハーリンゲイのように有数の高級住宅街と最困窮地域とが隣接している地域があることにも留意したい。

ロンドン以外の地域で10万人当たりの死亡者数最も高いのは、イングランド北西部のサルフォードで199.6。以下、西ミドランズのウォルソール159.1、ヨークシャー北部のミドルズブラ148.3、バーミンガム144.1、リバプール140.2だった。これに対し死亡率が低いのは、イングランド南東部のヘイスティングズ8.9、東部リンカシャ―にあるグリムズビー14.1、ノーウィッチ23.0、リンカーン29.5、プリマス33.5となっている。

海外からの留学先として人気のあるオックスフォードは66.0、ケンブリッジは66.1だった。この両地域は大学を中心に独自の社会・文化が形成され、共通点も多いが、死亡率までが近似していることが注目される。この数値にも、コロナ関連死亡率と社会経済状況との関連が表れていると言えそうだ。

 

なお、ONSが発表した同期間のデータには、新型コロナを含む全てに起因する死亡者数と10万人当たりの調整死亡者数も記載されているが、イングランドでは困窮指数が高い地域順に466.2、431.4、387.7、342.5、320.0、299.7、290.1、279.5、271.0、242.6で、やはり困窮度が高いほど死亡率が際立って高い。さらにウェールズでも412.5、364.4、294.7、267.8、261.7と同様の状況が明らかになっている

【参照ページ】

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所 [原文はこちら]

2020/6/20
Sustainable Japan

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