Global CSR Topics

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熱帯雨林の途上国にも電力を。大気中の水蒸気から電気をつくるイスラエルの研究

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みなさんにとって、日々の暮らしに欠かせないものとは何だろうか?

水や食べ物はもちろんだが、家やオフィス、お店など世界中どこにでも存在する電気は、多くの人にとってなくてはならないものだろう。

持続可能な開発目標(SDGs)において、2030年までに「すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」ことが目標とされた。しかし2019年、電気にアクセスできない人は世界に約8億4000万人おり、またエネルギー最終消費に再生可能エネルギーが占める割合は17.5%と、目標達成への道のりはまだ遠そうだ。

そんなエネルギーの現状が、少し良い方向へと進む研究がイスラエルで行われた。テルアビブ大学が行った、大気中の水蒸気と金属から電気をつくる研究だ。

まず研究者らは、自然現象からの電気の利用を目指し、空気中の湿度のみを利用した小型の低電圧バッテリーの製造を試みた。今回水に焦点を当てた研究が行われたのは、200年ほど前に発見された、水滴が摩擦により金属の表面を帯電させる可能性に加え、湿気にさらされた特定の金属が自然に電荷を蓄積するという、最近明らかにされた研究結果に注目したからだ。

研究チームが行った室内実験では、1つの金属を接地して、2つの金属間の電圧を測定した。その結果、空気が乾燥しているときは金属間に電圧は生じず、湿度が60%を超えると金属間に電圧が発生することが分かり、さらに、屋外の自然条件下で実験を行ったところ、同じ結果が得られた。研究者らは、湿った空気が金属表面を約1ボルトの電圧に帯電させることができる可能性をすでに確認しており、単3電池が1.5Vの場合、空気中の水蒸気から充電できる電池を開発するなど、将来的の実用化が期待されている。

湿度が60%を超えるときに電気が発生することは、多くの人が電気にアクセスできない状態にある熱帯地方の途上国において、重要な再生可能エネルギー源になる可能性を秘めている。途上国といっても、電気が通り、ICT教育が進んでいるところもあれば、電気さえ通っていない地域もある。空気と多湿な気候を利用して再生可能エネルギーを生み出すことができれば、これまで電気がなかった人々に光が届くだけでなく、電気の有無により生まれていた格差も縮まるかもしれない。自然を利用した電力は、人々の人生にも明かりを灯すことだろう。


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