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「一つ買ったら一つ無料」の禁止も。アイルランドが未来の環境政策を提案

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「一つ買ったら、もう一つ無料でついてくる!(Buy one get one free)」

ファストフード店やスーパーマーケットを中心によく見かけられるこの謳い文句。買い物をする側からしたら身近でお得に感じられるキャンペーンが、アイルランドでは無くなる日が来るかもしれない。

アイルランド政府が、今後5年間の国の「循環型経済のための廃棄物行動計画(Waste Action Plan for a Circular Economy)」を発表し、廃棄物を大幅に削減することを目指している。これは、2030年までにアイルランドの食品ロスを半減させる取り組みの一環でもある。その中で提案されている政策の一つが、「一つ買ったら一つ無料」の食品取引の禁止だ。なお、範囲や対象はまだ確定していない。

政府の調査によると、スーパーマーケットのプロモーションは、その多くが捨てられ、買い物客が食品を無駄にするのを助長しているという。通信・気候変動対策・環境大臣であるイーモン・ライアン氏の代弁者は、アイルランドの食品ロスの30%が「一つ買ったら一つ無料」によるものだとしている。

他にも、政府はスーパーでの「同じ食品を一定数買うと割引にする」売り方にも着目した。フルーツ20個を原価よりはるかに安い価格でまとめ売りするといったものだ。他にも、消費期限前の食品の破棄を違法としたり、食以外の分野においては大手小売チェーンで販売されている安価なファストファッションに課税したりすることも検討している。

アイルランド環境保護庁は、家庭のごみ箱にある廃棄物のうち5分の1はあまり使われずに捨てられるものだとし、産業一般廃棄物として捨てられる廃棄物の7割は、リサイクルまたは有機ゴミとして分別されるべきだとしている。環境大臣のライアン氏は、「すべての責任を消費者に押し付けるのではなく、商品を提供する業界全体が、より大きな責任を負うべきです」と述べる。

廃棄物を減らす画期的な政策が次々と登場しているアイルランド。一方で、「一つ買ったら一つ無料」のキャンペーンによって生活が支えられるような貧困層の人々を排除するのではないか、と批判の声もある。インディペンデント紙の報道によると、ライアン氏の代弁者は批判に対して「こういった政策は、もちろん低所得世帯やスーパーの割引を利用して家族を養っている世帯に影響を与えないように、慎重に調整する必要があります」と述べたという。

アイルランドは、伝統的に決して資源が豊富とはいえない。日があまり照らず冷涼な気候で、人々は痩せこけた土地にじゃがいもを植えて、酪農をするといった慎ましやかな生活を送ってきた。大飢饉によるアメリカへの大量移民という受難の歴史も持つ。モノの大切さは、身にしみて理解しているはずだ。

現在は、新型コロナウイルス感染症に起因する世界的な恐慌状態にあり、経済の生命線である消費をいたずらに減らすような政策には、慎重論も出るだろう。しかし長期的には、これは避けては通れない道であり、アイルランドは、その先陣を切る覚悟のようだ。日本や世界の市場が、アイルランドに追随するか、今後の動向にも注視したい。

【参照サイト】

2020/9/11
IDEAS FOR GOOD
[原文はこちら]

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