日本もパートナー締結。アパレル雑貨の売り上げで国立公園を保全する「Parks Project」
自然の宝庫である、国立公園。息を飲むような美しい木々の緑や、透き通った川のせせらぎに耳を澄ましながら深呼吸すると、心も体も軽くなるような気がしてくる。そんな安らぎの場である国立公園を守るためのプロジェクトが今、進行中だ。
米国で立ち上がった「Parks Project」は、アパレルとアクセサリーの売上金の一部を国立公園の植林など、自然維持や公園運営のために寄付しているエコブランド。販売活動と同時に、環境保全を目的としたボランティア活動などのプロジェクトも行っている。
同社が取り組む課題は、生息地の復元と訪問者増加による公園への負荷、野生生物の保護と若者の教育だ。この4つの課題に対処することが国立公園の保全に貢献すると考える同社は、全米およびカナダの公園と公有地の保護を目的として活動する50以上の非営利団体と協力して、重要なプロジェクトに資金を提供している。プロジェクトの内容は、子供たちを国立公園に招待したり、植樹したり、ごみを拾ったり、研究費を提供したりとさまざまだ。今後10年間で100件のプロジェクトに資金を提供し、10万時間ボランティアを行うことを目標としている。
Parks Projectは現在、グランドキャニオンやヨセミテ、イエローストーンをはじめとする米国の30の国立公園に関するプロジェクトを実施し、各公園をイメージしてつくったパーカーやTシャツなどを販売している。例えばヨセミテ国立公園のプロジェクトでは、トレーナを1枚販売するごとに1キロメートルのトレイル(自然歩道)を復元し、ヨセミテにある800マイル(約1,290キロメートル)のトレイルの維持を目指している。
販売する製品についても、サステナブルな生産プロセスでつくることが意識されている。同社のパートナー施設は太陽光発電で稼働し、プロセス全体をデジタル化して紙を使用しないことを目指すとともに、すべての廃棄物をリサイクルしている。また、同施設は最新の効率的な染色機を使用しているため、水の使用量は衣料品メーカー平均の7分の1のみ。染色には有害物質を含まない天然素材のみからつくられた水性インクを使用している。
さらに、生地の大部分は米国産の綿を使用しており、すべてのアイテムは現地で印刷・染色・仕上げされる。そのため、輸送時のCO2排出量が削減されるほか、受注生産方式を採用しているために過剰在庫が発生しない。工場での余剰生地や誤って染色されたデッドストック生地をできるだけ使用することで、廃棄物をさらに削減することに成功しているのだ。すべての紙製品は、国際的な森林認証制度を運営する非営利団体FSC(森林管理協議会)の認証を受けている。
2020年、同社は日本においてPARKS PROJECT JAPAN(株式会社ROSY)を始動し、10月23日、PARKS PROJECT JAPANと環境省は「国立公園オフィシャルパートナーシッププログラム」を締結した。同プログラムは、環境省と民間企業・団体が相互に協力し、日本が誇る国立公園の美しい景観と、そこで過ごす魅力を世界に向けて発信している。国内外からの公園利用者の拡大を図ることで、人々の自然環境保全への理解を深めることと、国立公園がある地域の活性化を目的としている。
日本でも活動を開始したPARKS PROJECT。国立公園を保全すると同時に、子どもたちに自然の大切さと美しさを伝えながらその土地に住む人々の生活も豊かにしている。こういった自然との距離が近づくようなプロジェクトがもっと広まっていくことで、一人ひとりがもっと地球にやさしい生活を心掛けることができるのではないだろうか。
【参照サイト】
2020/12/11
IDEAS FOR GOOD
[原文はこちら]
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